林業界の働き方改革について
今回は林業界の働き方改革について考えたい。
昨今は働き方改革の政策により、働きやすさを重視していく流れがある。
私見になるが林業界はそれが遅れていると思う。
特に人手不足の業界である林業。
そんな中で働き方改革を遂行している事業体には、よい人材が集まり、よい組織ができ、よいサービスが提供でき、よい経営ができ、社員が定着し、事業が永く続いていくというサイクルが生まれるんではないかと、浅はかながら思う。
働き方改革の本質
一言でいえば生産性を上げようってことだと思う。
生産性が上がっていないのに、休みを増やそうとか給料を上げようってのは、まさに無い袖は振れないということだ。
生産性を上げて粗利を上げ、出来た袖で労働環境を改善していこうという話だと思う。
目指すべき姿
完全週休二日制の導入
林業は体力仕事である。
完全週休二日制の導入により、心身の健康を保つ。
林業界は完全週休二日制をあきらめている事業体が多いが、出来ている事業体もあるんだからできないわけはないと思う。
シフト制導入による機械稼働率の上昇
機械の稼働率低下を懸念して、休日が少ないケースがある。
例えば、作業員間でシフト制を導入して休日を平日にずらす。
現場の稼働率は確保しつつ、平日に休日を設ける利点もある。
時間内に作業を終えるための工夫を全員が持つ
生産性を向上させるためには、一人一人が自分の仕事に対する向上心を持ち、常に考える姿勢が必要。
一日の目標が達成出来たら仕事を詰め込まない
一日で終わると思っていた仕事が15時ごろ終わる可能性が見えてきたケースがあったとする。
仕事を詰め込みたい経営者は次の仕事をさせようとするだろう。
そうすると、作業員はどうするか。
今日の仕事をだらだらやって一日かけようとするだろう。
それは成長にはつながらないと思う。
早く終わらせられたら早く帰れる。
もしくは、明日以降の仕事の準備をきっちりできる時間を確保し、
次の仕事の効率が上がる。
この少しずつの積み重ねが後半の余裕につながり、有給の取得率も向上する。
社員全員が目標を共有する
年間・月間・日間の目標を定めそれを意識して作業する。
日間は技術的なことを目標にしたい。
月間単位では仕事の進捗率を。
年間の時間軸では仕事の取り扱い量(金銭的にも)。
目標を様々な時間軸に分解することと目標を共有することで当事者意識が生まれ、成長速度は上がっていくと思う。
締め切りを意識することの効果は大きい。
林業界の働き方改革が遅れている要因
単価が決まった仕事が多い
林業は補助金を使って森林整備をする仕事が多く、補助金を超えた分の費用を森林所有者に請求する見積もりをしようものなら、そもそも何もしないでほしいとなるケースが多い。
所有者の負担を少なく(もしくはほぼゼロ)サービスを提供しようとなると、どうしても補助金の単価内で作業せざるを得ない。
私はとっても反対だが、そうすると長時間労働につながってしまうケースがあると聞く。
職人気質という便利ワード
職人というワードを使う経営者は働き方改革に後ろ向きな傾向がある。
職人気質の経営者と、組織づくりについて話す機会があり大体こんな発言がある。
「職人なんだから仕事には時間を透過すべき。」
「特に最初の三年間は全てを犠牲にするくらいの気持ちじゃないと。」
「最初に金と休日の話をする人はいらない。」
職人だからプライベートはなくてもいいんだというのは、正直時代に合っていないんではないか。
今の働き手は、如何に効率よく、上手く、いい仕事をするか考える。
職人気質の経営者は働いた時間=評価という昭和の価値観が抜けないようだ。
解決のために
まずやってみよう
例えば完全週休二日制の導入。
これをすると現場が捌けていかないという固定観念があるが、私の感覚では、案外その中で仕事というのはこなせてしまうのもだと思う。
結局、100あるエネルギーを5で割るのか6で割るのかの違いでしかないんではないか。
色々な固定観念はあるが、先進的な企業の取り組みはできることからやってみたいものだ。
変化できない企業はやっぱい淘汰されていくと思う。
人が集まらず倒産する(黒字倒産)ことだってあり得る。
ニーズがあるなら付加価値を付けながら労働条件の改善は可能だと思う。
話を聴こう
現代は考え方が多様になっている。
社員と経営者は対話をし、考えをすり合わせる必要があると思う。
もちろんワンマン経営が強いケースもあるだろう。
そうだとしても対話は必要だ。
そこで考えが一致すれば、チームはより強固に。
違うんであれば修正もしくは離れる。
考えが合わないもの同士が一緒に仕事をしていっても長期的に見たらお互いに損だから、対話を通してそこをハッキリさせていく。
結果を出す組織は、向いている方向性が一致している。
そのためには対話が重要だ。
社員の多くが抱える不満の正体は話を聴いてもらえないこと。
言っても無駄だから言わない。
あきらめてる。
こんな発言が飛び交う組織が強いわけがない。
職人気質の人たちはそれが苦手なんだろうけど、話は聴こう。
話を聴く機会があれば、社員は常に考え、意見を持つようになると思う。
最後に
結局はコミュニケーションに尽きると思う。
今の労働者の年齢構成は昭和・平成・令和と様々な時代の働き方を経験したそれぞれの価値観がぶつかり合っている状態だ。
林業は自動化できない仕事のため、生産性には限界がある。
働く自然環境も厳しさを増している。
これらの条件を時代に合わせて、譲れるところと譲れないところを組み合わせて、魅力ある職場にしていきたい。