ゴールデンタイムのテレビ

全国放送、ゴールデンタイムの番組作りに携わって3年とちょっとが経ったが、これは本当に難しい。
黙っていても深夜やBSより視聴率が取れることは間違いない。
しかしどうしても難しいのは、ターゲットが「全員」だからだ。

広告や企画、営業の基本はターゲットを絞ることだ。
これまでは性別と年齢でそれを区切ってきた。
「20代女性向けの商品」「60代のリタイアした夫婦向けの商品」などなど。
こうすることで、個人個人のツボをついた物づくりができる。

最近はジェンダーフリーや年齢で趣向を決めつけることへの反発、多様な生き方を認めようという社会的な流れもあって、かつてのターゲット戦略とは流れを変えている。
たとえば「20代女性向け」というカテゴリーを、「かわいい自分を作れる」と捉え直すことなどだ。

それでも、「ターゲットを絞る」という点については変わらない。なんならネットをベースにしたビジネスは、より個人レベルをターゲットにした戦略を展開し、成功している。

しかしゴールデンタイムのテレビに関しては、いまだにターゲットを「全員」にしている。
子供からおじいちゃんおばあちゃんまで、家族で、友達で、一人で…。
ただでさえテレビなど見ない人が増え続ける中で、さらに戦略がぼやけてしまう。話題(ネタ)だけでなく演出面でも、バラエティと真面目、アップテンポとわかりやすさを共存させなければならない。

ではどうしたらいいのだろうか?
答えはないのだが、今考えていることはこうだ。

ラグビーワールドカップや即位礼正殿の儀、台風ニュースなどは、年齢や性別に関わらず国民全員の大きな関心ごとだ。
「君の名は」や「天気の子」が大ヒットすれば、多くの人が我もと見に行く。
やはりニュースバリューが大きい、ということがこれからの時代において唯一「全員ターゲット」になりうるテーマなのだろう。

本当はそんなニュースバリューが大きいコンテンツを0から作れることが理想なのだろうが、それも至難の業だ。
とにかくニュースバリューのあるテーマを、わかりやすく、ふざけすぎず、届ける。

でもそれって結局、何か言ってるようで何も言ってないのでは…?

個人的には、ゴールデンタイムの番組であっても、これからはストックを前提に、ある程度ターゲットを絞った層に刺さるような作りにして行かざるを得ないように思う。
それかゴールデンタイムはニュース、大スポーツイベント、祭、豪華ドラマだけにするかだな。

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