見出し画像

除伐を忘れるなっ!

私が活動している長野県の東信地域では、主にカラマツの主伐・再造林が進んでいる。
長野県が再造林や下刈などの補助を手厚くしてくれているため、森林のサイクルが回り始めていることはいい傾向だと思う。
そんな背景の中、呼びかけたいことがある。
「除伐を忘れるなっ!」
詳細を綴っていく。
とりあえず「除伐を忘れるなっ!」


そもそも除伐とは

植栽木の生育に支障をきたす植栽木以外の樹種と植栽木のうち将来的に見込みのない木を除去することで初期段階の林分を整理することを目的とする作業。

除伐は忘れられがち

除伐は忘れられがちだと思う。
なぜなら、除伐は下刈が終了してから5年後くらいに作業を検討するため、作業の連続性が途絶えたあとの最初の作業だからだ。
林業の作業は期間こそ空くが連続性を常に意識してほしい。
除伐は概ね植栽から10年後くらいに実施することを想定している。
この間に多くの林業事業体の場合、植栽や下刈を担当していたものが異動や退職をする。
因みに、下刈は植えてから毎年連続して作業を行うからある程度機械的にスケジューリングされるため、忘れるということはあまりない。

除伐しないとどうなる

【森林の様子】

20~25年生のヒノキ林の保育間伐を手掛けたことが度々あったが、もれなく除伐がされていない様子だった。
植栽木は広葉樹に被圧され、形質の悪い木が沢山成立していて、言葉は悪いいがみっともない森林だ。
植栽木以外の広葉樹は萌芽更新したものが特に成長著しく、多くの空間を占有し、植栽木を肥厚していた。
また、つるが樹冠同士に巻き付いてしまっていた。

【デメリット】

①.通常伐倒がかかり木の心配がある。
②.外せないかかり木が放置され、林内に入る危険性が高まる。
③.大きくなってしまった広葉樹を伐倒できない。(植栽木を痛めてしまう)
④.将来木の成長機会が減ってしまう。

適切な時期に除伐をすると

【適切な時期とは】

植栽から〇〇年後と決めつけずに植栽木との競争が起きる前に実施したい。
季節は初夏が良い。

【メリット】

①.将来木が伸び伸びと生育できる。
②.作業性が良い。(手遅れ時の除伐はとにかく作業性が悪い。)
③.作業の安全性が高まる。

除伐を忘れないために

①.施工地台帳を整備し、大まかなスケジューリングをしておく。
       スケジュールアプリみたいな通知機能も良いか。
②.植栽地についての会話を時々して、みんなでずっと気に掛ける。
③.森林所有者との約束事であることを肝に銘じて業務に臨む。

最後に

適切な時期に忘れずに除伐をし、将来木のスタートダッシュを決めてやりましょう。
林業は森林のサイクルを回していくことが大切なので、流れを止めないこと、関わった森林のことは常に頭に置いておくことを心掛けたいもの。
主伐・再造林が進む昨今、次のステップは常に見込んで作業していきましょう。



いいなと思ったら応援しよう!