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絶対読んでほしい - 林業事務方の魅力 -

林業と聞いて多くの人がイメージするのは、いわゆる”木こり”だと思います。
業界では「フォレストワーカー」「現場」「技能者」「作業員」などと呼びます。

林業の第一線で活躍してくれてます。

一方、私は彼らとは少し違った立場で林業に携わっています。
私は森林施業プランナー兼フォレスターであるので、一般的な業界で例えれば”営業兼マネージャー”的な役割を担っています。

森林調査・現場管理・官民による森林計画の打ち合わせ・営業・合意形成などが職務内容です。

これらの仕事を担う人々を業界では、「プランナー」「事務方」「技術者」などと呼んでいて、”裏方”と紹介することが度々あります。
このように林業の仕事は大きくはこれらに分けられます。
呼び方を統一して、以降は「事務方」とします。


決して裏方ではないぞ

始めに言っておきたい。
裏も表もないぞと。
林業は計画の立案者と作業の実行者が両輪となってうまく回ることで、いい森林ができます。
適材適所でお互いを補いながら働いています。
たまにどっちもできるスーパーマンがいますが、そういった方々は忙しいです。
私は仕事はある程度の分業が必要だと思っているので、「現場」と「事務」が互いリスペクトの心をもって協力してベストを尽くす関係が理想だと考えます。
お互いにプロ意識をもって仕事に臨むので、事務方の皆さん、自分たちを”裏方”なんて言って引かずに一緒になって前線で活躍しましょう。

事務方の不足も深刻な問題では?

林業を題材にした作品や求人などで紹介されているのは「現場」ですよね。
事務方って本当に世間的に何してるか謎が多いと思います。
派手さやわかり易さが無いのは事実なので。
ですが、事務方がいないと現場は生み出されないし、事務方の方がある意味雇用しづらいと思うので、今後の林業界のためにも事務方の魅力を綴っていきます。
結構舐めたことも書きますが、リアルな声が届けばと。
重ねて記しますが、現場も事務も大切です。

事務方の魅力

魅力を大きく分けると、
【責任と引き換えの権限が与えられている】
【大人になっても仕事でリアル冒険できる】
【人を使って仕事を遂行する】
【見立て通りの結果が出た時の達成感】
【現場と事務の割合が調整できる】
があります。

【責任と権限】

まず、立場的には事務方の方が上なケースが多いです。
それはより多くの責任を負っているからです。
仕事をつくる責任、安全への責任、森林所有者への責任、現場の仕上がりの責任、金の責任...
現場の皆さんは自分の安全を第一に指示に従っていただく責任がありますが、事務方は先述のように多様な責任を背負います。
だからこそ権限があり、年齢に関係なく指示を出せるのです。
その責任の中でいかに仕事をうまくこなしていくかが最大の魅力です。

【森林を冒険して施業が必要な森林を見つける】

今時、色々な技術があり、どこにどんな森林があるかはPCでも大体はわかります。
が、やはり自分が山を歩き回って体験することが一番重要です。
森林所有者に提案するにも現場に指示をするにも。
この過程で様々な林道を走り、足場の悪い場所を歩いて回ることはまさに”冒険”です。
大人になってもリアルな”冒険”ができます。
現場は基本的には与えられたエリア内がフィールドですが、我々事務方は自分次第でいくらでもフィールドを広げられます。

この光景が日常

【指示を出し仕事を遂行する】

私自身の話をすると、年上の現場作業員が多い中、そんな彼らが納得感をもって仕事をするために試行錯誤するのが楽しかったです。
年上で経験も豊富な現場の方々に、ひよっこがどのように接すれば舐められず指示に従ってくれるか。
どんな指示が適切か。
目的を明確に伝えるためにどんなデータを示すか。
現場が困っていることの解決策を提示する。
上からに聞こえるかもしれませんが、仕事を遂行させるマネジメント職なので、そこは強い気持ちを持って。
信頼関係が築けていれば大丈夫。

【森林整備の見立てと結果の比較】

森林整備を森林所有者に提案するために、必要な施業は何か、どういう状態にするのか、お金はどれくらいかかる(還元できる)のかなど、先ず計画を立てます。(見立て)
その計画の達成に向けて指示を出し、結果、見立て以上の成果を出せる様に仕事を管理していかなければいけません。
このPDCAを回していくと、現場を見ただけで概算できるようになっていき、プロっぽくなっていきます。

【現場と事務の割合をコントロールできる】

現場も事務も仕事場なので、自分で段取りして割合を決められます。
私は5:5くらいで現場と事務の仕事を滞りなくこなしています。
天気・体調・気分でパフォーマンスが最大化されるように段取りする自由度が魅力です。

事務方に向いている人の特徴

【森林散策が好き】

仕事で森を歩き回れる役得を魅力に感じる方はぜひ。
私は現場のハードワークは筋力的にきつかったですが、歩き回る足腰の筋力を鍛えられることに魅力を感じています。

【人に指示をするのが得意】

現場のプロに動いてもらってこそ成り立つ仕事なので、そういった方に指示を出すことに抵抗がない人。
お願い口調でもいけますが、ベストは威厳のある指示。
この人の言うことなら聞くという信頼関係を築ける人がいいです。
そのための日々の接し方も大切です。

【コミュニケーションがとれる】

現場と違って相手が人であるケースが多い立場です。
相手に合わせた話し方、傾聴等相手のことを考えられるスキルは必須です。

【デスクワークができる】

計画資料や補助金申請、様々な内業があるので、特に繁忙期は座りっぱなしも行ける人がいいです。
現場の方は座っているのが嫌だとかPCが苦手などの人が多い傾向がありました。

事務方に最も必要なスキル

最後に最も必要なスキルを1つご紹介します。

【思いやり】

林業を本質的に理解していれば「思いやり」が最も必要であることにたどり着きます。
というか、人生においても最も必要ですよね。
事務方は多くのものに思いやりをもって接する必要があります。
【森林所有者へのおもいやり】
【現場で働いてくれる仲間への思いやり】
【森林への思いやり】
【次世代への思いやり】
【木材出荷先への思いやり】
【補助金申請書類を審査する人への思いやり】
思いやりの心があれば仕事は円滑に回ります。
このことを自分自身にも言い聞かせて、仕事してます。

たまに相手を思いやりすぎてしんどくなる時があるので、もっと心を鬼にする力をつけたい今日この頃でした。





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