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動植物の話23 愛すべき盲導犬(729文字)
私は仕事帰りの乗車の際、盲導犬を連れた女性の姿を見かけることがよくあります。
駅から駅への移動時のエスカレーターで見かけるのですが、盲導犬はあの人混みの中をよく躓いたり転んだりすることもなく、エスカレーターを降り、ゆっくりと女性を改札口まで先導し、また次の改札口へと無事に進んで行きます。
盲導犬もいつもの決まったコースだから、迷うこともないのでしょうが、私がよく見かけるということは、毎日、無事に帰宅して、翌朝はまた通勤しているという証なのですね。
周りの人たちも邪魔にならないように間隔を取ったり、と気遣いはありますが、よく周りにぶつからず、改札口から改札口へとスムーズに進んで行くものだと感心して見ています。
盲導犬は普通の犬と違い、日々大変なストレスを感じているため、その寿命も短いらしいです。
以前に盲導犬を扱うドキュメンタリー番組を見たことがありますが、年をとって能力が衰えた盲導犬は早々に引退するそうで、そのあとはまたどこかの家庭に引き取られ、余生を気楽に過ごすようです。
自分を今まで無事に道案内してくれた、健気な犬との別れは辛いでしょうね。
人と犬とのそうした情感が映像を通して伝わってきたのを思い出します。
盲導犬よ! 本当にいつもご苦労様。
駅で見かける盲導犬に出合うとき、今はまだ健在で活躍しているこの犬も、いつかはそういう悲しい別れの日が来るのだろうなと想像するのです。
「会うは別れの始め」という諺がありますが、これは人間同士にだけ当てはまるものではありませんね。
こういう現実に接するとき、自分が五体満足に生まれ、なに不自由なく行動ができることに感謝せざるを得ません。
※今回掲載の写真は、「photo AC」からダウンロードさせていただいたものです。
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