2020年ノーベル経済学賞について
こんにちはこんばんは。S.Kと申します。ゲーム理論の動画、記事の人です。
今年のノーベル経済学賞はオークション理論についてでした。
ノーベル経済学賞を取られたアメリカ・スタンフォード大学の経済学者、
ポール・ミルグロム氏とロバート・ウィルソン氏の2人です。ノーベル賞受賞おめでとうございます。
さて、第二価格オークションとか、勝者の災いとか、この辺りに聞き覚えがある方も多いでしょう。
まだオークション理論を含む、メカニズムデザインについて動画は作成できてないです。そのため、まずは本記事で先行して簡単な説明をしたいと思います。コアとか提携戦略形ゲームの話が終わればUPできるかも。
詳細な解説はその動画をお待ちくださいませ。
では、簡単な説明をして行きましょう。
第二価格オークション
1番高い入札額の人に、商品を2番目に高い入札額で売るというルール
これが第二価格オークション、セカンドプライスオークションと呼ばれるものです。例えば、入札者A, B, Cがいるとします。オークション主催者はある商品をこのルールのもとで販売することを考えます。
Aは10,000円、Bは20,000円、Cは30,000円を入札額を提示しました。
すると上のルールのもとではCが落札者となり、支払額は2番目に高い20,000円になります。
耐戦略性
さて、このルールの何が嬉しいのか?
実はこのルールのもとですと、入札者が、自分の考える商品価値を素直に申告するのが最適反応になってます。もっと言えば弱支配戦略になってます。
(ここまでの記事を読んでる方ならわかるハズ)
つまり嘘をついてもトクをしないわけです。また、彼らは他の人がどんな入札をするか考える必要がありません。
効率性
また、このルールだと、高い評価を持つ人に商品がわたる仕組みになっています。これを効率性を満たす仕組みと言います。
第一価格オークションは?
第二価格オークションの前に馴染みのある、第一価格オークションがあります。これは
一番高い入札額の人に、その入札額通りに商品を売る
というルールになります。馴染みのあるルールですね。
これは、他の入札者の入札額を予想し、入札する必要があります。ゲーム理論の出番です。分析方法としてはまだ記事では紹介していないベイジアンナッシュ均衡で行います。
さて、このルールは効率性は満たすのですが、残念ながら耐戦略性は満たしません。。
勝者の災い
さて、話は変わって勝者の災いについて述べておきます。これは共通価値を持つモノに対するオークションで起こります。
共通価値を持つというのは、わかりにくいかもしれません。例えば商品価値が市場で決まるようなものです。具体例としては債券が挙げられます。債券は市場で価格が決まりますが、不確定です。さて、これがオークションで取引されるとします。ルールは第一価格オークションを用いるとします。
各入札者にとって債券価格は不確定なため、推測して入札する必要があります。
Aはその債券に50,000円の価値を見出し、30,000円で入札します。
Bはその債券に60,000円の価値を見出し、50,000円で入札します。
Cはその債券に120,000円の価値を見出し、100,000円で入札します。
この場合、ルールに基づいて、Cが落札者となり、100,000円支払います。
Cは落札できてよかったよかった、と思ってるかもしれませんがそうはいきません。C自身ではその債券が120,000円だと推測してたわけですが、蓋を開ければ、その債券に60,000円しか価値がないことがわかりました。
こうなると100,000円支払っているので40,000円の赤字です(泣)
このように共通価値を持つもの(価値が市場などで決まるもの)の場合、
推測して入札しますが、その入札者の推測が甘ければ甘いほど、実際の価値よりかけ離れた高い入札額を提示してしまい、落札できるが損をする。これが勝者の災いです。
終わりに
ミルグロム氏の書籍は大学時代にお世話になりました。
僕のイメージだと組織の経済学の人だった。
自分の専門分野だとゲーム理論メインですが、契約理論やらメカニズムデザインも齧ったので、今回の受賞は内心テンションが上がっています。でも、アカデミックな場所から離れてしまっているのでnoteとかを使っておもいおもいに語っていきます笑
これから学ぶ人向け
僕が読んできた本でオススメのものを並べておきます。
入門としてこれが良いです。
上記本で理解した後、本格的に学ぶのであれば、これ。
ゼミとか輪読するのに向いてます。内容も難しいので、みんなで知恵を出し合いながら読むと良いかもしれません。
まだ読み途中だけど、最近の研究動向など。
以上です。
では、また。メカニズムデザインやオークションの詳細動画までもうしばらくお待ちください。
活動費、テキスト購入費に充てたいと思います。宜しくお願い致します。