仕訳の【勘定科目】 自賠責・自動車税って何費にするのがいいの?
こんにちは。SKPです。
先日、車の車検を受けたお客様がいました。会計ソフトへの仕訳入力を自社でされているところなのですが、「車検にまつわる費用」って何の勘定科目になるの?と相談がありました。
実は極端なことを言うと、『勘定科目は何でもいい』というのが答えだったりします。
何故そのような回答になるのか、今回はそんな仕訳の『勘定科目』について少し書きたいと思います。
何の勘定科目を使うのか、ある程度の基準は決まっている
【ある程度】と書くと語弊があるかもしれませんが、企業会計や簿記は『企業会計原則』に則って会計処理を行っています。
その中に勘定科目について書かれているところもあるのですが、『全ての科目』について書いてあるわけではありません。
企業・事業所・営業所…それぞれによって、行っている業務も違えば、取り扱っている商品、取引先とのやりとりも異なりますので、その全てについて「明確に定める」というのは当然無理があります。
これは「税法」も同じで、基本的に・慣習的に・一般的に「この取引の時はこの科目を使う」というものはいくつかありますが、これも全てに渡って決まっているわけではありません。
つまり「明確な取り決めがないもの」については、どの勘定科目で仕訳をしても『結果的に構わない』というのが実態となっています。
車検の場合
冒頭の車検について考えてみましょう。車検を行うと一般的に次の費用がかかります。
1.車検の代行手数料
2.自賠責保険料
3.自動車税、重量税
4.異常があった場合、異常部分の修理代
それぞれの内容・取引の意味から考えると、仕訳の時には、
1.代行手数料は手数料ですので【支払手数料】
2.自賠責保険料は【保険料】
3.自動車税・重量税は【租税公課】
4.修理代は【修繕費】
という勘定科目を使うのが良いでしょうか。
しかし『車検』という取引全体をとらえると、これらの費用はあくまでも『車両の維持に必要な経費』ですので、「全て含めて【車両費】・【車両維持費】」としても問題ないように思えます。
また、車が1台しかなく2年に一度しか車検がない、といった場合、全体からみたら「諸雑多な経費」であるため、【雑費】としてもいいかもしれません。
これは『継続的に』その科目を使うのであれば、実際にどの科目を用いても問題になりません。毎回使われる勘定科目が違うのはダメです。
もう一つ別の例を出すと、【備品消耗品費】・【事務用品費】といった勘定科目があります。ボールペンを購入したとして、これは「会社備品?」それとも「事務用品?」。どちらでしょうか?
この捉え方は判断する人・会社・購入した状況によって当然違います。しっかりと【会社内のルール】を決めないと判断しようがないのです。
つまり『ルールを決めて、継続的に使えば結果的に何でもいい』のです。今あげた勘定科目は全て『経費』の科目です。どの科目で処理をしても経費総額は変わらない。ひいて言えば利益の金額は変わらない。つまり、税金の金額も変わらないため、勘定科目が違ったとしても最終的な影響はありません。
簿記の試験では、使用する勘定科目は問題文に与えられていましたので、迷うことはないのですが、実際に経理や会計実務を担当するようになって意外と最初に悩むのがこの『勘定科目』の使い分けかもしれません。
今回は、車検を切り口に勘定科目にまつわるあれこれを取り上げましたが、次回は、「雑費」を切り口に、もう少し勘定科目について触れてみたいと思います。
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