とある家族の話-Who did kill my mom?-

昔々の話です。一人の母親と一人の子供がいました。二人の仲はあまりよくなく、よく喧嘩をしていました。

子供はいつも我儘を言って母親を困らせます。母親は父親に助けを求めますが「私には関係ない」と、聞く耳を持ってくれません。頭を抱えて泣き出す母親を見て、子供は「自分は悪い子だ」と落ち込むのでした。母親は自分の子供を心から愛すことが出来なくなっていました。

ある夜、夢の中で子供の首を締めながら笑う夢を見て、ハッとしました。このままではあの子にも、そして自分にもいけない。母親は子供を数時間だけ自分の手元から離すことにしました。一人の時間はとても穏やかでした。穏やかな気持ちで子供を迎える母親。しかし、子供が家に帰ってきた後に待っていたのは想像を上回るほどの地獄でした。彼は彼女がいないところで無理して良い子を演じていたのです。彼の不満は母親に向けられました。痛い痛いと泣く母親に子供はごめんなさいと言う勇気さえ失ってしまいました。

母親は子供を預けるのをやめてしまいました。家の電話が鳴ります。

「また休みですか。回数を重ねないと意味ないんですよ。ちゃんと分かっていますか?」

母親は電話の音を聞くだけで吐き気を覚えてしまいました。子供が家に帰ると母親がトイレで蹲るように倒れていました。いつもの光景。彼はもう何も思いませんでした。母親は動かなくなってしまいました。子供はそんな母親を見て可哀想だなと思いました。そして、周りの人から可哀想と言われるたびに抑えきれない怒りと悲しみで暴れ回りました。母親はそんな子供を見て、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

次の日、母親は家から消えました。

その次の日、母親がこの世から消えたことを子供は知りました。

おしまい。


子供はどうなったかって?

存じませんね、なにせ私には関係のないことだからね。


「そう、これは昔々の話です」

いいなと思ったら応援しよう!