櫻坂46「隙間風よ」MV考察 灰となった何か
7thシングル「承認欲求」が発売される2日前の2023年10月16日(月)、収録曲「隙間風よ」のMVが公開された。
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MVははじめから不穏に、静かに流れて行った。
序盤のシーンでは、花束の持ち方からして何処かに花を手向けに行進しているように感じられた。
のちのSHOWROOMで小林由依は「心の痛みも感じなくなったような、乾いた、無感情な、そんなものを表しているのがこのドライフラワー」というようなことを述べている。
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そしてそのドライフラワーを携えてメンバーが行きついたのは、地面から生える3mはあろうかという白いモノリス。
これは、まるでそれぞれの墓標のようではないか。
この人たちは、この場所に花を供え、何かを葬るためにはるばる歩いてきたのだろうか。
そう思った。
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やがて日は落ち、むこうで何かが燃えている。
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燃えている何かを目の前にして、
山﨑天は、愛おしいものを見るような微笑みで何を想う?
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小池美波は、放心しながら何が焼却されていくのを見ている?
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小林由依はのちのSHOWROOMにおいて「浄化」という言葉でこのシーンを表現した。
浄化し、次へ進むのだとも言った。
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燃えさかる骨組みのようなものを見て、あの日を想起せざるを得なかった人は、
私だけではなかっただろう。
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グループを終わらせると宣言したあの日、
ラストシングル「誰がその鐘を鳴らすのか?」を披露した。
パフォーマンスの最後に、欅坂46のエンブレムを外してそれをそっと目の前に置くようにする仕草とともに、メンバーは静かに目を瞑った。
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夜が明けたころ、
私は彼女らを「旧欅坂46のメンバー」と呼ぶことが
どうやらしっくりくるような、
そんな感覚に囚われていた。
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灰となって最後に小林由依の手からこぼれ落ちた何か。
それは無事に浄化されたのだろうか?
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MV公開の翌日、2期生の田村保乃はこう述べている。
「MVがあって、完成した曲だなあ」と。
きっと、浄化されたに違いない。
*この投稿は10/16のXポストに加筆したものです(現在リンクは切りました)
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