絵本を読む✨『たぬき』いせひでこさん
(2022.5.2)
おはようございます。sizukukoboです。
GWの前半が終わりました。今年はとにかく雨が多い。春がとても短くて、急に暑くなったり寒くなったり。昨日は関東ではかなり強い雨が降りました。こたつ布団や冬物をしまった矢先に急に寒くなったので着るものに困ります。庭の梅が、強風でだいぶ落ちてしまいました。今年は気候変動が激しくて既に梅雨入りしたかのようです。
4月6日から3週間の振り返り期間を経て、初めての月曜日です。
色々悩んだ結果、結局曜日ごとのテーマ配信を継続することに決めました。
月曜日のテーマは「 絵本を読む」です。
1月に「絵本を毎日読む」と決めてから4ヶ月。継続の難しさを痛感しながら現在に至ります。ただ読む、と決めただけでは継続が難しい。そしてアウトプットの場がないとすぐに忘れてしまう。読むことを継続して、自分の中に蓄積したい。「おすすめの絵本は?」と聞かれたら自分の言葉で説明できるようになりたい。そんな思いから改めて月曜の配信を再スタートさせます。
今日ご紹介する絵本は『たぬき』です。
絵本と合わせて紹介したい話があるので今回は1冊だけ紹介したいと思います。
『たぬき』は、いせひでこさんが描いた絵本です。『ルリユールおじさん』『ねぇ、知ってる?』など多数の作品を手掛けている方で、私の大好きな絵本作家さんの一人です。
実はつい先日、ご本人にお会いする機会がありました。絵本好きの友人から情報を得て出かけました。そして『たぬき』の原画展と一緒にトークショーもしていただいて贅沢な1日でした。
『たぬき』は去年出版された新しい絵本ですが、実はこれは11年前にいせさんご自身が体験して記録した実話です。これまでの絵本は植物や人物を描いた絵本が多い印象だったので「なぜたぬき?」と思ってなかなか手に取らなかった絵本でした。
このトークショーで、『けんちゃんのもみの木』を描いて以降、人が描けなくなってしまい、苦しんでいた話を聞きました。いせさんから「描けない」と聞いた編集者の方が「たぬきなら描けるんじゃない?ほら、前に見せてくれた記録があるじゃない」と10年前のいせさんの記録のコピーを出してくれて、そしてこの絵本が生まれた、と話してくれました。
そのトークショーでは、実際に自宅にたぬきが訪れたこと、たぬきの赤ちゃんが生まれたこと、マヨネーズ事件など、この絵本に描かれた絵と文章を、スケッチやメモと照らし合わせて丁寧にお話してくださいました。実物のスケッチのコピーを目の前に「絵本ではこう表現されているけどね」と、実際の記録と絵本の原画の説明を直に聞いて心から感動しました。絵本ができるまでの10年間は、東日本大震災が起きてから「生きる」ことを自身に問うていた10年間。そして「生き直す」という表現が当てはまる、とおっしゃっていました。そしてたぬきに生きる勇気と希望をもらった、とも話されていました。
絵本の誕生秘話、そして東日本大震災以降の被災地や被災された方との交流や関わり、人が描けなくなるほどの強烈な体験になった『けんちゃんのもみの木』という絵本のこと。声を直接作者の方から聞いたからこそ、より強く絵本に惹かれました。
オフラインの良さを改めて感じた一日でした。絵のタッチから想像していた、いせひでこさんという作家さんは、フワッと柔らかい雰囲気の方をイメージしていましたが、実際にお会いしてみたら、トークは面白くてグッとひきこまれるし、佇まいがカッコ良くて凛としている。それでいて気さくに話してくれて、いい意味で印象がガラッと変わりました。
『たぬき』の絵本は読み聞かせするより、子供と一緒にパラパラとページをめくって楽しみたい1冊です。
私はどこかでたぬきを目にするたびに、きっといせさんと絵本を思い出すな、と感じた一冊です。
最後までお読みいただきありがとうございました。