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シンクロナイズドスケーティングの衣装屋さん特集〜Team Paradise、Marigold IceUnity、Rockettes、NEXXICEほか〜

先日、ISUから3月のワールドは開催予定との発表がありました。
一方でシンクロワールドは昨季に続いて2年連続の中止が決定……。

悲嘆にくれシンクロの動画を見漁っていたら、シンクロならではの好きな衣装屋さん沢山あるなあと思ったのでご紹介します。

1.「Vasilii Kharitonov」Team Paradiseの専属デザイナー(ロシア)

いまや世界一の強豪になってしまったTeam Paradiseの衣装はロシアのファッションデザイナー「Vasilii Kharitonov」が作っています。
私が知る限り2016年に世界チャンピオンになってからずっと彼の衣装。

ロシアって何故かファッションデザイナーが舞台衣装やスケート衣装を作っていることが多いですね。リーザの衣装を作っていたSokolovさんや、CSKAの衣装を作っているLevinさんもファッション畑の人ですし。
芸術や舞台に触れる機会が多いのか、スケートが身近なスポーツだからなのか。

ファッションデザイナーがデザインしているためか、Paradiseはシックなドレスが多いのではないでしょうか。

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photo:JURA Synchron Credits: Kirsi Laine Photography

Kharitonovさんはデザイン画や製作過程を頻繁にSNSにアップしてくれる方で、Paradiseの衣装がどうやって作られているか沢山見ることができます。
彼はインスタ廃人なので多くの投稿の中から一部を紹介すると…

↓美しかった2018-2019SP「ノクターン」のメイキング動画

↓2017-2018SP「エクソジェネシス」のメイキング

↓今季2020-2021のFS「白鳥」のメイキング。スカートは遠くからだとフワフワに見えたけど、これはゴワゴワしてそうw背中の片翼がかっこいい。
(先日のロシアナショナルFS動画がYouTubeで著作権にひっかかって見れません涙。VKに観客撮影動画がアップされています)。

↓2019-2020FS「ボレロ」のメイキング

私はこのボレロの衣装が大大大好きで、右腕の螺旋がホールドして繋がることで一体化したねじれを生み出していく様がたまりません。
集団の動きだからこそアシメトリーな衣装が映えるところも。
正直この動画の演技はボロボロなので(それでも大好きで何回も見てしまう)ワールドでの完成形が見たかった……。

2.「Danceprofile」クリスタルアイスの衣装屋(ロシア)

クリスタルアイスのジュニア、シニアチームの衣装を作っているのは「Danceprofile」。
シングルではタラカノワの衣装なども作っています。

クリスタルアイスはジュニアのチームが強くて世界ジュニアワールドで上位になっていますが、今季シニアのチームも国内でタタルスタンを抜いて2位になりました。
もしシンクロワールドが開かれたらタタルスタンじゃなくてクリスタルアイスがロシア2だったのかなあ。

3.「Ateljee Titta Kettunen」ヘルシンキ強豪チームのハイレベルな衣装はここで作られる(フィンランド)

Marigold IceUnityHelsinki RockettesTeam Fintasticなどなど多くのシンクロ強豪チームを手がけるのはフィンランドの「Ateljee Titta Kettunen」。

シンクロだけでなく女子シングルのペルトネンや、マルガリオ門下のアイスダンスチーム、その他多くのフィンランド選手の衣装を作っています。
(マルガリオ門下の子達はいつも衣装のセンスが良くて、イケオジなマルガリオの影響なのかな?と思っていましたが、単純にこの衣装屋さんのセンスが良かったからのようですね!)

デザイナーであるTittaさんはYleやさまざまなテレビ制作会社で衣装デザイナーとして活躍していた経歴の持ち主。専門学校で裁縫を教えたこともあるそう。
2006年に起業し(フィンランド版?)DWTSの第1シーズンのコスチューム担当に。現在はスケーターに加えて、ダンサー、新体操選手、チアリーダーなど様々な分野でひっぱりだこの人気デザイナーになっています。

↑左がTittaさんで、右が娘さんのJanicaさん。
娘さんが衣装の装飾、グラデーションや布への印刷などの全てのPC作業を担当しているそう。
例えばLumineersのこの衣装も全てデジタルプリントなんだとか。

毎シーズンとんでもない量の衣装を製作しているな、グラデーション綺麗だな、とか思っていましたが、こういったデジタルツールを駆使しているんですね。
アトリエに印刷機があるのかPC作業や出力の様子を見せてくれています。

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本当にこの衣装屋さんはハイセンス。あの衣装もこの衣装も見たことあるのばっかりー!な大人気ぶりも納得です。
↓昨季フィンランドで衣装の人気投票ランキングを開催していたのですが、4000票投票された中でこのデザイナーさんの衣装が多数ランクインしていました。

参考記事:
skatingfinland.fiによるインタビュー記事
skatingfinland.fiによる2019-2020衣装人気投票最終選考
skatingfinland.fiによる衣装人気投票最終結果

4.「Studio Jannika Lilja」元世界チャンピオンで、元N.Y.のファッションデザイナーで、現在コーチ兼衣装デザイナーという異色の経歴(フィンランド)

Marigold IceUnityの傑作プロ2016-2017FS「フィンランディア」。
フィンランドの独立100周年を祝う伝説的なプログラムでした。このアイコンともいうべき衣装をデザインしたのがこちらの「Studio Jannika Lilja」。
(製作は上で紹介した「Ateljee Titta Kettunen」がしたようです)

デザイナーのJannikaさんは、2006年に世界チャンピオンになったMarigold IceUnityのメンバー。
優勝から1年後ファッションへの情熱が燃え上がった彼女はサンフランシスコのAcademy of Art Universityへ入学。ファッションデザインとニットウェアを学びます。大学卒業後はN.Y.で ロダルテ、マリメッコ、イーガル・アズロエールなどのファッション界の著名人と仕事をしたそう。

そんな彼女のデザインする衣装はモード感抜群。
ファッション界のブラック労働に疲れ果て2016年に帰国してからTeam UniqueMarigold IceUnity、自身が立ち上げたチーム、さらには海外チームなどの衣装を手がけています。
そしてコーチングや振付も行っているのですから、もう多才すぎ!

参考記事:
INDYweekのインタビュー記事
オンラインソーイング講座によるインタビュー(ここのオンライン講座で体型が違う選手に衣装を作るコツなど話ている)

5.「Elite Xpression」シングルやペアの衣装でもおなじみモントリオールの超大手衣装屋(カナダ)

衣装好きで知らない人はいないでしょうレベルの衣装屋さん「Elite Xpression」。
ローリー・ニコル、デイヴィット・ウィルソンからの信頼も厚くて(キムヨナは「プログラムを表現してくれる良いデザイナーがいるんだ」とここを紹介されたらしい)、世界中のスケーターが頼む衣装屋さん。

表彰台の3分の1が「Elite Xpression」の衣装だった時もw

チーフデザイナーはJosiane Lamond。ここはビジネス的なオーナーが別にいるので、すごく手広く事業をやっています。日本のChacottみたいな感じなのかな?ちょっと違う?

シンクロの衣装も20年以上にわたって作っていて、カナダの強豪Les SuprêmesNova、はもちろんフランスのZoulous、日本の神宮アイスメッセンジャーズなど世界中のチームの衣装を手がけています。

Les robes du programme long des Suprêmes de St-Léonard, de Jingu du Japon et des Zoulous de la France

Posted by Elite Xpression on Sunday, April 8, 2018

ここに頼めば絶対に高いレベルの衣装になる安心感がありますね。
特にゴージャスな衣装が得意なイメージ。
かといってシンクロの衣装は女子シングルほど石を沢山付けたりできませんので色々工夫しているよう。

たとえば強豪チームNovaの2019-2021FS「Fly」は自由な飛翔をテーマにしたプログラム。鳥の羽がゴージャスにビーディングされているように見えますが、実際はデジタルプリントした羽模様に少しの石で豪華に見せているみたい。

Entrevue avec Josiane Lamond, conceptrice du costume des ramasseurs de fleurs des Championnats du monde ISU de patinage...

Posted by Elite Xpression on Tuesday, March 10, 2020

↑幻になったモントリオール世界選手権のフラワーガールの衣装製作動画を見たら、アトリエがめちゃめちゃ広く美しくなっていてビックリ!10年くらい前はごちゃごちゃしてたのに。
そりゃ大量に衣装作ってしまいますわ〜。

5.【閉店】「Dress Wright」シンクロ衣装専門の衣装屋さん(カナダ)

Dress Wright」残念ながら2020年3月に25年の歴史に幕を閉じ、衣装作りから引退されてしまいました。
つい最近のWinterfest2019という大会では100チーム中28チームがここの衣装を着ていたほど、数々のシンクロチームから愛されていた衣装屋さんでした。

こちらの衣装の中でも強豪チームNexxiceの衝撃作、2018-2019FS「ハンドメイズ・テイル」の赤いドレスはドラマの侍女を象徴し、ディストピアな世界観を強調する珠玉の作品。

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世界選手権ではフィニッシュでしかフードを被りませんでしたが、Winterfestでは↑のように最初からフードを被って演技(動画)。それがまた素晴らしくて……。何でフードを被る演出をやめちゃったんでしょうね。ルールに抵触したんでしょうか。

しかし衣装をこうやって使うアイデア面白いですね。

このお店のBlogのコラムがとても面白くて、なんと執筆を有名記者のPJクォンさんがしているんです。
シンクロは昔36人でやってた話(密すぎる…!)、衣装を作りたいけどお金がないチームに「Dress Wrightがどんなに親身に相談にのってあげたか、過去の見るべき演技動画、などなどシンクロが好きなんだなあ〜というお話が沢山です。

6.Nexxice「Garden Statues」の衣装屋情報を求む!

Nexxiceの2019-2021のFS「Garden Statues」は彫像をテーマにしたプログラム。
私はNexxiceの空気のように軽いスケーティングが大好きなのですが、この「Garden Statues」はその魅力を余すところなく詰め込んで古典的な優雅さまで併せもった最高のプログラム。
衣装もステキ。でも衣装屋がわからない!ご存知の方がいたらぜひぜひ教えてください!

8.まとめ

アメリカとスウェーデンの衣装屋情報が入れられませんでした。反省。短くまとめるのが難しい。

Marigold IceUnityの監督がシンクロ衣装を作るときの注意点として

・リフトの邪魔になる長いスカートは避ける
・リフトで手が滑るような素材は使わない
・メンバーに男子が入る場合もあるのでユニセックスな衣装を考える


みたいなことを言っていました。
言われてみればマリゴのスカートは短いかも。逆にParadiseのスカートって長めですよね?

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↑このリフトなんてスカート踏んづけそうで怖ーい!と思いながら見てました。まあ私は長いスカートをバッサバッサさせてる方が好きですね〜。

最後はきゃわわ〜!な衣装で〆。
風船がサラ・マイヤーの衣装みたい。



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