秘密結社への忠誠の誓いの印
どうやら、ワタシは知らない間に秘密結社に誓いを立ててしまったらしいのです。
それは、手術をするために全身麻酔をしたとき。
麻酔で寝ている間に、秘密の印を体に埋め込んだと言われました。
秘密結社との約束を果たすために、ワタシは誓いの紋章を胸に刻み、そして構成員として、毎朝、未知の光に照射される儀式に参加するのです。
…みたいなお話です。
では、以下続きをどうぞ!
(全然あやしい話ではありません)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
今回の入院は、一人友人が見舞いに来てくれたくらいで(めっちゃありがとう)、あとは旦那と母しか来なかった。
そんな感じなので、まあヒマな入院生活だったが、なんと花火が病棟から見られた。
入院中の他の患者さんとキャピキャピしながらみんなで遠くの花火を見た。
ちょっと遠かったが、まさかこんな形で夏気分を味わえるとは…。
ほんの短い時間だったが、他の患者さんとも他愛のない会話もできて気分転換になった。
みんな、それぞれいろんな理由があって入院してるんだろうな。
でも、みんなそんなことは全くおくびにも出さずに、とにかく花火で盛り上がった。
共通するのは入院中の女性患者、と言うだけ。
年齢もそれぞれ。
特に自分の話もせず、みんなただ花火を見てキャピっただけ。
すごくよい気分転換になった。
何も考えずに楽しむって、無駄じゃない。
そして、退院の日。
特に感慨もなく普通に帰宅。
日曜日の退院のため、支払いもできず後日窓口へ出向かねばならない。
次の診察日に払えばいいか、と高をくくっていた。
が、
なんと退院日は月末最後の日曜日。
「月が変わるとややこしいので、今週中、平日どこかで窓口に来てくださいね!」
と、請求書を渡すナースに明るく言われた。
なんなわけこのシステム。
だったら先に請求してくれたっていいじゃない。。。と思いながら、改めて平日に窓口に行って払ってきた。
月末締めなのと、万が一の追加費用のこともわかるけど、マジ無駄な…。
医療費が月ごとにしめられるとか、高額医療制度とか、色々めんどくさいことがたくさんありすぎる。
これで入院中月またいでたら…と思ってゾッとした。
さて娑婆に出たわけだ。
旦那は「飲酒解禁」しか頭に無いようで、シャンパンで出迎えてくれた。
1か月半ぶりの酒は、おいしかったがちとしたたか酔った。
やはり酒は慣れなのか。
さて、術後の傷は2箇所、右胸下に5cm程度、と右わきに3cmくらい。
まだ術後すぐなので目立つっちゃー目立つけど、思いのほか「こんなもんか」と思った。
手術する前に人から「縫合は整形外科医にしてもらうとキレイにやってもらえるらしいよ!」と吹き込まれ、そんなことできるのか?と聞いたら、
「うちではやってません…」
と困った顔で言われた。
というか、そんなの初耳くらいな感じだった。
あれはなんだったのか。
見た目は別に。
気にする人は気になるかも。
でも見せないし。
ただ、確かに動きは制限される。
重たいものは持てない。
高いところのモノは取れない。
割と痛い。引き攣れる。
うーむ。
一応術後1か月はおとなしく過ごさねばならないということで、次の術後の検査および、放射線治療の前の診察まではゆったりとすごした。
途中復職のことでバタついたものの、まあ、大したことはなかった。
子供もいなくて主婦だったら、マジで暇だなあ…。
なんて不謹慎なことを思いながら、次の診察日を迎えた。
乳腺外科で傷口のチェックなどをしたあと、放射線科の先生と初めましてのご挨拶をした。
ホンワカ系の熊っぽいお兄さんだった。
この病院、というか、いままでこの乳がん治療で嫌な感じの医者や医療従事者に会わない。
みーんなやさしい。
この当たりくじはマジでありがたかった。
散々仕事でビンボーくじ引きまくったから、その反動か?
さて熊さん先生の説明。
手術の時に、ワタシの胸に目印的なものを入れたと言われた。
レントゲンでしか見られないらしい。
わお!
なんか仮面ライダーとかっぽくてカッコええな(雰囲気)。
これから毎朝病院に通って放射線治療を受けること。
土日祝はお休み。
間違ったところに照射しないように、胸に目印を医療用のペンで書くので消しちゃいけないこと。
ちょっとだるくなったりするかも。
放射線治療はロースト肉をじっくり焼くようなイメージ。
皮膚が焼けた感じになる。赤黒くなるかも。
ただれる人もいる。
そういう時にはぬり薬をだしてくれる。
などなど。
そんな説明を受けた。
ふーん、と思いながら、さっそくその目印なるものを放射線技師の人に書いてもらう。
…なにこれ!!!
出来上がった目印に面食らった。
ちょっとこれ。
めっちゃ派手。
洋服で隠れるところでよかった。
しかし消さないで1か月とか無理じゃない?
「今はまだちょっと気候も暑いんで、汗で消えたり洗う時こすって取れたりしないようにしてくださいね~」
と、技師さんは気軽に言うが、自信ない。
「これって、自分でこの印の上からマジックでなぞって消えないようにしちゃダメなんですか?」
と聞いてみた。
「あ! ダメですこれ一応医療用のペンで普通のペンとは違うんです! あと間違ったら、放射線を照射したいところに当たらなくなっちゃうんで、絶対に書かないでくださいね!」
ま、マジか…。
「この線消えたらまたX線で見ながら書かなきゃいけなくなるんで、余計な被ばくも増えちゃうから絶対に消えないようにしてくださいね!!!」
えええ…。
「お風呂では優しく洗ってくださいね! 放射線照射している間はお肌荒れちゃうからごしごししないでください」
…めっちゃプレッシャーーーーーーーー!
え?でも君の手に持っているペン…アタシも持ってる、あの●ッキーじゃね?!
ホントに医療用なの?!?!?!
そんな疑惑と共に、ワタシの放射線治療が始まった。
ところで、後日乳がん仲間にメールでやり取りしたとき、彼女はこの印をこう表現した。
「秘密結社への忠誠の証」
盛大に茶を吹いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
なにが秘密結社やねん。
と、思った方、ごめんなさい、期待しちゃいました?
(そんな奴いねえか)
※医療は日進月歩です。記載したものが現状とは違う可能性があります。
何かご自身のお体にご不安がある場合は、専門の医療機関に問い合わせることを、強くおすすめします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?