国が溶ける

インターネットは世界を変えました。


どう変えたのか。人と人との距離を近くしました、伝言ゲーム的な意味で。情報の伝達速度が光の速さになったからです。

同じ意味で、電話がその走りかもしれません。


何が起こったか。距離の制限が無くなりました。その結果、会社員は自宅で働き、企業はもはやどの国に所属しているのかわからなくなり、テロは至るところで思わぬタイミングで起こるようになりました。

つまり拠点が無くなったのです。会社はオフィスを持た無くなり、テロ組織はアジトを持た無くなりました。


なぜ。「情報が早い」という互いが近場にいる利便性が無くなったのです。



さて国の話です。国には拠点があって、民族や集落が集まって生活する組織です。

電話やインターネットが現れる前は距離が大きな制限でした。情報伝達には時間がかかるので、関わりのある人とは近くにいた方が、または近くにいる人と深く関わる方がやり取りが楽でした。それが集落であり都市であり国です。特にイスラエルは前者の象徴ですね。

それが無くなったのです。

もちろん、今も固まって生活する利点はたくさんあります。土地にはまだ重大な価値がります。土地は未だに人の衣食住・金銭の源泉です。インターネットが発達したからといって砂漠に住めるようになるわけではないし、しゃべる言葉は慣れ親しんだものの方が楽だし、ネコ派しかいない町でイヌ派が何不自由無く暮らせるわけではありません。
これらを守る価値は十分にありますが、その価値は既に半減し、さらにこれから薄まっていきます。


何が起こるのか。国が溶けます。溶けるというのは、国境が意味をなさなくなってくるという意味です。

組織の形が変わります。中央集権から地方分権というか個人分権みたいな形になるのではないかと。一箇所に固まっている「国」よりも、世界に散らばるグローバル企業やテロ組織と呼ばれる団体の力が大きくなっていくでしょう。

それに伴って、人の移動が流動的になりますかね。あらゆる場所に色んな人種や考え方がいるようになります。今もその傾向はありますが、より一層強くなるでしょう。

争いの形も変わります。国同士の戦争はライオン対ネズミや、ライオン対トラのような対決でした。だから銃が有効でした。でもこれからは対ハチの大群や対カの大群のような争いになっていくでしょう。これに銃で立ち向かうのは明らかに得策ではなく、代わりに殺虫剤を手に入れなければ話になりません。核は抑止力としての機能を失います。

そうやって危険が分散していくと、人は味方で集まって身を守ろうと...あれ?


とにかく、世界は、組織はしばらくの間、様々な軋轢を生みながら、分散して混ざっていくでしょう。難しそうな言葉を使うとエントロピーの増大ですね(言いたいだけ)。


妄想でした。

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