書く事が好きだった二人が書く事をやめてしまったお話。2

あるところに物語を書く事が好きな少年がいた。

少年はいつも無気力だった。

口をぽかんと開け、「おなかすいた」というのが口癖だった。

少年の書くお話は常に人が死んだ。

世界が滅びることも多かった。

少年は言った。

「出来れば人が死なない話を書きたいんだけどね」

「上手くいかないんだ、うん」

物語に出てくる登場人物や世界には細かい設定がついていた。

話すときとの指の仕草、部屋の隅っこにいる蜘蛛の描写まで細かく書きこまれていた。

「物心がついたときから人付き合いが苦手だったんだ」

「だからせめて、物語の中の彼らだけでも色んな人や物と触れ合って生きて欲しいと思ってるんだ」

彼の話に救いなどなかった。

最後に残るのは無数の死体と、それを嘆く主人公だけだった。

彼は自分の書いた作品が嫌いだった。

「書いている間は楽しいけど書き終わって読み直すと悲しくなるんだ」

「僕が望んでいるものはこんなもんじゃないから」

そう話す少年は今にも泣きそうな顔をしていた。

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