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覚醒の話36 好死(こうし)は悪活(あっかつ)に如かず -死に急がないように-(1,145文字)

以下、『中国古典 一日一言』PHP文庫 守屋 洋著より引用

好死は悪活に如かず『通俗編』
「好死」とは、立派な死に方、いさぎよい死に方。「悪活」とは、みじめな生き方、見苦しい生き方。そんな生き方でも、とにかく生き抜くほうが「好死」に優っているのだという。~~
(引用以上)

これは、数多くの古典の中でも、私の心に残るものの一つです。
見苦しい生き方、惨めな生きざまなど、普通の人間の感覚からすれば他人には知られたくないし、早くにそんなものとは縁を切りたいところです。

でも人生、ときにそういう状況に陥ることもあり、また、そうした現状からなかなか抜け出せずに悶々とするときがあります。

以前の私自身が正にそうでして、何度かの失業を経験し、経済的にも精神的にも非常に困窮した時期がありました。
「早く何とかして、元に戻したい。早く何とかして、もう一度豊かであったころのようになりたい」という気持ち一点でした。

ところが現実はなかなかそう上手くはいかず、原状回復ができない状態が続いている。

私はそうした失業時代、多くの名言・格言の類を読み、一種の憂さ晴らしをしていたのですが、中国古典を読み進めていくうちに、この「好死は悪活に如かず」というものに出合い、良い言葉だと思って、以来これが好きになったのです。

現代社会は複雑で、ストレスの多い時代。
仕事でつまずいたり、人間関係で神経をすり減らしたり、お金の問題、健康上の問題など、様々な事柄で苦しみを味わっている人は多いです。

そして、ある人は、その耐え難い現実から抜け出したいと、自死を選んでしまう人もいます。自死は絶対にしてはいけないことですが、その人なりの言うに言えない苦しみがあっての行為なのでしょう。その気持ちが理解できないわけではありません。
でも、その選択は間違いです。

なので、その選択をする前に、この古典の言葉を知ってほしいと思っています。
「好死は悪活に如かず」
苦しくても何とか生き抜いてさえいれば、また良いときもやってこようというものです。
日本では、毎年2万人前後の自死があるようですが、くれぐれも早まった行動をしないよう、願っています。

年の終わりの12月ころになると、電車が「人身事故の影響で遅延」というアナウンスが流れたりします。
これなども、飛び込み自殺のことなのだろう、と想像しています。

もうお亡くなりになりましたが、丹波哲郎さんの『大霊界』という映画を以前に見たことがあります。その中で、丹波さんは、自殺した人は、暗い地獄に行き、「みんな泣き叫んで死んだことを後悔している」ということを仰っていました。
私もたぶんそれは間違いではないだろうと思っています。

自殺願望のある方、決して死に急がないように。
「好死は悪活に如かず」なのですからね。

ロウバイの花

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