マイケル・マン『クラッカー 真夜中のアウトロー』
マイケル・マンのデビュー作。恥ずかしながら初めて観た。
というか、これがデビュー作だとも知らず、『アンカット・ジェムズ』の元となった映画であるという情報と、タンジェリンドリームの音楽が流れる、という理由だけでレンタルしたのだった。
観ているうちに、これはデビュー作では、という感じがどことなくしてきた。
デビュー作ならではの端々しさが漂う瞬間というのが、映画にはある。
とくに本作はそのショットの構成に、全編に渡ってその監督の後々のフィルモグラフィーに花開く要素の全てがあり、そのはじまりを感じさせる、誕生の瞬間を魅せられているような気がしたのだった。
自分がやることを初めからここまで決めている映画監督とは思わなかった。今更ながら。
そして、ここに書くきっかけとなったのは、なによりも本作がマイケル・マンだけでなく、ジェームズ・ベルーシの、そしてそして、ロバート・プロンスキーのスクリーンデビュー作でもあることだ。
とくにロバート・プロンスキーだ。本作のジェームズ・カーンが31歳とは思えないほどのギラギラしたおっさんであることにも驚いたが、ロバート・プロンスキーは51でこの老けっぷりというのは、まあ、観たあと調べて今知ったばかりなのだが、圧巻である。
というのも、ロバート・プロンスキーが死ぬ場面の素晴らしさに涙がこぼれたのだった。
その感動から調べたら、これがデビュー作で51というサプライズだったから、この週末はこの若くして立派なおじいちゃん俳優となり、遅さ気デビューしたロバート・プロンスキーとの出会いに心から祝いたくなった。
子供の頃に観た『グレムリン2』のおじいさんだ、と最初は呑気に観ていたのだが。
ロバート・プロンスキーという素晴らしい存在に乾杯である。
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