経理・会計の入り口 カード決済やECサイト決済の売上入金
こんにちは。SKPです。
今回も前回に引き続き【売上のあれこれ】についてご紹介します。
前回は、売上の管理として、『代金の入金=売上ではない』ということや、分かりやすく管理するには『こういったまとめ方をすればいい』ということをご紹介しました。
この中でご紹介したのが、次のようなまとめ方です。
前回は「振込入金」にしか触れていないかったのですが、今回の話題は「3行目のサイト決済」の部分です。
皆さんも何か買い物をする時に、クレジット決済やECサイト決済を利用することがあると思います。
支払う側からすれば、支払ったものは利用明細などにまとめられ、所定の日付にまとめて預金口座などから代金が引き落とされます。
今回はその逆の「売上側」。つまり【クレジットカードなどで代金を決済された側】のお話です。
簿記の仕訳で見てみましょう
例えば「商品10万円を売り上げ、代金はクレジットカードで決済された」としましょう。
クレジットカードなどで代金の支払いを受けた場合、一部の決済会社を除いて『即日』その代金が入金される、ということはありません。
多くの場合は「20日」や「月末」などの締め日があり、締め日までに決済された金額が集計され、所定の日付にまとめて入金されます。
そのため、この売上時点では代金は「未回収」ということになります。売上に関連する未回収額は「売掛金」という勘定科目を使いますので、この売上時点で行う仕訳は、
借方)売掛金 100,000円 / 貸方)売上 100,000円
と、このようになります。
その後、実際に決済会社からクレジット決済分の入金があった時に、この「未回収」分。つまり売掛金を取り崩します。
借方)預金 100,000円 / 貸方)売掛金 100,000円
実際に経理の経験がある方は、この仕訳に違和感があると思います。
実はこの仕訳、ただの『仕訳』としては間違っていないのですが、実際にはこのようにはなることはほとんどありません。
クレジットカードやECサイトで代金を決済された場合、ほとんどの場合で『決済会社に対する手数料』が差し引かれて入金があります。
そのため、代金10万円をクレジットカードで決済された時、実際の入金額が10万円ある、ということは基本的にありえないのです。
ここでも『現金主義』の弊害が
仮に先ほどのクレジットカードの手数料が3%だとします。そうなると、実際に決済会社から入金があるのは、97,000円です。
差額の3,000円は決済会社への手数料ですから、「支払手数料」や「雑費」といった費用として処理することになります。
仕訳にすると次のようになります。
借方) 預 金 97,000円 / 貸方)売掛金 100,000円
支払手数料 3,000円 /
ちなみに、入金額だけ考慮して
借方) 預 金 97,000円 / 貸方)売掛金 97,000円
とするのはNGです。こうしてしまうと、「手数料分」だけ延々と売掛金残高がズレ続けることになります。
さて、ここで問題となるのが『現金主義』で、入金額だけで「売上を管理」している場合です。
今回のケースだと、決済会社から入金があった金額は97,000円です。
何も考えずに「入金額を売上だ」とすると、97,000円を売上として認識することになります。
実際、発生主義とした場合でも、売上10万円、入金時に手数料が3,000円かかっていますので、単純な差引利益は97,000円です。
発生主義であっても、現金主義であっても、この取引における「利益の金額」は変わりません。
では『現金主義』で、97,000円を売上としていいのでしょうか?
これはダメです。
会計のルールとなる企業会計原則に、次のように定まっています。
企業会計原則 第二.一.B 「総額主義の原則」
「総額主義の原則」とは、費用及び収益は、総額によって記載することを原則とし、費用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによってその全部又は一部を損益計算書から除去してはならないとする原則である。
要するに、「手数料を相殺した97,000円とするのではなく、売上10万円・手数料3,000円として総額で記載してください」と決められている、ということです。
そのため「売上」と「決済会社などにかかる入金時の手数料」は明確にわかるようにしておかなければなりません。
経費などの支払ではなく、【入金時の資料】というのは、「預金通帳を見ればわかるでしょ?」と、少しないがしろにしている場合も見受けられます。
結構な頻度でその資料を提出されなかったり、忘れられていたり…。
しかし、それがないと「正しく処理ができない」という部分です。クレジット決済やECサイト決済のような売上がある場合には、こういった資料もしっかりと保存するよう注意してくださいね。
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