ある日、パーソナルAIバトラーがやってきた
要点
Amazon Alexaや、Google Home等のスマートスピーカーがもう少し賢くなったら、どうなるのか?
・スマートスピーカーは、「ドラえもん」である
・スマートスピーカーは、優秀な秘書/執事になる
・パーソナルAIバトラーは、医者にもなる
・パーソナルAIバトラーは、デバイスを渡り歩く
・あなたはAIバトラーにコントロールされるのか?
Amazon Alexaや、Google Home等のスマートスピーカーが徐々に浸透してきています。 わたしの家にもAlexaはいますが、わたしの好みを覚えてくれないなど、まだまだ感は否めません。 しかし、このスマートスピーカーは、これからの世の中を考えると、企業にとっては、とても重要な戦略的商品だと思います。 しかし、それほど重要な位置づけにもかかわらず、すでにこの2社が圧倒的に他を引き離してしまっています。 Appleは、別のアプローチでこの戦略的なポジションを狙っているようではありますが、果たしてどうなることでしょうか。
スマートスピーカーは、「ドラえもん」である
すでに気づいている人も多いとは思いますが、AlexaやGoogle Home(そしてGoogle Assistant)は、ドラえもんの先祖です。 いや、もしかしたら、ドラえもんよりかなり優秀なロボットになるに違いません。 彼らは、持ち主に寄り添い、持ち主が困ったときに、助けてくれます。
例えば、現在は、シャンプーがきれたら、コンビニやドラッグチェーンに買いに行きますよね? でも、Alexaに「シャンプーがきれそうだ」と相談したら、AlexaがAmazonでシャンプーを注文してくれます。 受取りもいまより楽になるでしょう。
現在は、宅配ボックスがないと、宅配の荷物を受け取るために時間を合わせて在宅していないといけないですが、あと数年もすれば、宅配のヒトがスマートロックで家の鍵を開けて玄関に荷物を置いて帰るのが当たり前になるでしょう。 そんなとき、宅配のヒトが玄関の奥に入り込まないように、きっとAlexaもGoogle Assistantも、家の中に設置されたWebカメラで撮影を始め、玄関を越えたらセンサーが感知して、警報を鳴らすようになるでしょう。 もちろん、ご主人様がスマートロックを開けるときのコードは異なるものにしたり、顔認証でご主人様と判断したりすれば、警報は鳴らしません。
スマートスピーカーは、優秀な秘書/執事になる
現在のAlexaは、自己学習してくれませんが、そのうちにご主人様に教育されることで、次第に賢くなっていくようになるでしょう。
スケジュールの調整もやってくれます。 しかも約束の場所に行くのに遅刻しないように、移動時間まで考慮してくれて、交通機関の調査や、必要ならクルマの手配もしてくれるでしょう。
Google Assistantのデモ にあるように、AIが直接電話やメールでレストランや美容院を予約してくれるようになります。
ご主人様のコミュニケーションスタイルや、さまざまな好みを自己学習していくことで、個々人のニーズに応えてくれるようになる。 まさに、パーソナルAIバトラーと言えるでしょう。
そのうち、「ドラえもん、アレやっといて!」と指示するだけで、「アレ」に該当しそうな選択肢を読み上げてくれて、「そう、それ!」と言うだけで、阿吽の呼吸が伝わるようになるかもしれません。 まさに、最高の執事です!
パーソナルAIバトラーは、医者にもなる
いま、GoogleとAmazonの両社が力を入れている分野に、医療センサーがあります。 医療センサーというと、Apple Watchのようなウェアラブルセンサーが真っ先に思い浮かびますが、この2社が特許を取得しまくっていると噂されているのは、非接触センサーだそうです。
例えば、風呂場の鏡に埋め込まれたセンサーが、静脈から血圧を測定するなど、家のさまざまな場所に身体の健康状態を測定するセンサーを付けることで、その情報をスマートスピーカーに集めて、日々健康診断をしてくれるというわけです。
このように、パーソナルスピーカーは、家の中にさまざまな目的を達成するためのセンサーが張り巡らされた時、情報を集めてクラウドと通信するハブとなり、AIが何らかの判断をして住人に知らせたり、外部と連絡してスケジュールを調整したりするようになります。
他のセンサーメーカーも、センサーが読み取ったデータを自社のクラウドに送りたいところですが、ユーザーにネットワークの設定をしてもらう必要があるだけでなく、集まるデータも限られているため、AlexaやGoogle Assistantにデータを渡した方が、適切な提案をしてくれるので、住人/ユーザーもそういったセンサーを買おうとするでしょう。
家の中を離れ、デバイスを渡り歩く
パーソナルAIバトラーは、家の中だけではなく、デバイスを渡り歩くようになるでしょう。 実際、Google Assistantは、Google Homeだけでなく、Android端末でも利用できます。
2つのGoogle Assistantが同じ情報にアクセスして、ご主人様の嗜好や性格を同じように理解して、同じように接してくれるようになっていくでしょう。
家の中、クルマの中、街を歩いているとき、職場と、どこにいても、同じパーソナルAIバトラーが付いてきてくれるようになるでしょう。 すべてがクラウドに繋がっていれば、それが可能になります。
あなたはAIバトラーにコントロールされる?
最後に、少し怖い話をします。
もし、あなたがパーソナルAIバトラーにあなたの性格や嗜好をきちんと教え込み、優秀なバトラーに育てたとしましょう。 バトラーは、あなたの日常の習慣をすべて把握し、あなたも面倒なことは、すべてAIバトラーに任せるようになります。
買い物も、目覚ましも、メールの処理もです。
友人・知人から来たお誘いも、スパムメールフィルターに任せて、あなたが大切と思っている人からの連絡だけ、バトラーに読み上げてもらうか、どこかのモニターやスマホ(またはスマートグラス)に表示してもらいます。
買い物も、街に出ることはなく、パーソナルAIバトラーが自分の嗜好にあったものを流行しているブランドから選んで提案してくれるようになります。
そのとき、もし誰かが意図的にパーソナルAIバトラーを乗っ取ったら、どうなるでしょうか? いまでも大切なメールが、スパムフィルターに自動的に振り分けられることは良くあります。 LINEやFACEBOOKのアカウントを乗っ取られて、他人に迷惑をかけることになった経験のある方も少なくないでしょう。 すでに、Alexaに買い物を頼むと、Amazonで購入することになるのと、同じようなことが、もっといろんなところで起きるでしょう。
あなたは、乗っ取られたまま気づかずに、大切な情報が知らされずに闇に葬られたり、誰かが意図的な情報を紛れ込ませてAIバトラーに提案させたりするかもしれません。 健康状態を見て提案されたサプリメントや医療機関が、AmazonやGoogleの資本の入ったもので、しかも品質は良くないのに、割高なサービスを提案されているかもしれません。
結論
これからは、世の中のほぼ全員が、パーソナルAIバトラーを保有するようになるでしょう。 あなたがこの業界でビジネスを行っている企業の社員か、起業家だとしたら、どんな製品やサービスを開発して提供しますか? AlexaやGoogle Assistantに対抗しますか? それとも、それらに接続することを考えますか?