『月に惑ふ』についての随想 01
ただでさえ音楽が氾濫しているいま、オンラインコンサートの興隆によって演奏会でさえも、いつでもどこでも聴けるようになった。いろんな演奏会の宣伝をたくさん目にするし、嬉しい反面、聴かなきゃいけない演奏会が多すぎてとてもじゃないが追いついていけない。
こんなに音楽があるのは音楽家としては嬉しいけれど、そんなに追われて聴くものなのだろうか。
『月に惑ふ』は日記文学(更級日記)をベースに作っていることもあって、同じ日付(平安文学なので旧暦ではあるけれど)にだけ聴ける作品だ。その作品は少しだけweb上に現れて、そしてすぐ消える。どうしても聴いてくれとは言わない。その時間に聴けることに気がついた人だけが、孝標女に会いに来てほしい。聴けない人は、今回は縁がなかったということで。また別の日に会いに来てください。
非常に短い作品の連作として1年間続いていく作品。YouTube上で配信し、1時間程度で見れなくなります。流星か、夢まぼろしか、幽霊か、儚く消える作品を見届けててもらえれば幸いです。次回(第4回)は3月13日の21時です。