強い酒を飲むことがバフ魔法になっていた時代
理由もなく、明るい時間に一人でお酒を飲んだ。我慢していたわけではなかいんだけど、一人飲みをするのはなんだかんだで半年以上ぶりだった。
わたしとある程度付き合いのある人は、わたしが毎日のように酒を飲んでいた時代を知っていると思う。日本酒を4合開けた日もあれば、ワインを一晩で1リットル飲んだ日もあった。つい数年前までのことだ。
なんでそんなにひとりで飲んでいたんだろう。美味しいものを食べたい飲みたいの欲求が強かったことは確かだけど、寂しがりやなので人と戯れる理由が欲しかったのもある。飲み屋で知らない人と仲良くなることもよくあった。
でも、実はただ強くなりたかっただけなのかもしれない、と最近気づいた。
人々はさまざまな方法で強くあろうとする。ある人はお金で、ある人は美容で。学歴で、役職や権力で、ジュエリーで、筋肉で、武力で、知力で、良いスーツで、カジュアルを貫くことで。
わたしは強さが何かわからなかったけど、ひとりでも強い酒が飲める自分はすなわち強いのではと思えていたところがあった。酒に強かったおかげで実際に手に入れられた強さもあった(もちろん失敗もたくさんあった)。
でもその酒という魔法が少しずつ効かなくなってきた。それは肉体的な衰えによるものだけじゃなくて、強さを纏える手段として酒以外の魔法も使えるようになってきたからかもしれない。
自分を強くする手段はたくさんあっていいし、年齢やタイミングによってそれはうつろうものだ。酒はもうバフ魔法ではなく、純粋に娯楽として楽しんでいこうな。