経理・会計の入り口 売上の管理方法
こんにちは。SKPです。
どのような事業や会社であっても【売上の管理】という作業は必ず生じます。
売上がない…というものは事業とは言いませんしね。
ただ、この【売上の管理】というのは、分かっている人からすれば「当たり前」でも、初めてやる・これからやるという人にとっては分かりにくい部分なのかもしれません。
レジなどを使っていればまだいいのですが、「振込入金しかない」とか「ECサイト経由の入金が主」という人で、事業を始めたばかりの方の会計処理をしていると
「ん~結局どれが今年の売上?」
というまとめ方をしている方が結構います。
今回は、そんな【売上の管理】について少しご紹介します。
厳密には『入金金額=売上』ではない
例えばこのような「売上管理Excel」を作っている人がいるとします。
表をそのまま意訳すれば「2月2日に138,000円の売上があった」ということですね。
別に問題がないように思えます。
はい、これだけ見れば別に問題ありません。
しかし、実際には「1月25日に商品の売上・納品自体は済んでおり、2月2日になって代金が振り込まれた」という取引が生じていました。
この人は、売上管理Excelを作る際に『売上の入金がある預金通帳をベースとして』作っていたというわけです。
つまり、入金があったものを「売上」として管理・処理をしていた。ということになります。
このような「お金が入金したタイミングで売上を認識する」ことを『現金主義』と言いますが、厳密なことを言うとこれは正しくありません。
なぜかというと、会計処理には【企業会計原則】というものがあり、その中で
損益計算書原則一A、発生主義の原則
すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。ただし、未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない。
こんな風に定められているためです。
『発生主義』。要するに『発生したら処理してね』ということです。
今回のケースで言うと「1月25日に売上・納品自体が済んでいる」ので、1月25日時点で「売上」として認識してください。という意味になります。
まず問題になるのは「期末」
この『現金主義』による【売上の管理】が問題となるのは、期末の時です。
先ほどのような例で考えてみましょう。個人事業を行っている人。つまり12月31日が期末となる人の場合で、
「12月30日に20万円分の商品を売上、納品も済ませている。代金は1月25日に振込で入金があった。」
という時、『現金主義』による売上の認識は「翌年の1月25日」です。つまり「翌事業年度の売上」として認識することになります。
しかし、実際に売上・納品をしているのは「12月30日」です。つまり『発生主義』では「今年の売上」として認識します。
どちらで「売上を認識するか」によって、その年の売上。ひいて言えば「今年の利益、そして税金」が変わってきてしまうのです。
先ほど書いた通り「会計原則」では『発生主義』を要請しています。今回で言えば「12月30日」で売上を認識する、ということです。
さらに言うと、いくら期中に『現金主義』で売上を認識していたとしても、期末・決算で『発生主義』にしなければならない、ということです。
つまり、『現金主義』で資料を提出していると、税理士さんから
「で、今年の売上はどれですか?」
と聞かれます。
結局『発生主義』でまとめておかなければ、後から調べなおす…といったように二度手間になる可能性があるのです。
どのようにまとめれば良いのか
例として、次のようなまとめ方をすれば、後から見ても分かりやすくなります。
大切なのは、
・売上の日付と入金の日付をわけること
・入金の方法を明記しておくこと
・売上と入金額に差額があるときは、その理由を書くこと
です。
これだけわかれば、『発生主義』としても処理をしやすいですし、後から「この入金はどの売上だったっけ?」ということもなくなります。
また「入金額に不足があった」ような時に、入金不足分を再度請求するための「売掛金・未入金分の管理」もこれだけで行うことができます。
これはExcelなどで作れば後々追加なども楽ですが、手書きのものであっても問題ありません。
自分でこういった管理ができるのであれば、「売上管理ソフト」のようなものをわざわざ使う必要もありません。
そういったソフトを使っても、『請求書が出力できる』『取引先別の実績が簡単に確認できる』といったことを除けば、結局やっていることはほとんど同じだったりしますので。
「今まで売上の管理が曖昧だった」
という人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
よろしければサポートをお願いいたします。サポートいただいた資金は活動費へと充てさせていただきます。