引っ付き虫

空き地に忍び込むと必ずこいつに引っ付かれた。大オナモミという名前らしい。武器としても使える。髪に絡まると一目散に家に帰らなくてはならない。忍者ごっこで使っていた。鉄条網に囲まれた、空き地が何個かあった。たぶん男の子が多い所だったせいで、ワイルドな遊びばかりしていた。人形遊びは小学校に入ってからだ。一人ではうまく遊べず隣の女の子をよくさそった。その団地には桜の木がたくさんあった。引っ越して間もないころ満開の桜吹雪で母に針に糸をとおしてもらい外にでた。花びらを一枚一枚とおしてネックレスを作るつもりだった。でも何枚通しても綺麗なピンクが薄汚れていく、だめだ、途中で諦めた。桜は眺めているほうがきれいだ。