2/11,2/12『笑う男』感想
幕が開くかどうか開始寸前まで分からずハラハラしましたが、無事に観劇できました。本当に、観られてよかったです…!
さて、初演観劇時に「誰だろうこの足が死ぬほど長くて顔がめちゃくちゃ小さいお姉様と思ってたらワイルドホーン氏とご観劇にいらっしゃっていた和央ようかさんだった」という衝撃体験をした『笑う男』ですが、特に初演とずいぶん雰囲気が違っていたなあと感じた赤黒コンビ(ジョシアナ公爵&デヴィット・ディリー・ムーア卿)について語りたいと思います。
初演はまぁ様とのぶにぃコンビで演じられていたこの2人。
どちらも長身で迫力のある2人で、「似たもの同士」感がありました。
よく一緒につるんでるんだろうなあという雰囲気。
数ヶ月後、シアタークリエことニューヨークでそれぞれ4人姉妹の次女と教授に転生してましたね。かわいかったなあ…
一方、今回の赤黒コンビはキャスト変更に伴い、初演とはガラッと空気感が変わったように思います。
設定こそ前回と同じですが、今回の2人はお互い真逆の存在。
地位も財産も持っているが女性で庶子であるために女王の命令に逆らえない公爵と、同じく庶子で財産使い果たして経済的にピンチに陥っているが男であるため色々大目に見てもらえて気ままに生きているムーア卿。
原作だと公爵が23歳、ムーア卿が44歳(結構離れてんな〜)という設定ですが、今回の2人はそのくらい年齢差も感じるように思います。
つまり、今は地位・財産こそ公爵の方が上だけれども、体格差・年齢差・そして男女差でムーア卿のほうが勝っているわけです。
千弘公爵は公然と女王をdisりつつも今の地位に必死でしがみついていて、どこかでその余裕の無さが滲み出ている。だからこそ、生まれて初めて自分の意のままに飼い慣らしたい存在(グウィンプレン)が見つかってからは全身全霊で彼を手に入れようと画策するわけです。
前回のまぁのぶコンビはまぁ様公爵が身長も大きく、自らの地位を楽しんでいる雰囲気が滲んでいたため、ムーア卿との差を感じるよりもむしろ似ている部分が目立ったため仲良さそう(?)な感じに見えていたのだと思います。
見世物小屋観に行こうぜ!と誘っても、まぁ様公爵は「付き合ってやってもいいけど〜?」と言いつつ用事がない限りは来てくれそうです。しかし千弘公爵は5000回誘って1回乗ってくれればラッキーってくらい来てくれないでしょう。そして誘いに乗ってくれたとしても何かと理由をつけて爆速帰宅してそうです。「裸のレスリング?」と欠伸しながら言っているあたりそんな気がします。トムジムジャックとして立候補したのも、良いところ見せられる滅多にない機会を逃したくなかったのでしょう。(まぁのぶコンビのときは悪友同士の悪ノリで参加した感じだったような)股間を攻撃されるデヴィットを見て爆笑するジョシアナ公爵はマジで良い気味だと思ってそうですよね。
ムーア卿は舞台写真を見た瞬間に「アルトワ伯…?!一体こんなところで何を?!?!」と驚愕しましたが、全然違う人でした!(当たり前)
ていうか四つん這いになったときの動きのなめらかさ何なんですか?亡くなった従妹の寝間着に抱きついてる吉野さんが見たくなってきたじゃないですか。
見世物小屋の芝居でコテンパンにされたこと、「本物の」クランチャリー卿が帰還したことによって彼の中の余裕の部分はどんどん失われていきます。
最初のほうで「卿のほうが公爵より優位にある」と書きましたが、実際は彼もギリギリだったのかなと思います。
2人ともなんとか貴族としてのプライドを守り、強い自分を装い、それぞれの前ではお前より優位に立っているぞと見せつけている結果、赤黒コンビが2人並ぶことにより舞台上で色気が爆誕するメカニズムなのだと解釈しました。
そういえば、2人のデュエットナンバー『暗闇の世界へ』で、大塚ジョシアナにビンタされた吉野デヴィットが、ビンタされた頬をさすった自分の指をなめていました。もしかしてこれって私の幻覚でしょうか。皆さんの目でも確かめてみてください。
グウィンプレンが去った後、デヴィットの犯行を女王に告発すると脅し、からくもジョシアナの勝利として物語は終わります。完全に仮面が剥がれ落ちて本性がむき出しになったデヴィットの暴力を制止できたのも男性であるフェドロがその場に現れたから…というのがなんとも皮肉です。
その後の『私の人生を生きて行く』ナンバーでグウィンプレンが脱ぎ捨てたローブを手にして「欲しいものはいつも手に入らない」と歌う公爵の脆さが切ないです。
今回の再演で公爵が脆い存在として描かれたことで、体が弱いながらもグウィンプレンや一座のメンバーと深い愛情と信頼の絆で結ばれているデアの強さが引き立つのかなと思います。日程の関係でWキャストは真彩デアのみの観劇となったのですが、真彩ちゃんのデアからは儚さと同時にそんな強さも感じました。
『笑う男』は登場するキャラクターが魅力的で、今回は赤黒コンビだけ取り上げましたが本当は全員について語りたいくらいです。出演者の皆さんの歌唱力表現力存在感が圧倒的で、この人数だけで帝国劇場の舞台を埋め尽くせているのがすごすぎました。
そういえば2/12はチケットぴあ・おけぴ貸切公演で終演後に出演者の挨拶があったのですが、浦井・真彩コンビが「自分が思うぴあ・おけぴのポーズ」をしていたのが完全にベネッセのロゴマークにしか見えませんでした。可愛すぎる~。真彩ちゃんゲスト回の浦井健治のラジオも最強にかわいいのでタイムフリー視聴期間のあいだにぜひ聴いてください。
『笑う男』が、どうか大千穐楽まで無事に完走できますよう、心から祈っています。そして映像化よろしくお願いします。Blu-rayとDVDどっちも出してもらえませんか。お願いします。あと全曲収録したCDも発売していただけますと泣いて喜びます。よろしくお願いします。