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日記#33 診察の水曜、キリスト先生はやはりキリスト
2023/10/25
本日診察日。キリスト先生とペインクリニックと緩和ケアカウンセリング。
いつもならキリスト先生にお会いできる病院デーは超ウキウキしつつ出掛ける私だが、今日はあたかも自分の葬式に出るような重い足取りで病院へ向かった。
事の次第は先週木曜日に遡る。
木曜日はストーマ外来及び消化管外科及び内分泌科及び緩和ケア面談のある日だった。盛り沢山な1日。
ストーマ外来へ赴き看護師Sさんよりご指導賜り、内分泌科で2020年よりバセドウ病でお世話になっているM先生の診察を受けた後、消化管外科でユニーク先生の診察があった。
この前の週の水曜日、キリスト先生の診察で腹痛をお伝えしたところCT検査を行ったことはその日の日記に書いたと思う。その時の先生の所見では、がんについて心配な結果ではないという事だったが外科の先生にも画像を見てもらうということを仰っていた。
外科のユニーク先生の診察で、腹痛とここ1週間の間に起こっていた血尿のようなものについて伝え、CT画像を見ていただくようお願いした。
しかしユニーク先生の見解はキリスト先生のそれとは真逆だった。
「卵巣がん再発の可能性が高い」
水曜日の画像とそれ以前の画像を比較して見せつつ、ユニーク先生はそう仰った。キリスト先生は大丈夫と仰っていた事、腫瘍マーカーの数値は低い事を伝えると、キリスト先生CTちゃんと見たんかな?と仰ったのち、腫瘍マーカーは目安に過ぎず、画像に写っているものが全てだとユニーク先生は私に告げた。
「再発やな、悲しいけれど。」
以前ストーマ造設手術の時に、可哀想だけど手術せなあかんなぁ、と言われた時と同じ様にそうユニーク先生は仰った。当然ながら、私は強いショックを受けた。がん告知を受けた時に匹敵するキツさだと思った。
そして、何故キリスト先生とユニーク先生とで同じCT画像に対して180度異なる見解になったのか。
考えられる理由は以下の通りだ。
1.キリスト先生は結果について嘘を伝えた。
2.キリスト先生は画像をまともに見ていなかった。
3.キリスト先生は画像を見てはいたが、卵巣がん再発を見つけられなかった。
4.外科のユニーク先生の見解が誤りである。
このうちキリスト先生が無実である可能性は4のみとなり、1であればキリスト先生は私を欺いていた事に、2であれば雑に診ているということに、3であれば医師としての能力に問題があるという事になる。ここに来て初めて、キリスト先生が疑わしい医師である可能性が浮上したのだ。
まず私は卵巣がん再発の可能性に強く恐怖した。外科の診察室を出た後、気もそぞろで地に足がつかない心地で、次の緩和ケアまでの間に昼食を摂ろうと考えていたがそんな気にもなれず、不安な気持ちいっぱいで心理士さんの面談までの時間を過ごした。
恐怖、不安の次に自覚されたのは強い怒りの感情だった。恐怖と怒りは時に不可分だ。この時の私の怒りは間違いなく恐怖心に根差したものだったが、それの向けられた対象は誰であろう、キリスト先生その人だった。
私は先生をこれまでずっと、初診の時から信頼してきた。当初の直感的で根拠のない、しかしながら強い信頼感に、治療を続ける中で育った信頼感が加わり、そのおかげで手術や抗がん剤といった辛さ、苦しさ、痛みが伴う治療を続ける事ができていたのだ。それを裏切られたかも知れないと思うと、その可能性の段階ではあったものの私は紛れも無い怒りを感じた。
とにかくその後の緩和ケアカウンセリングで、心理士さんに一連の出来事についてと自分が非常な腹立たしさを感じている事をお話した。
何にせよその時点でははっきりした事は分からないし、心理士さんにもそれに対して何か具体的に出来るわけでもない。すべては次のキリスト先生の診察日次第。その時にまた話を聞かせて下さいと仰って、その日の心理士さんの面談は終了した。
その翌日病院のがん相談支援センターに向かい、担当のソーシャルワーカーの方にこの件についてお話しした。とにかく不安でいても立ってもいられず、誰かに話を聞いて欲しかった。ソーシャルワーカーの方はきちんと話を聞いて下さった。そしてその上でやはり、次の診察で先生から話を聞かない事には何とも言えないと、私自身理解していた事を仰られた。事態の解決には繋がらなかったものの、不安な気持ちを誰かに話したいという目的は果たされたしきちんと応対していただけたので満足して帰った。
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それから1週間近くの間、私がどうしていたかはそれらの日のブログに書いた。要するに不安、恐怖、怒り、悲しみ、そういった感情に振り回される辛い日々を送ったわけだ。
そして今日の診察。朝から、というかもう前日からすでに滅茶苦茶気が重かった。それでも行って話さないわけにはいかない。何故なら他ならぬ自分の命が関わっている事だからだ。
予約の時間ではペインクリニックが最初だったが、婦人科の方が先に呼ばれた。こういうことは割にある。キリスト先生の診察では予約時間より早く呼ばれる事がままあるのだ。ペインで精神科の先生とお話してからにしたかったが呼ばれてしまったなら仕方がない。婦人科診察室の前まで行くと、もう緊張で体が強張る。そのまま超ドキドキしながら自分の番を待っていた。
遂に私の番になり診察室に入った。いつもここでは最初に名前を確認されるので、それに応じた後着席した。超気が重い。取り敢えずキリスト先生の話を聞く事にした。
先生はまず、前回診察時私が腹痛を起こしていた事、そのためにCT検査を行った事、その後の診察で先生がお話した事について、私が覚えているかどうかひとつひとつ確認された(無論覚えていた)。
そしてその時のCT検査は造影剤を使わないものであり、それで分かる範囲は限界がある事、だからその時点でははっきりした事は言えなかったという事、治療には信頼関係が大事でそれ無しにはどんな治療も無理だから、私を不安にさせない様あえてあれこれ伝えなかった事を仰った。
そしてこれから検査をして色々はっきりしてからと色々考えて配慮していたのに外科の先生が勝手に再発とか伝えて、余計な事喋りやがって、そもそもあの人らは大腸が専門で婦人科のことはこっちのが詳しいのに、というような事を仰った。キリスト先生はその事で外科のユニーク先生をかなり怒ったらしい。
配慮したつもりが裏目に出てしまったとキリスト先生は仰ったが、私としては配慮いただけたのであればもうそれ自体有難いので、そのように申し上げた。つまりキリスト先生は私を欺いていたのでも雑に扱っていたのでもなく、むしろその反対に配慮していただいていたということ、結論としてキリスト先生はやはり信頼できる先生であるということが分かったわけだ。この1週間ほど心底悩み苦しみ心塞いでいたので、こうした結果になってほんとうに良かった。
病気に関しては現時点では再発かどうかは分からない。先生が言うには、再発だとしたら腫瘍マーカーの値が低いのはおかしいらしい。外科のユニーク先生はマーカーは目安に過ぎないと言っていたけど、やはりマーカーの値が示す事も考慮に入れるべきであるようだ。とにかく明日検査がある。腫瘍の状態はそれではっきりするだろう。他にも気になる点についてお伝えされたがそれはここでは省く。いずれにしろキリスト先生がやっぱりキリスト級に信頼できる先生で嬉しい。今後も先生や他の病院の皆さんのお力を借りて治療を頑張っていこうと思う。
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まあ事の顛末はこんな感じ。病気の事も心配だけど、それより何より治療にあたる人、とりわけ主治医の先生が信頼できるかって、がんみたいなヤバい病気患ってる者にとっては死活問題だから、私の主治医がキリスト先生でほんとに良かったってこれまで幾度となく思った事を今日も思ったよ。
昨日の日記とは真逆に滅茶苦茶長くなった上に込み入った内容だけど、ここまで読んでくださったあなた、大変お疲れ様そしてありがとうございました。明日私は検査ですが、あなたも1日無事生き延びて下さいね。
それではまた別の日記で。