Deep learningで農業自動化
妄想話です。
Deep learning流行ってますね。何?って方のためにすごく簡単に説明すると新しい人工知能です。この前なんかボードゲーム最後の牙城っぽい碁でヨーロッパチャンピオンに勝っちゃったし(しかも圧勝、大元はこれ)、妄想みたいなこともできるようになっています(これとかこれ)。
ところで、私が理想とする世界の一つに無理に働かなくてもいい世界があるのですが、どうすれば働かなくて良くなるかと考えると、とりあえず食う物があれば死なないという結論になるわけです。
なので、食べ物を作る・採ること(つまり農水畜産業)を完全自動化できれば働かなくてもいいかもなのです。
で、自動化できんのかって話なんですが、色々試みはあるみたいです。確かにアメリカの大規模農業とかあるのでできなきゃおかしい。
ただやっぱり問題はあって、ざっくりまとめると、型にはめないと今の自動システムは動かないんです。つまり、畑にきれいに並んでいる稲はコンバインで根こそぎ刈り取れるけど、茂みの中でキイチゴとかシソを見つけて摘んだり、逃げるニワトリを優しく捕まえて移動するのは難しい。
私自身でも小さい畑で野菜を育ててみているのですが(今年はいい大根が育ちました)、人にしか出来ない作業色々あると思います。雑草抜きだったり、茎や葉の一部を収穫したり。大規模農業はまた別かもしれませんが、それでも最後の選別とかは人の手が入るんじゃないかな。
なんで難しいかっていうと、いままでのシステムでは柔軟な物体認識と、柔軟な行動計画ができなかったのです。これ、人間とか動物は簡単にやってのけるんですけど、機械には難しかったんですよ。そこに現れたのがDeep learning(多層ニューラルネットワーク)です。これによりこの二つの能力をコンピュータシステムが獲得できる可能性が見えてきました。
わけわからん、って声が聞こえてくるので説明します。まず、なんでこれができるようになればすごいのか。特に自然物を相手にする場合、ちょっとした条件が毎回異なります。例えば、農業だと枝葉の生え方や収穫物の形・大きさなどです。葉に隠れて作物の一部しか見えないこともありますし、これに採るときに枝葉が邪魔になることがあります。人はそんな状況でも難なく対象を見つけて、手足を捻って(体の動かし方を変えて)それを採集します。これがいままで機械ではできなかったのですが、できるようになりつつあるということです。
次に技術的な話。まず物体認識について。今までのシステムでも物体認識はできましたが、こんな感じでした。
つまり、全く見え方が違うものを同じと認識できず、同じものでも少し他のものの影に入ると認識できなくなっていました。でもDeep Learningでこうなる可能性が見えてきました。
これを表現獲得といって、同じ対象を見え方が全然違っていても”同じ”と認識できる能力です。人間が機械に比べて大きく勝っていた能力でした。この能力がDeep Learningによって飛躍的に上がりました。例えばこれ(大元はこれ)、顔認識で人間の認識率を超えたというもの。
なんでこうなるかっていう解説記事はもうたくさんあると思うので、「ディープラーニング 表現獲得」とかでググってください。あ、でもやり方はわかってますが、なんでそれで上手くいくのかは誰もわかってないはずです。
行動計画のほうも同様です。行動計画とは、目的を達成するに、どのように身体を動かせばいいか計画することです。例えば、下の二つは同じ目的(蓋を開ける)で同じ行動(蓋を捻る)をしますが、完全に同じではない(つかむときの手の使い方が違う)はずです。
これも従来のシステムではできませんでした。つまり、瓶の蓋を開けるシステムでペットボトルの蓋は開けられませんでした。これもDeep learningが解決してくれるかもしれません。例えば
つまり、枝葉を避けて収穫できるようになるかもです。
これで、雑草を抜く、キイチゴを見つけて摘む、ニワトリを追いかけて捕まえるといった動作を、機械でも人が行っているようにできるようになる可能性が見えてきました。つまり、どんな見え方でも対象を識別して、それに合う行動ができるようになりつつあるのです。
もちろん、この技術は他の産業でも役に立ちます。ゴミも金も選別できると思いますし、そのうちボールを追いかけてグラウンドを走り回れるようになるかもしれません。
大規模農業なんかだとこんな技術より、たくさんの農業用車両を自動運転させたり、人工衛星画像使って作物を管理するみたいな技術の方が役にたつかもしれませんが。まあ、そういうやたらでかい話も面白そうですね。
目指せ、自給自動化。以上妄想でした。
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追伸:土いじりは自分でやっても楽しいですよ。