おじいさんがだいすきなねこ

あるところにおじいさんと一匹の猫がいました。

おじいさんの猫は他の猫と比べると細い体をしていました。

おじいさんの猫はおじいさんのことが大好きで、どんな時もおじいさんのそばから離れませんでした。

おじいさんは秋になると落ち葉を集めて焚き火をします。

それはおじいさんが大好きな焼き芋を作るためでした。

おじいさんは毎年これが楽しみで生きているようなものでした。

おじいさんは集めた落ち葉に火をつけたつもりでしたが、火がついてしまったのはアルミホイルに包まれた焼き芋が入っている落ち葉ではなく、おじいさんが住んでいる家でした。

おじいさんは歳のせいで目を悪くしていたのです。

おじいさんの家が轟轟と燃えていきます。

このままでは家にいるおじいさんも、おじいさんのそばにいる猫も助かりません。

猫は燃え盛る火に怯えることなく、いつものようにおじいさんの足元に近寄り、頭を擦りつけました。

そして―。

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消防車が駆けつけたときには、おじいさんの家は全焼してしまい、跡形もなく灰となっていました。

周りの家の消火活動を終了させ、消防隊員が車に戻ろうとしたとき、足元で可愛らしい猫が「にゃあ」と鳴きました。

すす汚れた猫の頭をそっと撫でました。

「そうか、お前この家の子か。良かったな、逃げきれて。ご主人様も幸いだったな。まさか留守中に家が燃えてしまうなんてな。今回は災難だったが命と比べれば大したことないさ」

ごろごろと喉を鳴らし、満足そうに目を細めた猫はもう一度「にゃあ」と鳴くと、その場を離れていきました。

そのお腹は風船のように大きく膨らんでおり、見ていてとても歩きづらそうであったそうな。

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