日記#10 病院ホテル
2023/08/23
今夜は病院ホテルにご宿泊。寝るにはまだ早いし、マスクの買い忘れに気付いたのでコンビニ行きがてら夜散歩。
ちょうど良い機会なので、病院の敷地内を逍遥してみることにした。
私が通院するのは大学病院で、敷地内に病院、大学、そして今私が泊まっているホテルがある。素泊まり税込5500円也。
敷地の外の歩道を歩いて大学の建物の前を通る。まだ明かりのついている窓が結構ある。
引き返して大学と病院の間の道から敷地に入る(大学の入り口には関係者以外立ち入り禁止の但し書きがあった。病院の患者ではあるけど大学とは関係ないので闖入は差し控えた)。
進んでいくと、大学正面の建物の後ろにさらに低階層の建物があることに気づいた。今まで前からしか見ていなかったので初めて見る。いや、入院中11階の部屋から見たところかな。講堂とか体育館とかそんな雰囲気だ。全体としてこの大学の建物は大きいけれど、私は大学に通ったことが無いのでこの規模が一般的な大学のそれか否かは判断出来ない。
そのまま病院の建物の後部に沿った道を進んでいく。こちらは病棟のデイルームに面しているようだ。そこから冬、河川敷を眺めていた。今もあそこで別の患者さんが河川敷を眺めて過ごしているのだろうか。
草むらが多いからか、秋の虫の声が結構聞こえる。まだ鬱陶しい暑さだけれど、秋は確実に近づいている模様。風があるので歩くのは苦では無い。ぬるい風が夏を思わせる。夜歩くのは楽しい。
去年の今頃はまだ病人じゃ無い。次の季節はがん患者となってから初めての秋だ。冬が来れば一年。先生たちに会って一年。病気の一年。
ひと通り歩いて地下駐車場と思われる横を通り過ぎホテルに戻った。病院外周の地理を把握。今いる部屋は11階。入院中の病棟の階数と同じである事に今気づく。夜なので川は見えないが眺めは良い。下を車が沢山走っているのが見える。
明日は朝早くからストーマ外来受診。ここの看護師さんは入院中お会いした人の中で唯一今も顔を合わせる人だ。だから会えると凄く嬉しい。最初は胡散臭かったけどガチの専門家の方だ。私は入院中に会った人たちがとても恋しい。ハセガワさんは、メガネ先生は、看護師さんたちはどうしているのだろう。あの時とは裏腹な暑い日々だが、またいずれ肌寒い季節が戻って来る。永遠に懐かしい日、永遠に懐かしい人。そのすべてがあの時にある。
最近は気持ちが塞ぎがちだ。家族とは何一つうまく行っていない。私にとって支えになる人たちでは無い。先生たちがいなければ誰もいない。だから先生たちと会えなくなったり見捨てられたりするのが怖い。死ぬのより怖い。ひとりで苦しまなくてよくなったのは先生に出会ったから。そこが最初で、やっと助けてくれる人に会えるようになった。もう怖いところに戻りたく無い。明日は心理士さんと話をする。出来るだけ今の自分の気持ちをお話しよう。
もう見捨てられない。少なくともここでは大丈夫。心からそれを信じられるようになりたい。
矢鱈長くなった。きりが無いのでここで書くのをやめようと思う。今夜も眠れないだろうが、なるべく体を休めるつもりだ。