思い出話20 強烈な腹痛を経験して(551文字)
ある日の真夜中、にわかにお腹が痛くなって目を覚ましたことがありました。
私は布団から起き上がり、階段を駆け降りてトイレに入った。
下痢だった。しかし普通の下痢ではなかった。
とにかく激しい痛みが下腹部を襲ってきた。
洋式トイレの便座にじっと座っていられないほどの苦しみでした。
その内、冷や汗は額から頬を伝わり、雫のように足元に流れ落ちてきた。
本当に死ぬほどの苦しみだった。
とうとう便座に腰を掛けているのが辛くなって、トイレのドアを開け、私はそのまま廊下に倒れ込んでしまった。
意識も少し朦朧としてきた。
数分間そのままの状態でいたが、「このままではいけない」と思い直し、またトイレに入り便座に腰を掛けてしばらく耐えたみた。
十分、十五分と経つうち、だんだん楽になってきて、一時のどうしようもない激痛から少しずつ解き放されてきた。
「いったい何が原因なのだろう?」
私は、夕食に食べたものを思い浮かべてみたが、よくわからない。
以前に、職場の人間と夕食時にレストランで貝を食べたあと、帰宅の電車の中でも同じような激しい腹痛を経験したが、それと似ていた。
そして、私はふと、昔、親戚の法事に行ったときに聞いた坊さんの話しを思い出した。
「人間、毎朝スムーズに排便ができる。これもありがたい仏様の功徳なんです」
とか何とか言っていた。