イケメンともつ鍋をつついた後にイチモツを食べた話。
「今日もう飯食った?」
数か月ぶりにきた連絡は、まるで頻繁に会っている相手に送るかのような軽快なLINEだった。
その連絡をしてきた男は、私が2年前に好きだった男であり、いわゆる”そういう”関係の男だ。
出会いは取引先の若手。出会ってから気付けばもう3年になる。
この男はたくさん話のネタをこれまでも提供してくれた。
純粋に恋心を抱いていたころ、初めてのデートで鎌倉を提案され、不安を抱きつつも了承した当日、一番のお目当てだった神社に到着した10分前に入園時間終了。
そこから40分かけて歩いてメイン通りに戻り、当時カメラにハマっていた彼に撮られた写真はすべて、見事に事故っていた。
そこから、覚えたての神楽坂の街を歩きながら”いい感じ”の店を探すもなかなか決まらず、なんとか空いていた店でそれまでのグダグダを忘れるために日本酒を流し込んだっけ。
アルコールで饒舌になった彼は私に問う。
「最近仕事はどう?」
「どんな人がタイプ?」
「最近の男関係は?」
私は、割と正直に答えていたと思う。
紹介された人と連絡を取り合いデートに行ってみたら私服がダサすぎて、心の中で「ジャスコかよ」と突っ込んだことで「ジャス男(お)」と呼んでいることとか、もう覚えていないがしょうもない話をして少しでも気を引きたがって色々話をした。
そもそもそんなグダグダなデートでもなお私が彼に惹かれていたのはなぜか。どう考えても顔である。
色白で窪田正孝似で関西弁で話す彼の、ビジュアルが好きだった。(正直、勤め先も出身大学も余裕で合格ラインを越していたこともある)
そこからはもう、みなさんの想像通り。
なんやかんや流されて一度股を開いてからは、いわゆる普通のデートも何度かしたが、最後は決まって私の家に帰る。
「この関係って何?」
何度もこの言葉が喉まで出かかったが、欲しい答えがもらえず切ない思いをしたくなかったので聞けなかった。
あと正直に言うと、彼は私がこれまで出会っただれよりも上手かったし、大きかった。私は彼の顔と、アソコを好きになった。
しかしながら私は彼の彼女にはなれない、そう悟ってから始めたTinderをスワイプするなかで彼を見つけたこともあった。名前はまったくの偽名だった。
そんなある日、久しぶりに会っていつも通りの行為に及んでいる時に気が付いた。
「(毛がない…)」
ムードを壊してしまいそうだったので声には出さなかった。元々体毛は薄めの彼だったが、おそらくメンズ脱毛にでも行き始めたのか、あまりにも不自然にそろえられた毛を暗がりの中見つめたこともあった。
そして先日、突然の飯食ったかLINEがきっかけで半年以上ぶりに彼と会うことになった。
もつ鍋をつつきながら、「最近脱毛行ってるんだよね。脇と髭。」と言われたが到底わたしは過去のことなど忘れて「へえ~」と聞き流していた。
そのあと、私は最近これでもかというくらいの大失恋をしたタイミングだったこともありホイホイと家に招き入れ、これまで彼の前では隠していたタバコも吸ったし、安っぽいAVの前半みたいに甘えていちゃついた。
いつもよりお酒のスピードを上げていた彼は意外と緊張していたのかもしれない。シャワーを浴びてから、”いつも通り”の行為は電気も付けたまま急に始まった。
「舐めて。」
久しぶりのご対面。
なんと彼の下半身の毛根は見事に復活していた。
さっきの、脱毛に通っているという話と、昔毛がなくて驚いたことが急にフラッシュバックし、正直まったく集中できなかったが相変わらず彼には満足させてもらったので目をつむろうと思う。
これからも、顔だけはかっこいい少しダサい彼のことを切れそうにない私である。