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低密度植栽で生産される材は並材か?

私はかねてから低密度植栽について否定的だ。
国は「省力・低コスト造林の技術指針(案)」を作成し、造林の省力化を図り、造林を進めたい様子。
造林が進まない理由は様々あるが、造林にコストがかかりすぎること、人材確保が困難なことが主な要因。
だから、コストと工数を下げたいと考えるのは自然だ。
この手の趣旨の研修会が最近は頻繁に開かれている。

造林の省力化・低コスト化のためにすることは、すごく簡単にまとめると

主伐から再造林までは一貫作業で。

地拵えは機械で。

植栽本数は減らそう。

苗木はコンテナ苗で。

下刈の必要性は見極めよう。

下刈は筋刈りや坪刈りも検討。

ひねくれた見方としてはこんな感じ。

こうした造林で目標とする林型は、「スギ・ヒノキ・カラマツの育成単層林で生産される材は”並材”」とのこと。
並材とは合板や集成材などの加工向けの材を指すそう。

理解できる部分はある。
しかし、植栽本数を減らすこと(低密度植栽)だけは納得ができない。

低密度植栽で生産される材は並材以下になると危惧している。
なぜか。
端的に言えば節が大きくなりすぎる可能性があるから。
いくら合板や集成材などの加工技術が進歩したとはいえ、結局、大きな節は使い手に嫌われる。
これは並材と言えるのか。

私は、適切な密度(もしくはそれより高密度)で植栽をし、最終的には4~5玉くらいは節の小さい(少ない)材を生産した方がいいと思っている。
それに向けて適切な除間伐も欠かさず行う。
そうしておくことでAB材の割合を増やした森林を後世に残していきたい。
そうすれば、50年後にどんな市場になっていても対応はできると思う。
一言でいえば、選択肢が多くなる。

この意見を低コスト造林の研修会に参加した際に林野庁の担当の方に伝えたところ、
「今の木材加工事情で選択肢を残す意味ありますか」との趣旨の回答があり残念に思った。

いい材を生産しておくことは価値があることだと私は思う。
低密度植栽のトレンドとはこれからも戦っていきたい。



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