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12/17・SRTTサマーベーシック(卒業試験?)

 12月17日(土)、SRTTサマーランドベーシックに参加しました。

 バイクの免許とって間も無い頃、SRTTの内藤先生に初めてマンツーマンレッスンを受けてちょうど2年目。ほぼ毎月、何らかのクラスに出て練習してきました。

 今回のベーシッククラスは、先生に「そろそろ卒業〜」「今回は卒業試験」「落第しないように」とプレッシャーをかけられました(笑)私の方は気持ちが全然、付いて行かず「え〜、何で卒業〜?」と意味が分からず。でも要はとにかく「しっかり走れ」ってことなんだろうと、自分なりに受け止めて、練習に臨む。

 一番最初はバイクの上での座学とライディングフォームのチェック。何度も聞いているから聞き流しているのですが、たまには、先生が「これがリーンウィズです」という、カーブでのフォームを改めてとってみる。
 実は、先日のハイパーのクラスの時、先生に「(旋回時に)バイクの外側に乗ってしまっている」と言われて、自分でもそんな気がしていた。それで、この時リーンウィズをとった自分の身体を観察してみたら、見た目はたぶんリーンウィズになっているが、お尻の骨のシートへの圧力が外側になっていることに気づいた。「うそ!!」「こっからかよ!!」と自分に突っ込みたくなる。このバイクの上での講義の件はおそらく、20回くらい聞いてきたはずだ。いや大丈夫、大丈夫、こっからやり直せば良いのだ。
 ちょっとずつ、シートへの荷重を内側にズラしてみる。先生たちが参加回数の少ない参加者を見ている間に、自分はこっそり、どこまでシート荷重出来るか試してみる。内側にお尻がずり落ちてくる。外側の足がステップから外れて、バイクから転がり落ちそうになる。おっとっと。「外足を踏ん張りなさい」っていうのも、以前言われたっけ。やばいな。停まったバイクの上でリーンウィズのポーズを取るだけで、普段の自分の癖が全部出ていることに気づいたなんて、今さら誰にも言えない。

 イントラが近づいてきたので知らん顔をする(見られてた??)。今気がついたことを伝えようとしたが、それに対するアドバイスの代わりに今の課題を言われる。「バイクのバンク角をもっとコントロール出来るようになるといい」「色んな乗り方を使い分ける」「型にハマって(乗り方が)一辺倒になりがち」とのこと。なんか図星すぎて恥ずかしいし、1ミリも出来ている感じも出来そうな感じもしない。もういい、グレてやる。

 午前中の慣熟走行、オフセットの練習で「あれ?なんかうまくいかない」と思う。直線パイロンの後、下段の細かいオフセットに入るときがうまくいかない。バイクが寝すぎてマフラーを擦る。それから、先週のハイパーのクラスの時に、カーブを出て次のカーブに入るまでのアクセル操作のタイミングが合わず、ハンドルが暴れてしまって転倒しそうになったのだが、それが今回の中段のオフセットでも兆候が出た。一度経験しているので早めに分かって、少しアクセルを開けるタイミングをカーブの出口を抜け切ってからの部分まで待ってみるけど、そうするとSRはレスポンスが遅いのでモタモタしてしまい、何だか色んなタイミングが間に合わない。

 どうしたら良いか分からないまま、あっという間に午前中のカリキュラムが終わる。卒業認定どころか、新たな試行錯誤が始まってしまった。このままでは卒業は絶望的だ。

 お昼休憩に入る。午後の走行の前にイントラに質問したい。イントラの様子を伺う。今日はイントラの人数が少ない。みんな忙しそうだ。一瞬、隙があるかな?と思って近寄ってよくみると、インカムで先生と話している。忙しそうだ。近寄りかけたけど途中で向きを変える(まずい、挙動不審になっている)。諦めて昼食会場に向かう。

 お弁当を食べ終わったあと、またチャンスを伺う。できれば女性のYイントラがいいな…。でも見当たらない。先生たちのハイエースの周りをウロウロしながら待ち伏せする。ええ、挙動不審ですが、文句あります?(笑)
 イントラを捕まえて、午前中うまく行かなかったことの相談をする。するとそれに対する直接の回答ではなく、最近の私の傾向を言われた。
「スピードを求めるような走りになってきていて、これまで気をつけていたことが疎かになっている」(そ、そんなに求めて無いです!)
「上半身でバイクを持って行こうとするような乗り方になっている」(そうかも)
「シートにきちんと座れていない」(そうかも)
「実際に出ているスピードに対して自分の感覚が追い付いておらず、操作が遅れがちになることがある。ブレーキは以前より強く掛けてる?」(うぅ。。。)
「(自分のレベルが)後退しているように感じる時期もある」(まさにそうです)

 また、腰をうまく使えないことを尋ねてみると、「腰の使い方は難しいところ。人のを見ても、話を聞いても、自分で出来るようになるまでは理解できない。フォームが変になっていると言われるくらい、色々試すこと」等々。
 たっぷりアドバイスを貰えた。ちょっと貰いすぎた。現実を突きつけられすぎて少し泣きそうになってくる。 

 ともかく、もっと下半身を使うことと、フロントブレーキを使うこと。たくさん考えていても出来ないので、やることはひとつかふたつに決める。分からないことは分からないままで走る。分かろうとして考えながら走っていたらブレーキが遅れてコースアウトしそうになったことがある。バイクは待ってくれない。これは性格によると思うが、未練タラタラ、クヨクヨしてしょっちゅうお腹を壊すような虚弱感傷体質の私にとって大切なのは、諦めることと、断ち切ること。そして、できる限りアタマを空っぽにすること。

 午後のブレーキ練習は3列に分かれて目標制動などをする。これまではだいたい、上手く行っていた。イントラにはいつも「そのぐらいしっかり掛ければOK」と言われるだけだ。しかし今日は何度もリアタイヤをロックしてしまう。おかしいな。出来ていたはずのことが出来ない。やり方が分からない。誰か教えて下さい。

 そのあとは8の字練習に入る。8の字は好きだ。叶うことならば、どこにも行かずに同じ場所をずっとぐるぐると8の字で回っていたい。意味のない行動。めくるめく無限ループ。回っている間はどこにも行かなくていいし、その間は誰も追って来ない。安全地帯。まるで母親の胎内にいるかのようだ。仕事が休み日の朝のお布団のようだ。
 先生が8の字コースの説明をしている間に、イントラが上段の方で妙なセッティングを始める。小さな赤いパイロンを放射状に敷き詰めて、上段の8の字の最初の円をぐるっと一周囲んだ。異様な光景。まるで彼岸花が敷き詰められたあの世とこの世の境目のようだ。きっとここでは死者たちが無数の手を伸ばし、走っている私たちの足を引きずり降ろそうとしているに違いない。

 めくるめく8の字が終わり、生死の境目から無事に生還する。最後の応用走行では今日学んだことを踏まえ、約一時間、コースをひたすら走る。私はとにかく下半身を踏ん張ることを実践しようとする。少しバイクを擦らずに下段のところを走れたかな。ブレーキの方はもはやよく分からない。アクセルの開け方をもっと微調整したいので、右手でブレーキと一緒に握り込むけど、ブレーキに指をかけたままだとアクセルが十分に回せない。ブレーキから指を離すと、細かい操作が間に合わない。ちょうどいい位置が見つからないまま、ならばと安全な方法を選ぶと、ペースがどんどん落ちて行く。
 もう少し、順番を下がって練習したい。ひとつひとつ確認しながら走りたい。自分の後ろを走っている方に前に行くよう促す。何人も前に行かせていたら先生に見つかり「まだ後ろに下がるのか?」と一瞬、仁王像のような顔をされる。あぁ、卒業試験、落第フラグ。
 しかし私も必死だ。ハイパーと違って、ベーシックでは「前に行って下さい」と頼んでもすぐに前に行ってくれる人は少ない。「どうぞどうぞ」と順番を「譲る」というぐらいでは、下がれないので、理由を話して前に行ってもらうよう「頼む」。一回でダメなら、一周走ってきてからもう一回、頼む。でも私はきっと怖い顔をしていただろうし、「頼まれた」というより「命令された」と感じた人もいるかもしれない。はたまた「前を走れ」という「脅迫」か。お願いした時、ヘルメットの中の目がかなり動揺しているように見えたと思ったら、まだ参加回数の浅い参加者の方だった。あ、ごめんなさい。

 やっとのことで自分の走りたかったペースを見つける。オフセット、Uターンはとにかく下半身でバイクを起こす。下半身、下半身、下半身。そういえば、以前はすごくバイクが重く感じた最後の直線パイロンは、少しだけ楽になった気がする。ちょっと楽しい。もっとやってみたい。しかしそれも束の間。ここの直線パイロンはあっという間に蹴散らかされてコースが乱れてしまう。嗚呼、直線パイロンよ。今日の私の唯一の心の拠り所だったのに。

 そうこうしているうちに練習が終わる。ベーシックでは一時間の応用走行で走れる10〜15周(?)のうち、自分の思う練習が出来るのはせいぜい1、2周だ。日によっては1周も無いこともある。「やろうとしていたことが出来た」と感じるのが1周あれば上出来。今日はどうだったかな。
 ラスト1周を走り終えて、バイクから右足を下ろした時、ズキズキと膝が痛んだ。久しぶりの感覚。そう言えば、ニーグリップのことをしばらく忘れていたような。いえ、忘れた訳ではありません。ちょっとサボっていただけです。そういうこともあるよね。人間だもの。

 バイクを戻して、帰る準備をする。レジャーシートの裏に死にかけたミミズがくっついている。最悪だ。殺意を込めてシートを振り払う。殺意!!殺意!!
 自分の片付けを適当に終えて、少し会場の片付けを手伝う。練習から解放されて、スタッフの方となんやかんや話しながら片付けを手伝うのは、束の間の癒しの時間。しかし自分でやり始めたは良いものの、ちょっとパイロン多いな(そして重たい)。それにしても、コーン部分が7割近く破損したパイロンも多くある。もはや土台の四角い枠だけになったゴムの断片を、どこまでパイロンと呼べるだろうか。
 片付けをする間も、卒業については何も言われないままだ。もう無かったことにしてくれないかな。

 積荷が終わって、帰宅前の挨拶をしに行くと「無事に落第ということで」と先生に告げられた。「落第したから、これからもよろしく〜」と、先生はニコニコしている。確かに卒業した感じは1ミリもしなかったが、はっきり「落第」と言われるとショックだ。とりあえず、雨が降りそうだったので、私は「来年もよろしくお願いします」と挨拶して、出発する。

 家に着いた後、「おつかれさま」「楽しかった?」と恋人からラインがくる。「出来ないことがたくさんあって、悔しかった」そう送ろうとして、涙が溢れてくる。「先生が卒業させてくれると言ったのに、落第した」「頑張っても出来なくて、悔しかった」文字を打ちながら、涙がぽろぽろと落ちる。悔しかった。悔しかった。悔しかった。悔しかった。

 今日も良い練習が、できました。



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