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動植物の話17 老い木に花

桜の咲く時期、私は撮影のため自宅からほど近い、葛飾区にある水元公園に行きます。

水元公園には有名な桜土手があり、花の時期になると、それはそれは見事ですから、多くの花見客が現れます。
道路沿いに、太くて大きな桜の樹がずらっと並んでいて、その花咲く景観は実に美しく素晴らしい。

桜の樹は大小さまざまで、表面の樹皮が剥がれ落ち、すでに腐りかけたようなものもあります。

桜は一般的に生長が早く、寿命も短いため、あまり樹齢を重ねた樹はないのだと思うが、一見したところほとんど枯れたように見える古樹がいくつもあります。

樹幹はうねり、大きな空洞ができたかなり老いた桜。
そんな樹でも、時期になると、ごつごつした樹幹から淡い可憐な花をいくつも見ることができます。
太い樹皮から直接咲き出ている、不思議な花のつき方をしているものもあります。

枯れ木のように見える桜でも、毎年同じように可憐な花を咲かせるこの自然の営み、そして不思議さ。

「年々歳々花相似たり 歳々年々人同じからず」
毎年、桜の花は同じように咲くが、それを見る人は年々に違っている。
また、毎年同じように咲く桜を見る人も、年々にその心境が違っています。

「老い木に花咲く」
一見、枯れたような状態に陥ってしまった者でも、何らかの再起のきっかけさえ上手くつかめれば、全然、大丈夫ということです。
私自身、その諺を信じている者の一人です。


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