2019.9. 孔麻璃子・山根海音「gerbera」ほか(The caseより)

 「The case」は、世界的に普及しつつあるメソッドGAGAを広めているダンス指導者・鞍掛綾子が主催する、若手ダンサーに機会を与えようという公演で、今回3組のダンサーが出演した中で、特に孔麻璃子と山根海音の「gerbera」が群を抜いていた。

 本作は、戦場を思わせる効果音の後、佇立する一人に水か何かを注ぐしぐさをするなど、緩やかな物語性を帯び、また一転してお茶目でファンキーな乱舞のシーンになるなど、30分余の中編の中に様々な対照的な要素を織り込んだ、スケールの大きな作品だった。

 なお、この作品は7月に大阪(さなぎダンス)、8月に京都・アバンギルドでも短いヴァージョンで披露しており、本公演が集大成的な上演となった。

 海外で活躍している孔、東京のカンパニーにも活動の場を広げている山根の二人は、共に技術、表現力、構成力に優れ、このユニットでももちろん、個々に今後の活躍が大いに期待できる。

 また、他の作品では、前述の二人と同じ神戸女学院大学舞踊専攻卒の小林はるかがダイナミックな表現力に優れており、武庫川女子大学ダンス部出身の貫渡千尋と松原風花はシャープで繊細な感性が特徴的だった。コーディネーターとしての鞍掛の着眼の鋭さも光った。

2019年9月5・6日

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