「ISU SKATING AWARDS」 ベストコスチューム賞、ノミネート作品を衣装屋別に紹介してみる その2
その1の続きです。
10.「Lisa McKinnon」アメリカ
Eunsoo LIM SP
Starr ANDREWS SP
Mariah BELL SP
Jessica CALALANG / Brian JOHNSON SP
L.A.の『Lisa McKinnon』。
2014年に独立してからあっという間に世界中で人気に。平昌五輪では実に17もの衣装が使われました。その後もLisaの衣装を真似するコスチュームメーカーはあとを絶たず、スケート界にはLisa McKinnon風ドレスがあふれています。
今回のノミネートも最多タイの4着ですよ。しかも激戦の女子衣装で。
ウンスの衣装は昨季から持ち越しのやつだけどノミネートOKなんですね。これはウンスが雲の上をイメージして頼んだそうで大好きです。
11.「Ladu」アメリカ
Jason BROWN FS
Kazuki TOMONO FS
ここもよく紹介している『Ladu』。
ジェイソンは昔からここを使っていて、一時離れてまた戻ってきた模様。アメリカの衣装屋さんですが、ロシア出身のデザイナーなので北米的なスタンダードな衣装ではなく、なんとなくユーロ風。友野くんはここの常連だったミーシャの紹介なんでしょうか。
昨季はメドベをここに紹介したのはジェイソンなのかなーと思いました。
12.「ASTRAEE couture」フランス
リヨンのデザイナーSophie Thomasさんの『ASTRAEE couture』。
坂本花織がシニアに上がってからSP・FSはずっとここで作っていて今季で3年目。昨今、日本の選手がフランスの衣装屋さんに頼むのは大変珍しいので、リヨンの振付師ブノワ・リショー氏の紹介でしょうか。この最高の組み合わせに、五体投地でリヨンに向かって感謝したいです。
単純なようで複雑なカットでドレスを美しく見せるのに長けていて、過去のパパダキスの衣装はここの力なくてしては生まれなかったでしょう。
マトリックスの流れる文字をビジューで表現したり、ココシャネルの衣装にカール・ラガーフェルドをもってきたり、遊び心にも溢れたデザイナーさんです。
昨季はエイモズもここで作ってたけど、今季はちがうみたい。
わたしはASTRAEEの大大だーーーいファンなので3000票くらいの気持ちを込めて投票する所存。
13.「Feeling | Mathieu Caron」カナダ
Gabriella PAPADAKIS / Guillaume CIZERON FD
Madison CHOCK / Evan BATES FD
Kirsten MOORE-TOWERS / Michael MARINARO SP
Liubov ILYUSHECHKINA / Charlie BILODEAU FS
モントリオールのデザイナー『Mathieu Caron』。
こちらもLisaに並んで最多タイの4着がノミネート。
(フィアギブ、フルソレ、ワンリウの衣装は不明なので、これもMathieuさんだとするともっと増える)
2015年くらいにウルディアの衣装屋として紹介した頃は、そこまでスケート衣装を作っていなかったんですが、マリパト・アグノエル門下に移籍した組がみんなここに頼むようになって、テサモエの衣装を手がけて人気に火がついた感があります。
カナダのペアスケーター達、シュピルバンド門下までこぞってMathieuさんに頼むようになり、宇野昌磨くんまで来た時はビックリしました。いやーすごいですね。
そして遂に今季はWISAのグリーン&パーソンズまで。うおおおおおおおお北米を席巻している…!
ちなみにチョクベイのチョックさんは自分の衣装のアイデアやスケッチ(デザインと言っていいのかな)を出していて、Mathieuさんとそのチームはチョックさんのビジョンを実現するために動いているんだとか(詳しくは参考記事)
なおパパシゼの衣装が昨季AstraeeからMathieu Caronになって、Astraeeファンのわたしは毎日涙で枕を濡らしています。パパシゼー!戻ってきてくれーー!
14.「Juan Vidal」スペイン
Sara HURTADO / Kirill KHALIAVIN FD
ウルハリのスパニッシュFD衣装はマドリードコレクションにも出ているファッションデザイナー『Juan Vidal』のもの。フラメンコの情熱となんちゃらにインスピレーションをうけたデザインだそう。
とても面白いデザインだし、ナハロ振付のプログラムも大好物なんですが、動いたとき衣装がもたっとして見えるのがファッション畑の人間が作った感があります。そこはマイナスだけどハリャービンにフリル&スケスケという新しい扉を開いてくれたので、プラス1000点あげちゃう。
変わったデザインだったRDもこの方のデザインで、ブロードウェイミュージカルにインスピレーションを受けたそう。しかしよっぽど評判が悪かったのかスケカナの一回でお蔵入りの予感。ロステレコムでは3年前の赤いドレスを着てました。
15.「Satomi Ito」日本
Evgenia MEDVEDEVA FS
Yuzuru HANYU FS
みなさんご存知、日本の『伊藤聡美』さん。今季はワールドワイドにボーヤンやヴィンスの衣装も手がけているよう。伊藤さんの衣装のアレコレは後日独立したページに書こうと思います。
16.「BluLight - BL di Claudia Germini」イタリア
Nicole DELLA MONICA / Matteo GUARISE FS
デラモデルの衣装を手がけているのはペルージャのデザイナーClaudia Germiniの『BluLight』。
ローラースケートの衣装をたくさん作っていて、マッテオがローラースケートチャンピオンの頃からの付き合いみたい。
昔はデラモデルだけしかスケート衣装を作っていなかったけど、今はイタリアジュニアにもClaudiaさんの美しい衣装が増えている。もっともっと他の国からの注文も増えてほしい芸術的な衣装の数々。最近の作品はFacebookで。
3年前に紹介したけど、スケスケブームは去ったようで、最近はあまりスケスケしてない模様。
17.「北京服装学院」中国
Cheng PENG / Yan JIN SP
(2019/12/05追加)
なんとペンジンの衣装は中国の「北京服装学院」さんが作っているとの情報をいただきました!ありがとうございます!
てっきりいつものカナダの『Elite Xpression』かと思っていたら(確かに平昌五輪のスイハンSP・FSを最後に、中国選手の衣装作ったわーってアップしてないかも)
中国記事:“中国造”比赛服,值得期待
https://mp.weixin.qq.com/s/TE4UjIhHhodmXz5NyO3quw
こちらの記事を読みますと今季はペンジンのSP・FS、ホンイーSP・FS、昨季のスイハンEXを作っていると。そして中国ファンからの評判も良いそう。
適当に読解すると、ペンちゃんの話では今季から北京チームデザインの衣装を着れて誇りに思ってる。昨年外国の選手がスイちゃんのスカートを見てとっても美しいと言って、スイちゃんは中国のデザイナーなの、と伝えたそう。
かなり設計チームと密にやり取りできて、競技に適した衣装が着れるみたいなこと書いてあります。スイちゃん談では外国の衣装は滑りやすい素材でペアの動きが出来ず、多くの場合あとで自分で修正する必要があったと。
そして設計チームはローリーとも連絡をとりあって作っていると。へー。
ペンジンの衣装が早速ノミネートされるなんて、とても嬉しいのではないでしょうか。
デザイン画が顔そっくりによせててワロタw
そのほか衣装屋さんが特定できないもの
Alexandra STEPANOVA / Ivan BUKIN FD
ステブキFD。ユダシュキン衣装のRDじゃないんかーーい!いやFDも素敵ですけどね?FDの衣装屋は不明です。昔は『Art-atelier ALTERA』『Natasha Bolshakova』などを使っていましたが、いまは違うようです。
Alexander SAMARIN FS
サマリンはよく変な衣装着てますよね。ヴォロノフと同じ衣装屋だから変なんですかね。『Axel Atelier salon』てとこですけど、この衣装もそこなのかは解りません。
Anton SHULEPOV SP
レオノワの旦那、シュレポフのノミネートは最初FS「シンドラーのリスト」でした。GPSの時からダビデの星はどうなの?と言われていた衣装ですが、ノミネートされたことで海外で非難轟々。ISUが謝罪して「実はSPと取り違えてました」と苦しい言い訳をすることに。
SPは途中でガバッと前をあけて赤いインナーを出してくる脱ぎ衣装。
Daniel SAMOHIN SP
不明。
Dennis VASILJEVS FS
不明。きっとファンの方のが詳しい。
Evgenia TARASOVA / Vladimir MOROZOV SP
タラモロの衣装、平昌五輪後はサマリンのとこで紹介した『Axel Atelier salon』でしたが、このSP「ボレロ」は載っていなかったので不明です。ズエワのところへ行ったのでズエワの衣装屋なんでしょうか。
平昌五輪まではずっとタラソワのデザイナーさんだったんですけど、その衣装屋さんのことは特集ページを作ろうと思い続けて2年経ってしまったので、いずれこのnoteで紹介したいと思います。
Keiji TANAKA FS
田中刑事くんの衣装はいつもどおりだとデザイナーが西村さん、縫製が片岡真知子さんですが、この衣装もそうかは不明。
Kevin AYMOZ SP
この写真かわいい…。
今季はASTRAEEじゃないようなので、ジマーマンコーチ夫妻のシルビア・フォンタナがオーナーだ『Karisma Sportswear』かな?と思ったんですけど載ってませんでした。
Ksenia STOLBOVA / Andrei NOVOSELOV SP
この写真も肝心のストルボワの衣装がわからない(怒)
キラキラテロテロしていてとても美しいドレスです。ストルボワはいつもその1で紹介した『THAT'S ME / Maria Evstigneeva』だったけど、これは載ってないですね。モロゾフがコーチになったのでお抱えの衣装屋でしょうか。
Laurence FOURNIER BEAUDRY / Nikolaj SORENSEN RD
Lilah FEAR / Lewis GIBSON FD
Shiyue WANG / Xinyu LIU RD
フルソレ、フィアギブ、ワンリウのマリパト門下は前述の「Mathieu Caron」が多いんですけど彼らの衣装は載ってないですね。
フルソレは何年か前にシゼロンが衣装を手伝っているという記事を読みました。ワンリウは移籍前はメリルの衣装屋さんが作っていました。
Matteo RIZZO FS
リッツォの衣装はいつも仕立てが良いんです。さすがイタリア。ジュニアの頃からその1で紹介した『Mode Italy Aspesi』で何着か作っているのを見かけました。毎回作ったものを載せてくれるお店じゃないのでこの衣装も作ったかは不明です。それにイタリアには良い仕立て屋が沢山ありますし。
Nam NGUYEN SP
Roman SADOVSKY FS
Roman SAVOSIN FS
不明。
Satoko MIYAHARA FS
ダビデの星衣装から変わったこの衣装も『juju designs』なんでしょうか?色もビジューの置かれ方も背中のあきも美しいです。手首のひらひらもとても良い。
Nathan CHEN FS
お母さんと選んだ生地で作った(仮?)衣装がノミネートされてしまっている…!
Shoma UNO SP
ファンの方が詳しそう案件。
一応予想しますと、昨季のSP(たぶん)・FSと、今季のFSが『Feeling | Mathieu Caron』だったのでコレもそうなのかな?
アップで見るとプリントした生地に石を貼り付けています。↓こちらの写真を拡大すると解りやすい。こういうのMathieuさんのとこが上手いイメージだし、色合い線使いのファンキーさがMathieuさんみがある。
あとはこういうプリントって日本だとチャコットとか?知らんけど。
Rika KIHIRA FS
紀平さんのフリーの2着目がノミネート。なんかこれ、何着か着てても後から着てた方ばっかり選ばれてる気がする。1着目の青いフリーは『伊藤聡美』さんですが、これはチャコットっぽく見えます。真相はいかに。
Piper GILLES / Paul POIRIER RD
パイポーはRDがノミネートなんですね。FDもステキだけどRD可愛いですもんね。衣装はバレエ衣装屋の『The Costume Lady』がいつも作っていましたが、これは不明です。
Sofia SHEVCHENKO / Igor EREMENKO RD
チェンコメンコがノミネートされています。ジュニアの頃の衣装が結構好きで調べたことあったんですが、どこだったか忘れました。だってロシアって星の数ほど衣装屋があるんですもん。
Tae Ok RYOM / Ju Sik KIM SP
リョムキムがノミネート!すごい…!やったねたえちゃん…!ユニタード似合うからデラモデルの衣装屋さんの超絶キラキラ衣装を着て欲しい。
Victoria SINITSINA / Nikita KATSALAPOV RD
写真からあふれ出るルンルン感w
シニカツRD「雨に唄えば」衣装がノミネートです。タラソワおばちゃんがTV解説でニックのグレースーツが気に入らないって言ってましたが、選ばれたのはグレースーツでした。
いつもシニカツの衣装をデザインしている芸術家の『Olga Oskina』さんが今季もFDは自分のドレスってfacebookで言ってました。RDはどうなんでしょ。
〜総括〜
カテゴリー別ノミネート数:
Mens 15
Ladies 15
Pairs 10
Ice Dance 12
計 52
最初からカテゴリーで数が決まってたのかな?
そのうち衣装屋さんが解らないのが24でした。約半分…無念。
紹介できた衣装屋は16にとどまりました。
一人一着しかノミネートされない仕様だったようで、かなり意外な衣装まで票がまわっていた印象です。
複数ノミネートの衣装屋さんでいうと
Lisa McKinnon 4
Mathieu Caron 4
Olga Ryabenko 3
Ladu 2
Satomi Ito 2
ONDINE STYLE 2
と、いま人気のデザイナーがやはり複数選出されていて、なっとくの結果になりました。判明しない24着の衣装屋さんが解ればまた違う結果になると思いますが。
全体的に男子はシックな衣装が多かったかな。ペアはユニタードがたくさん選ばれていたのが印象的。
ISUアワードの投票期間は2月10日まで。
来年3月10日に各部門の最終候補3つが発表され、モントリオールの世界選手権で受賞者が発表されます。
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