中判カメラを使い始めて1年経ったので写真生活の変化を振り返る
FUJIFILMやHASSELBLADを代表とする中判カメラ。広告のカメラマンでも使用されている方も多く、大きいセンサーに写る絵を好んでいる方もおおいでしょう。中判カメラの特徴を簡単に挙げてみます。
私も2023年の秋にFUJIFILMのGFX100Sを購入し、2024年を通して中判カメラを使用してきました。1年使用してきて大きく写真ライフが変わったので、購入した経緯から振り返ってみようと思います
中判という世界を知る
2023年、福岡で行われていた写真展をいくつか見に行きました。山本彩香さんやミズカイケイコさん、トーカマヒロさんなどのお写真を見させていただいて、それぞれ写しているものやテーマはまったく違うけれど、写真の空気感や鮮明さにとても目を惹かれました。
この3名の写真が特に記憶に残っていて、共通点を探った時に写真が全員正方形だったことに気づきました。フィルムの写真だということは認識していたので、有識者に話を聞くとHASSEL BLADで撮影しているとのことでした。この時初めて中判という世界をしっかりと認識しました。
中判の世界に気づいたのと同時期にたまたま写真家の大林直之さんと仕事の関係でお話する機会がありました。この時大林さんはGFXにMamiyaのレンズを付けて撮影されていた。なぜかここでも中判に出会う。
撮影されている写真を見させていただいたら、やはり今まで自分が見てきた写真とは違っているように見えて(技術もろもろが違うのはわかった上で)、少しでも同じ空気感を自分でも撮りたいと強く思うようになりました。
今まで写真を撮ってきたけれど、初めて明確に撮りたいと思った瞬間だったように感じています。それから大林さんや濱田英明さんの写真をよく見るようになり、SNS等も中判の写真がよく流れてくるようになりました。
思わぬところから中判を手にすることに
この頃から、写真家の話や中判カメラが欲しいという話を周囲によくするようにりました。
FUJIFILMの色が好きなので、デジタルはGFX、フィルムは好きな写真家さんたちの影響からHASSEL BLADを検討していました。中古相場をあさっていたところ、当時の上司から連絡がありました。
値段はGFX100SとGF 80mmを合わせて約60万、個人から買うのは少し抵抗がありましたが、ほしいタイミングで来たのはご縁だろうと思い問い合わさせていただきました。最低限写真や動作状況を確認させてもらい、結果購入することに。ここでついに中判デビューを果たしました。
いよいよ、中判のカメラが届き、いろいろな場所に出かけてみることにしました。手に持つと明らかに重みが違う。
実際に撮影してみると写る絵の鮮明さに驚く、明るい部分も暗い部分もよく残り、目で見たものに限りなく近い絵がカメラに表示されていることに感動しました。とても綺麗でこの時点で値段も忘れて買ったことに満足していました。
風景を写した時の空気感がとてもよい
空気感という言葉で表してしまうのですが、撮った瞬間に出てくる絵に私は毎回喜びを感じています。特に道東に行って撮影した景色が今の自分の中に強く残っています。
一面の銀世界でシャッターを切り、それがそのままカメラで表示されていることが特別なものに感じていました。この時の写真をいつ見返しても、この時の記憶が鮮明に思い起こせるくらいよく残っているように思います。
中判カメラは高画素のものが多いため、ファイルサイズが大きくなります。1億画素だとRAWファイルが200MBほどです。大変に感じるかもしれないですが、私はそのおかげで1回のシャッターをとても大切にするようになりました。
デジタルだからといって簡単にシャッターを切るのではなく、自分の心が動いた場所、タイミングで、満足いく場所を探しシャッターを切るようにしています。この体験が自分が撮影した写真の1枚1枚をとても大事にすることに繋がっているように思います。
人物の美しさと立体感
人物を撮影した時は、被写体の立体感を強く感じました。風景の中にシンプルに立ってもらっているだけでも被写体が引き立つように絵が残るイメージがあります。
開放で取ると中判だからということは関係ないと思いますが、絞って撮影した時にも被写体の立体感が残っていることに感動しました。
こころなしか表情や心情みたいなものも写真の中に写っているようです。絵の満足感からか構図もどんどんシンプルになっていきました。中判を使用している写真家さんはシンプルな構図を使用することが多いのもそういった影響があるのかなと感じています。
2025年もさらに撮影していく所存です
風景や人物さまざまな被写体でいちいち感動してしまった1年間でした。撮影している自分に限らず、クライアントからもRAWで見せた時に喜んでもらえることが多かったのも印象的でした。
中判ユーザーとなって2年目に入っていきますが、自分が好きと思える写りを引き続き残していきたいと思います。