独占禁止法とは? 12のNG行為
わたがしを1個1円で売ってはいけない
A君はお祭りでわたがし店を出店するとなったとします。A君は子どもたちに喜んでもらいたいと思い、わたがし1個1円で販売しようと考えました。
ですが、わたがし1個を1円で販売してしまうことは独占禁止法上の考え方では、違反になります。
「安売りしただけなのに、なんで違反になるの??」
となるのも当然ですが、わたがし1個の人件費や材料費といった原価が1円以下になるとは到底考えられませんよね?つまり、原価割れしているわけです。
自分の店がどれだけ赤字経営をやろうが勝手ですが、他のわたがし店からしたら、わたがし1個1円で売られてしまうと、どういう経営努力をしてもA君の店には勝てず、お客さんを根こそぎ取られてしまい商売にならなくなってしまいます。その状況が続けばA君以外のわたがし店は、潰れていってしまいます。
A君の場合は善意でやっていましたが、中には悪意を持って
「わたがし1個1円で売ってしまえば、他のわたがし店を潰せるなぁ。他のわたがし店が全部潰れてから元の価格に戻して、大儲けだ!」
と考える人も出てくるかもしれません。このように、わたがし店同士の競争が正常に行われるように規制しなければならないというのが、独占禁止法の考え方です。
(※今回の場合は、原価割れしていることが問題なので、経営努力によりわたがしの製造コストを下げたことで、値下げすることは全く問題ないです)
独占禁止法とは?
日本の社会では、企業同士の競争があり、その競争が健全に行われることで、企業はさまざまな経営努力を行い、良質な商品・サービスが市場にもたらされます。
この企業同士の自由な競争が行われる社会を守るためにある法律が、独占禁止法です。
12つの禁止行為
では、実際どのような行為が規制の対象となるでしょうか??
今回は、違反とされる行為12つを解説します。
また、独禁法は、大きく分けて「私的独占」「不当な取引制限」「不公正な取引方法」といった行為が禁止さていますので、それに分けて解説します。
ー私的独占ー
私的独占は、他の競合企業を意図的に潰す行為のことを言います。
実際の独禁法の条文では、
独禁法2条5項(※1)
この法律において「私的独占」とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
と記載されています。
ー不当な取引制限ー
不当な取引制限は、同業の事業者同士が協力して競争を制限することを言います。条文では、
独禁法2条6項(※1)
この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
と記載されています。
ー不公正な取引方法ー
不公正な取引方法は、公正な競争を阻害するような行為のことを言います。条文は、2条9項を参照してください。