還暦おやじのスタディアブロードWith ウクレレ⑭
お代官に何があったのか?
高揚感に包まれていて眠れそうもないのでベッドに腰かけながら準備ノートを開いて、スケジュールをチェックしている。
1月21日(月)の部分には授業はなし。朝食後、スタッフからスクールのルール説明をうける。
昼食後、スタッフに徒歩圏にあるショッピングモールに案内してもらい両替をする。そして購入するものは。
①ペットボトル入り飲料水
スクールで用意している水は飲まない事。
②ヤクルト
フィリピン好きの業界関係者から整腸剤として毎日飲むように勧められた。
① 缶ビール
④シャンプーとボディソープ
日本人に見られない様にフィリピンの人と同じ匂いがする方がいい。
⑤虫よけスプレー
この時期のマニラは、蚊を媒介とするテング熱が流行するので必ず買う事。
そして、モール内の両替所で、日本円3万円をペソに両替して貰う。
1ペソ=2.15円なので、13,950円-手数料。
※ペットボトル入りの水(500ml):15ペソ(約30円)
と書いてある。④⑤は、お代官からの助言で追加したと書いてある。
内容を確認してからノートを机に置いて、パジャマに着替えた。シャワーを浴びようかとも考えたが、明日の為に少しだけでも眠ることに決めた。
ベッドの回りを点検してみて発見したのはコックローチの死骸のみ、掃除が行き届いていることに安心感を覚えた。
ベッドに横になり今日一日のダイジェスト映像をみている。その中で、ラッキーだったのはお代官と出会えたことだ。
手荷物の契約重量オーバーによる追加料金の面倒な手続きから救ってくれたこともありがたかったけど彼との話が有意義だった。
それにしても空港に着いてから、お代官はどこに行ったのだろう。約束を破るような人ではない。そう確信している。
その自信は30年以上も住宅の営業マンとして働いてきて多くの人に会ってきた経験が裏付けにあるからだ。
彼のような人は、女を裏切ることは平気でも男は裏切らないタイプだ。
そう考えながら、あっ、そうだ!と、ある結論に達した。
彼は空港で両替に行ったのだ。私にも空港で10万円の両替をする事を勧めてくれていたじゃないか、そう考えると彼に対して申し訳ない気持ちがふつふつと湧いてきた。
お代官を探し出すにはどうする?
彼にもう一度会ってお詫びをしたいが、本名も知らないんだからどうしようもないと考えていた。
しかし、いやいや彼を探し出す手段が全くないわけではない。だって彼が勤めている会社を知っているのだから。
名前は分からなくても電話して事務の方に「御社の部長さんに成田国際空港で昨夜、大変お世話になったのでお礼をしたい。お名前は分からないのですが、強面の方でした。」ってお願いすればきっと取り次いでくれるはずだ。
しかし、問題は電話に出た方が日本人であるとは限らない。もし”Hello”って言われたら一瞬、私の脳は思考停止になるだろう。
しかし、ここはマニラなので間違っても”もしもし”とはいわないだからから
その時は「Is there anyone who can speak Japanese?」どなたか日本語を喋れる方はいますか?と聞いてみて、もしいなければこの文章を英語で伝えなければならない。
それはどう考えても無謀だ!
それではどうするか?彼の会社に何度か電話して” もしもし”と言ってみて、”もしもし”と返事がなければ、電話を切ってしまう。そして再度電話して”もしもし”に対応できる人が出るまで辛抱強く何度もかける直すことも一案だ。
しかし、それではいたずら電話みたいになってしまう。いや、間違いなく無言のいたずら電話だ。当たり前だがそんなことは出来ない。
それではどうするか?彼の会社に行って受付で日本語の出来る方を紹介して貰うのが一番簡単だ。あるいは英文をみせて対応して貰う事も出来るだろう。しかし、強面の部長を探してくださいというのは、こちらとしては刑事ドラマみたいで面白いけど。先方にとっては迷惑でしかないだろう。
いっそこのスクールの先生に説明して、先生から彼の会社に電話して貰えば話は早いような気がする。しかし、こんなことを頼めるだろうか?
なんだか、まだ誰かに見られている気がする。
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