ポエム/北浦教授(クラスタ対策班データ解析チーム)のメンタルが激強な理由を妄想と憶測を交えて考察してみた

4月11日追記 以下の記事で生々しい政治とのやりとりも含めて内情が明かされています。科学的知見が政治により歪んでいく過程・構図が読み取れます。
「このままでは8割減できない」 「8割おじさん」こと西浦博教授が、コロナ拡大阻止でこの数字にこだわる理由

この記事は何?

これを書いているのは4月7日。新型コロナウイルスの感染拡大が危機的な状況となり、緊急事態宣言が適用される日です。

政府は「持ちこたえている」とかいってるけどどうも怪しい。実際は危機的では?』からはじまったぼくのネット散策と会見の注視、考察は昨日時点で一区切り。疲れた。

政府の対応の悪さについては各所で指摘されているので、ぼくは、ななめ右の考察を記録しておこうと思いました。

今回、関連する会見やTwitterでは北浦教授がもっとも活躍していたように思います。「戦犯!」といった心無い声もあるなか、ずっとTwitterアカウントをオープンにしたままにして、批判に対しても真摯かつ率直に対応していました。その判断に多数の命がかかっているのは自明で、プレッシャーは半端ないと思うのですが、そのメンタルの強さはドコから出てくるのか?

これを考察した結果です。「組織形態」「意思決定(経路)」という観点で考えたら、腑に落ちる仮説があったので記録しておきます。

クラスタ対策班の構造

まずは、クラスタ対策班の構造を確認しておきます。ポイントは「データチーム」と「リスク管理チーム」に分かれていること。

データチームが現状把握を行い、それを元にリスク管理チームが現状を評価して、対策を検討します。メディアに出てくることの多い、北浦教授は「データ解析チーム」、押谷教授は「リスク管理チーム」です。

クラスタ対策班組織図_source

データ解析班の現状把握は間違っていたのか?

ぼくの理解だと、データ解析チームから出た現状分析は比較的現実を反映していたものだったと思います。

それが、リスク管理チーム→専門家会議→厚労省→首相補佐官→首相 と意思決定階層をあがっていくうちにいろいろな思惑(楽観、こだわり、信念、保身、経済面、政局、Etc...)が入って、最終的に国民に届くときには「楽観的すぎる!遅い!実効性無い!」となってしまったのだと理解しています。

これはデータ解析チームとしては不本意だったと思います。

そして、批判の的となっている脆弱な前提(*)に基づいた「クラスタ戦略」もリスク管理チームの押谷教授の研究成果。この点でもデータチームには瑕疵はなかったのかなと思います。

(*)脆弱な前提の例
・「感染しても症状がでないことが多くかつ感染力を持つ(模様)」のでクラスタ追跡して連鎖を断って隔離することは困難
・「クラスタ・サーベイランス」作業は人手を駆使したアナログ作業。感染者がちょっと増えただけで要員枯渇。ICT活用なし。

北浦教授のメンタルが強い理由

自己肯定感が強い。使命感が強い。科学者なので批判慣れしている。応援メッセージに励まされた(特にサッシーw)とか色々とあると思います。

もっとも大きかったのは、自分たちの知力・体力をふりしぼって、真摯に事実・データとむきあった結晶である「分析結果」が様々な思惑により歪められること、不当に自身や若手が批難されることへの憤りだったのではないでしょうか?

これは私の体験からの推測です。(技術的な分析に加えてエンドユーザ側がもつであろう疑問を想定して回答している報告や提案そして問題提起が、間にはいる技術音痴で売上やお客さんの顔色にしか興味のないアホな営業や中間管理職によって細部が削られて、謎の解釈に歪められてしまうと、本当に腹が立つんです!笑)

良かったこと

データチームの北浦教授が会見やTwitterで率直に対話する機会を封じられなかったことは非常に良かったと思います。

Twitterでの北浦教授の発言。たとえば「残念ながら、おさえこめているとはいえません。」は当時の政府見解とは明らかに違っており、内部告発に近いものに感じました。

その後も、色々と疑問・質問に答える形で内部事情が明かされることがありました。政府批判とはいいませんが、かなり踏み込んだ表現です。「開示したよ。立場上、みなまではいえません。察して。」という感じでしょうか。

政治に限らず企業でもどこでも権力者は下々の人が自由に発言することを好みません。おそらく政治・官邸サイドからは「黙らせろ!」という圧力があったのではないでしょうか。

誰かが守ったに違いありません。尾身さんあたりでしょうか。厚労省に骨太な人がいるのかもしれません。ファインプレーです。

情報開示とそれに基づき思考して建設的に議論することが、国や市民が成熟するための必須条件です。体制側の保守的な人には睨まれたかもしれませんが、国益に叶うもので、これこそが「愛国者」だと思います。感謝したいと思います。 (筆者は何も裏付け情報を持ってません。テキトーです)

クラスタ対策班ばかりが批判されることの懸念

クラスタ対策班が対話の窓口を開いています。有用な情報発信・対話もありますが、怒りのはけぐちとなっているようにも見えます。

この流れはちょっとまずいかなと感じています。

失策続きの政府にとってこれほど都合よいことはありません。クラスタ対策班がスケープゴートにされてしまって終わりです。

さらに「政治主導(という名の三権分立破壊)」「利権組織確立」の口実にされて、さらに風通しの悪い、脆弱な国になってしまう恐れがあります。

数年かかるかもしれませんが、落ち着いたらしっかりと意思決定の細部が検証されることを期待します。

・組織面・・・文化、役割、意思決定、どのような基準で選抜されたのか?疫学や感染症専門家以外のスキルをもつ人材はどの程度用意されていたのか?(プロジェクトマネジメント、ICT、コミュニケーション、インフォグラフィック、各種アシスタントとか)
重要な意思決定のプロセス・・・前提や制約。チーム横断の議論は?どんな議論があった?後からみて正解だった指摘が不採用だった場合もしくは採用が遅れた場合、その理由。経済など専門外も考慮してしまったのか?

「先の敗戦から全く学んでない!」は私も共感しますが、それだけではないように思います。

事例集

象徴的な受け答え事例をまとめてます。

かなり手厳しい批判に声を荒らげずに「事実」ベースで対話する姿勢。言い訳するでもなく、声をあらげるでもなく、相手をバカにするでもなく、わからないことはわからない。事実に正直に。

「建設的なやりとり」をする際のお手本だと思います。




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