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大林直之さんの写真展を見に宇部にある山本写真機店まで行って来た話

山本写真機店であった大林直之さんの写真展「refrain」のトークイベントに参加してきた。東京の開催は行けなかったので残念に思っていたところ、山口での開催と見て仕事を止めて即DMした。

六本松から片道3時間、大学ぶりの宇部は昔感じてたより遠く感じた。昔はもっと博多からのバスがあった記憶だけれど、今は1日1本しかない。仕方がないので新幹線で向かうことに。

いつもは郵送で依頼している山本写真機店の実物が見れたことにも実は喜んでた。そしてついでに今度の写真展用のフィルムを現像依頼。やはり全国からフィルムが届いているようで普通に依頼すると3週間待ちだそう、スケジュールを加味してFast Passを使う。我に帰るとすごい金額を使っているけれど、一旦現実から目を背けて現像を待つとする。

大林さんの展示とは別にBOOK AND SUNSの書籍が並んでいた。軽く読んだだけで購入しそうになったけれど、大林さんの写真集のみでなんとか耐えた。写真集の引力が強い。

支払いを終えて大林さんの展示を見に奥のスペースへ。SNSで見ていた時も感じていたけれど、病気をされていたと聞いて見るとその状態が写真にも出ているのかなと若輩者ながら推測してた。refrainの意味と波は繋がっているのだろうか。ピントの合わない花は不安定な状態を表しているのだろうか。写真を見てさらにトークが楽しみになった。

余裕を持って着いたおかげで現像を出して、写真集を買っても1時間ほど時間が空いていた。お店の中だと邪魔になるかなと思い、近くの喫茶店へ。(1人参戦だったので居づらかっただけ)
カフェオレを飲んで一息ついて戻るとスペースが満杯に、1人なので控えめに端っこに座って待機。大林さん、西山さん、濱田さんが入口で普通に談笑してた。馴染みすぎて一瞬普通のことかと思ったけど、普通じゃなさすぎてなんか緊張して始まるのを待っていた。

ようやくトークショースタート濱田さんが想像よりもユニークな方で驚いた。西山さんは安定して落ち着くし、話がすっと入ってくる感じ。大林さんは以前お会いした時よりも痩せて見えた。ただ、あれだけの写真を撮れるのだから元気なのかなとか1人で想像してた。

展示するに至った経緯濱田さんの神戸のアトリエの話があったりと和やかに話は進んでいき、撮影当時のお話しへ。その話の前に西山さんが撮影した大林さんの撮影風景の動画が流れる。1つのドキュメンタリー。世に出てないのがおかしいくらい引き込まれる。

話は戻り撮影当時の話へ、治療の期間中毎日2時間かけて海へ向かい、ほんのわずかしかないマジックアワーのさらに深い時間を狙って撮影していたそう。時には1枚も撮らずに帰るような日もあったと。

ふと、自分にそこまでして撮りに行きたい場所はあるのかなと問いただした。答えはない。大林さんは繰り返し「無心に」と話されていた。病気などの特別な状況がエネルギーを生み出していたのだろうか。以前お話させていただいた時、大林さんから作家性の話を聞いていた。その時の話と今回の話を照らし合わせると自分の写真がものすごく若く見えてきた。

自分が撮りたいもの、それがたとえアクセスが悪かろうと限られた時間しかなかろうと繰り返し撮りにいった結果生まれた作品たちが改めて凄みをまして見えてきた。

トークショーを終えて改めて一周作品を見る。何も聞かずに見る作品と話を聞いて見る作品がここまで感じ方を変えることに驚いた。撮影者自身の言葉が乗るだけで一層深みが増して感じることに加え、そもそも作品自体が大林さんのエネルギー体のような感じがしていた。特にこのシリーズのきっかけになったという写真は目を離せなくなった。

1時間ほどの時間であったけれど、とても満足感の高い時間だった。西山さん夫妻に急に話しかけられて焦りつつ、せっかくなので写真集にサインをいただき退散することにした。写真集は少し時間を空けてから見ようと思う、今は会場で感じたことを大事にしたい。