限界独身オタク男性がSIGMAで最も売れないレンズを買った話
オタクはすぐ変なものを買う。
50-100mm F1.8 DC HSM | Art
買ったレンズがこちら、SIGMA Artラインの50-100mm F1.8 DC HSMになります。ちなみにDCはAPS-Cセンサー向けを意味し、HSMはAF用モータの種類を指します (Hyper Sonic Motor)。
APS-Cセンサー向けのレンズなので、実際の画角はフルサイズで言うところの75-150mm相当になります。ポートレート向けの中望遠ズームですね。
ズーム倍率が2倍しかない代わりに、F1.8という圧倒的な明るさを手に入れたというめちゃくちゃ尖ったレンズです。オタク好みですね……(ニチャア
ズームレンズというよりは、85mm / 105mm / 135mmの単焦点レンズ3本がひとまとめになった様なレンズですね。これはあちこちで同じことが言われていますが、本当にその通りだなと使っていて思いました。
一番売れてないレンズなの?
SIGMAの山木社長が過去に以下の様なツイートをしています。
「(24-35mm F2と50-100mm F1.8を指して)うわー、それ当社で最も売れないレンズのトップ2です」と仰っているので、一番売れてないレンズと言ってもギリギリ嘘では無いでしょう。
……と、思っていたのですが。
「『24-35mm F2が当社で一番売れてないレンズ』とツイートしましたが、よく考えたら、(APO MACRO 180mm F2.8を指して)こっちの方が売れてないですね。」
……。
24-35mm F2と50-100mm F1.8が売れてないレンズのトップ2
24-35mm F2が一番売れてないレンズ
APO MACRO 180mm F2.8の方が売れてなかった
これらを統合して考えると、売れてない順に
・APO MACRO 180mm F2.8
・24-35mm F2
・50-100mm F1.8
になって、最も売れてないレンズじゃなくて3番目に売れてないレンズになるやんけ!タイトル詐欺になってしまった……。
まあでもオタクはすぐに物事を大げさに語るしこれくらいはよくあることとして許して貰えるかな?
どういうレンズ?
F1.8という単焦点並の明るさを持った中望遠のズーム
最初の項でも書いたので繰り返しの説明にはなりますが、めちゃくちゃ明るい50-100mmの2倍ズームのレンズになります。
ズームなのにF1.8ですよF1.8!!
APS-C向けのレンズなので、画角としてはフルサイズ換算で75-150mm相当になり、ポートレート向けの中望遠と言えます。
デカい
全長170.7mmは伊達ではなく、最大径93.5mmと相まってめちゃくちゃデカく感じます。
この大きさでAPS-C向けというのが信じられない……フルサイズ向けの70-200mm F2.8 DG DN OS | Sportsと対して大きさ変わらないんですよ????なんなら最大径は50-100mmの方が太いし(全長は70-200mmの方が3cm程長い)。
まあ、APS-C用だからF1.8という明るさを確保してもこの大きさに出来たとも言えるんですが。CANONから出てるRF28-70mm F2 L USMなんかは最大径が103.8mmでフィルター径が95mmとかいう冗談みたいな太さしてますからね。
いやでもやっぱりフルサイズ用のパンケーキレンズと並べると脳がバグる……。
重い
1,490gあります。1,490gです。RF28-70mm F2は1,430gです。嘘だろ(焦点距離が異なるとは言え)フルサイズ用より重いのかよ。流石Artライン※。
※SIGMAのArtラインのレンズは、公式サイトで『サイズや多機能性に優先して「とにかく描写性能を」との期待に応えうるライン』と説明されている様に、描写性能のみを突き詰めるあまり重くてデカいモデルが多い(参考:https://www.sigma-global.com/jp/lenses/lines/)。
今のところは手持ちで使ってるんですが、あまりにも辛いので長時間撮影をする時は三脚か一脚を使おうと思ってます……。
写りがハチャメチャに良い
描写性能のみを突き詰めているArtラインのレンズなだけあって、とにかく写りがハチャメチャに良いです。
今まで使ってきたレンズのどれよりもビシィッ!と写ってくれる気がする。
焦点距離の差による写りの違いも影響しているのかもしれませんが、それにしたって他のレンズで撮った写真とはあからさまに違う雰囲気を出す写真が撮れるので、最初にシャッターを切った時は「え……何このヤバいレンズは……」とめちゃくちゃビビってました。いやまあfpにはシャッター無いんですけど(ガハハ!)。
インナーズーム
インナーズームです。
えっインナーズムなのこれ!?
写真だとちょっと分かりづらかったので動画も。
どの焦点距離でも全長が変わらず、なんなら重心も変わってない様に感じます(多分厳密には微妙に変わってるはず)。
どの焦点距離を使っていても取り回しが変わらないというのは地味にストレス低減に役立ってる気がします。多分。
ジンバルに乗せた時も重心が変わらないのでバランスを取りなおす必要が無いのもいいですね。もっとも、この焦点距離のレンズをジンバルに乗せようとする人はそう多くないと思いますが……。
作りが良い
流石SIGMAのArtライン。
Contemporaryラインのレンズだからと言って作りが悪いということはなく、むしろIシリーズみたいに作りの良さにも拘っているものもあったりするのですが、やはりArtラインともなるとそれ以上の作りの良さ、質感の高さを感じます。
ピントリングやズームリングの重さ、鏡筒の剛性感なんかは素晴らしいですね。
高価いわけではない
Amazon価格で大体12万円に届かないくらい。決して安いとは言えない価格ですが、レンズ全体で見れば普通の範疇に収まってる金額だと思います。
そしてスペックを考えると普通に安い。単焦点3本を揃えると考えても安い。お買い得レンズだと思います(オタク特有のガバガバ理論)。
どうしてこのレンズを買ったの?
あまりの尖りっぷりにオタク心が騒いだから……というわけではないです。
ライブハウスでの動画撮影がしたかった
過去にnoteで書いたSIGMA fpの記事内では書いていませんでしたが、購入した当初はカメラを使ってライブハウスで演奏してる様子を動画で撮影したいなと思っていました。
その時にどういうレンズが良いかを調べてみたところ、「明るい望遠レンズが良いよ!70-200mm F2.8とか!135mm F1.8とか!」ということを言ってる人が多く、へ~そうなんだ~とアホ面晒しながら探していたら、明るい望遠レンズとして出てきたのがこれだったんですよね。だからfp買った当時から欲しかったレンズなんです。
「fp買ったのなんてもう何年も前じゃん。なんで今になってやっと買ったの?」という話になってくるんですが、fpを買ってからすぐにコロナ禍に入ってしまい、ライブがほとんど開催されなくなってしまったという事情が……。
当時は自分が演奏する側のライブも予定されていたんですが、当然それもキャンセルになってしまいました。
当時はこのレンズの使い道を「ライブハウスでの撮影」以外に想定して居なかったので、「ライブ撮影が出来ないんじゃ買ってもしょうがないか……そもそも高価いしな」と思って購入を先延ばしにしていました。
が、コロナ禍が終わりライブが行える様になって来た他、中望遠レンズを使った撮影をもっとやりくたなってきたこと、自分達のバンドでライブをやる予定が4年ぶりに入ったことなどが重なって、買うなら今しか無いだろ!ということで購入となりました。IYH!
動画撮影用として評価が高かった
実はこのレンズは動画撮影用のレンズとして評価が高く、後から映画撮影用のシネレンズ版が発売されるほどのものとなっています。このシネレンズ版、光学系はスチル版をそのまま使用しているとのことですので、逆に言うと映画撮影用のレンズの写りをそのまま味わえるレンズということになります。そのため、70-200mm F2.8の様な一般的な明るい望遠レンズは選ばずにこれを選んだというわけです。
また、このレンズはAPS-C用なのでfpの様なフルサイズで使用する場合はクロップする必要があり、画素数が削れてしまいます。ですが動画を撮るとなるとfpの場合は高くても4k解像度となり、これはクロップ後よりも小さい画素数になります。そのため、動画を取る分にはフルサイズ用かAPS-C用かといったことは気にする必要が無かったんですよね(いやまあ厳密に言うと差はあるんでしょうけど、恐らく自分には差を感じられないだろうし問題にはならないだろうという判断をしました)。
APS-C用レンズをクロップして使うことに抵抗が無かった
動画ではAPS-C用レンズであることが問題にならないことは今説明した通りですが、写真ではそうもいきません。どうしてもクロップする分画素数が削れてしまいます。ですが既にAPS-C用のレンズをfpで使っており、自分の用途では画質的に問題にならないことを把握していたため、特に抵抗を感じませんでした。
ただ、想定よりも遥かに写りが良かったため、使ってる内に「APS-C機、もしくはクロップしても2000万画素を超える様な高画素機が欲しいな~~~~」と思ってしまうようになったのは誤算でした。SIGMAがAPS-C用のFoveon機を出してくれれば丁度良いんですが、出るとしてもかなーり後になりそう……。
実際に使ってみた感想は?
写真を撮ってみての感想を書いたはずだったのですが、「どういうレンズ?」の項で書いた内容と被ってしまった。
デカ過ぎる
全長170.7mm、最大径93.5mmというかなり大型のレンズです。いや勿論200mmを超える様な超望遠レンズと比べたらまだ小さいのですが、それでも存在感のあるサイズです。少なくとも他の手持ちのレンズと比べたら圧倒的に大きいです。
ここまで大きいと、まず持ち運びに困ります。今までカメラを持ち運ぶのに使っていたバッグには到底入らない大きさなので、まずはカメラバッグを新しく買うところから始めました。これについてはまた別でnoteを書きます。
大きいとは言っても普段の撮影で取り回しに苦労するほどのサイズではないので、余程狭い場所で使ったりしない限り、困ると言うことはないです。ただやっぱり存在感のあるレンズなので、周りに人が居る時に使うとちょっと気恥ずかしさを感じますね。人が使ってるカメラを気にするのなんて同じカメラオタクくらいなので、別に恥ずかしがる必要は無いんですがオタク特有の自意識過剰っぷりが出てしまいます。
重過ぎる
大きさよりもこっちの重さの方が辛いです。1,490gもあるので、カメラにデカいコカコーラのペットボトルを着けてるようなものですからね。クソ重いです。
まず、マウントへの負荷が気になります。レンズに手を添えずにカメラだけを持って構えた場合、もげる……まではいかなくともマウントへ変な負担が掛かってそうだなあ~~~~嫌だな~~~~~ってなる程度には重いです。
このレンズは一眼レフ用に販売されたものでミラーレスであるLマウントモデルは存在していないため、CANONのEF-Sマウントモデルを純正マウントコンバーターのMC-21(EF-L)を噛ませて使っているので、そこへの負荷も気になります。
実際のところ、カメラだけを持ってブンブン振り回してモーメントを与えたりしなければ特に問題ないと思うのですが、どうしても怖くて構える時は必ずレンズに左手を添える様にしています。
まあ正直な話をするとマウント部への負荷なんかどうでもよくて、本当に問題なのはシンプルに疲れるところです。初めて持ち出した時は近所のスナップに使ったのですが、大した時間撮影したわけでもないのに翌日は軽い筋肉痛になりました。マジ?
筋肉痛になるのは僕の様な貧弱な人だけだと思いますが、普通の人でも長時間手持ちで撮影するのはかなり辛いと思います。ストラップで首から下げれば手は多少楽になりますが、こんどは首に負担が……。
やはりこういうレンズは三脚や一脚で運用するのが正解かなと思います。勿論俺は構えるで!手持ちで!
写りがハチャメチャに良すぎる
マジで写りが良いので撮った写真を見返す度にニコニコしちゃいます。
手持ちの18-50mm F2.8 DC DN | Contemporaryの望遠端と、このレンズの広角端の焦点距離が一緒だったので比較写真を撮ってみました。
18-50mm の写りが悪いわけではないのですが、やっぱり比べてみると50-100mmの方が良いなって思えます。
あ~~~~やっぱりAPS-C機か高画素機欲しくなっちゃうな~~~~~~。CANONの7D mk2がAmazonで5万円くらいだし、うっかり買っちゃうかもしれない。
逆光には弱い
ゴーストやフレアが結構入りました。描写面の数少ない弱点ですね。
個人的にはむしろエモくなるので積極的に入れたくなるしまあヨシとします。
撮った写真
このレンズで撮った写真を並べていきます。
総評
このレンズを購入した本来の目的であるライブハウスでの動画撮影はまだ出来ておらず、写真を撮ってるだけですけど既にめちゃくちゃ楽しいです。
カメラに着けてバッグに入れっぱなしに出来るようなレンズではないので、「今日は◯◯を撮るぞ!」と決めて出かける時じゃないと使えないですが、今まではそういう「撮影のために出かける」ということをほとんどして来なかったので、なんか新鮮な撮影体験が出来てます。カメラ趣味って本来はそういうものでは?肝心の写真が下手なのはご愛嬌ということでどうにか。
最も売れない(最も売れないとは言ってない)レンズというだけあって、かなり人や用途を選ぶレンズだと思いますが、ビビッと来た人には是非触ってみて欲しいレンズです。
APS-C機をメインで使ってる人、明るい望遠レンズが必要な人、動画用の望遠レンズが欲しい人、いかがですか……?