思い出話23 出稼ぎのお婆さん-信州でのアルバイト-(638文字)
私がまだ学生の頃、夏休みに信州の高原へアルバイトに行ったことがあります。
そこでは高原レタスの栽培をしていて、夏の収穫期で人手が要るということで、求人を見て応募したのでした。
小淵沢から小海線に乗って信濃川上という所まで行き、農家の家に入り込みました。
朝五時に起き、着替えをし、朝食をいただいた後、軽トラックに乗ってレタス畑までみんなで行きます。みんなといっても、八人くらいです。
日が出る前の信州の畑は空気が澄んでいて、真夏の薄着には肌寒い陽気でした。
見渡すかぎり、黄緑色のレタスの玉ばかりが並んでいて、「これを全部収穫するのかあ~」と考えると気が遠くなるほどでした。
東京の短大に行っている娘も手伝いに来ていたが、出稼ぎに来ている青森のおばあさんたちも二人いた。
お昼になると、持ってきたおかずの他、畑のレタスを二つ三つほど採り、それに醤油をかけておかずとした。
味噌汁の味噌は、独特の臭みがあって、私はどうしても好きにはなれなかったが、我慢して飲んだ。
お昼時は、いつも青森のおばあさんたちと会話をするが、何かと親切にされるのが救いだった。
ただ、その話す内容のほとんどはわからない。
八割方は勘で理解して、笑顔を返した。
それを察したおばあさんたちは、ゆっくりとずうずう弁をしゃべるが結果は同じだった。
私はこみ上げる笑いを抑えながら、おばあさんたちの心と接していた。
作業は辛かったけど、楽しかった思い出です。
※今回掲載の写真は、「photo AC」からダウンロードさせていただいたものです。
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