最近の話11 不用品買取の男に啞然(804文字)
先日、家に「不用品の買取します」という電話がかかってきた。
最近は特に、こういう電話や訪問が増えてきているように感じます。
ほとんどの要らないものはすでに処分してあるのだが、昨年春に亡くなった母の着物がまだ残っているので、試しに、「着物がある」と返答したら、それではすぐにお伺いしますとのことだった。
数時間後、男性が一人でやってきた。
一見若い紳士風ではあるが、あまり上等ではなさそうな香水をつけた男だった。
私は男を玄関に招き、二階の母の部屋に連れて行って、桐の箪笥から母の着物を全て広げて見せた。
私はその男のそばに座り、いろいろと母の遺品について話しをした。
男は私の話しを聞きながら、無言で着物を次々と持参のビニール袋に入れていた。
私は、その男の行動が気に入らなかった。
まだ、買取金額も、私の承諾も全くされてないのに、そっくり持ち帰ろうとしている男の態度にであった。
私はその男の行動を止め、買取金額の話しをした。
そうしたら、この着物類まとめて三百円ということを言った。
私は、それはちょっと納得のいく金額ではなかったので、そのことを言った。
そうしたら、男は、
「それでは、あなたの方で着物買取の専門業者に査定をしてもらい、買い取ってもらってから、値段のつかない残りの着物を私どもの方で、先ほどの値段で買い取らせていただきますが、どうですか」
というので、そうすることにした。
男は、一見、紳士風で上品な感じもしたが、心の奥に何か冷たいものを持っているように感じた。
男が帰った後、家の中は男のくどい香水の匂いがまだ残り、不愉快極まりないものとなった。
普段、香水など絶対につけないので、特にそういうものは敏感になる私であるが、何か家の中が汚されたようにも感じた。
一般家庭から不用品を安く買いたたき、適当な値段でどこかの業者に売るのが彼らの商売なのであろう。
何か、今の日本の経済活動の嫌な一面を見たような気がした出来事だった。
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