ちょっと?の話4 トイレのないビル(792文字)
以前、都内のある派遣会社での登録手続きに行ったときのことです。
駅からは近い場所にあり、すぐにそのビルを見つけることができたので、まだ、約束の時間までは十分ありましたが、そのビル内の会社が入っているドアをノックして、登録に来た旨を伝えて入りました。
私は、登録手続きに入る前にトイレに入っておきたかったので、対応してくれた女性にトイレの場所を聞きしました。そうしたら、
「このビルにはトイレがないのです。どこか外で探してください」
との、冷ややかな返事が返ってきました。
「ビル内にトイレがない?」
私はちょっと不信に思いましたが、そう言われたので、仕方なくビルの外に出てトイレのありそうな建物を探すことにしました。
幸いにも駅の近くだったので、色々な店もあり、歩いている内にパチンコ屋が目に入ったので、あたかもパチンコをしに来た客であるかのように店内に入り、トイレを探しました。
そうして改めて、先ほどの派遣会社のビルに戻ったのです。
確か、7階くらいある細長いビルは古い感じではありますが、他にもいくつもの会社が入っており、そこで働く人も何人もいるであろうに、トイレがないとは一体どういうことなのだろうか、と思った。
私に、トイレはないと告げたあの女性社員は、自身がトイレに行くときはいちいち外に出ているのであろうか。
いや、そんなことはないのだろうと思う。
社員たちが使うトイレはちゃんと中にあって、私たち外部の人間には使わせたくないのだろうと想像した。
都心にあるビルなのだから、トイレがないビルなどないと思うし、何か、不自然でおかしな話だと思った。
結局、そこの派遣会社では登録は済ませたものの、実際に仕事を受けることはなかった。
会社の善し悪しが、その女性社員の対応に表れている感じがしたので、そことは縁を繋げたくないと思ったからです。
仕事探しをしていると、色々な会社に出くわすものです。