独占禁止法NG行為⑤-不当な差別
差別といっても、人種差別とか性差別とかいう話ではなく、地域や取引先、取引条件によって価格、取引条件を不当に差別することは独占禁止法に抵触する可能性があります。
価格や取引条件を変えること自体が問題ではないですが、
「ある地域の競合企業の事業活動を阻害する目的で、その地域のみでは安く販売して競合企業の事業の運営を困難にさせる」
といった行為や
「特定の企業に対してだけ高い価格で販売することで、その企業の事業運営を困難にさせる」
といった行為は、正常な競争を阻害する要因なので、独占禁止法の規制の対象となります。
条文
条文(※1)では
独占禁止法 2条9項2号
不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもつて、商品又は役務を継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの
となっています。
また、独占禁止法の条文ではなく、公正取引委員会が別途で指定したもので、2条9項2号を補完する文もあります。公正取引委員会が指定したものも、法律として有効になります(※2)
一般指定 3 差別対価
法第二条第九項第三号に該当する行為のほか、不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあること。
一般指定 4 取引条件等の差別取扱い
不当に、ある事業者に対し取引の条件又は実施について有利な又は不利な取扱いをすること。
一般指定 5 事業者団体における差別取扱い等
事業者団体若しくは共同行為からある事業者を不当に排斥し、又は事業者団体の内部若しくは共同行為においてある事業者を不当に差別的に取り扱い、その事業者の事業活動を困難にさせること。
(※1)e-gov 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
(※2) 公正取引委員会 一般指定
リンク
独占禁止法 12のNG行為
・独占禁止法NG行為①-企業潰し
・独占禁止法NG行為②-同業企業と組んで競争を止める
・独占禁止法NG行為③-公共事業の入札におけるやらせ行為
・独占禁止法NG行為④-ボイコット
・独占禁止法NG行為⑤-不当な差別
・独占禁止法NG行為⑥-不当な安売り
・独占禁止法NG行為⑦-抱き合わせ販売
・独占禁止法NG行為⑧-競合と取引しないことを約束させる
・独占禁止法NG行為⑨-小売業者に指定した値段で売らせる
・独占禁止法NG行為⑩-小売り業者に事業を制限させる
・独占禁止法NG行為⑪-企業間のパワハラ
・独占禁止法NG行為⑫-取引妨害