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還暦おやじのスタディアブロードWith ウクレレ ⑦

お代官からのレクチャー


さて、お代官から受けたレクチャーの内容を復習してみる。

その内容は

①    フィリピンではキャッシュカードは使わないこと。

②両替は空港で10万円ぐらいまとめて替えてしまうこと。

 マニラで両替後にフィリピン人に後を付けられた怖い経験を話してくれた。

③外出する時には高価な服は着ない事。

④貴金属は身に着けない事。

⑤財布は3つ持つこと。

なんの為ですかって聞いたら、お代官は「フィリピン人に囲まれたら財布を投げつけて逃げること。けして逆らったらダメ。フィリピンでは結構日本人も殺されていますから」と、とても示唆に富む内容で感心させられました。

 お代官に2度と会う事はないだろう。しかし、面白い話をお聞きした。私と全く違った人生を生きてきた、彼の人生と私の人生とを比較してみたくなった。

彼は57歳でメーカー勤務。一流大学出身でエンジニアとして働き、役員になってからも仕事で海外を飛び回っている。

家族は、妻と男の子2二人で共に社会人となっているが孫はまだいない。彼には海外に彼女がいる。

私は、64歳。都内の私立の大学を卒業しサラリーマンとなり、営業マンとして30年ほど働いたが、サラリーマン時代は中間管理職止まりだった。

57歳で早期退職して起業し、コンサルタントとして仕事をしている。家族は妻と母と子供3人。孫は一人。私には、彼女はいない。若いころ世界を飛び回る仕事に憧れていたがそれは叶わなかった。

 私は、今の人生に感謝もして満足もしているが、平凡な人生を送ってきた身としては彼の人生は羨ましい。

 ふと、最近流行りのミッドライフ・クライシスという言葉が頭に浮かんだ。それは人生の後半になって「自分の生き方は本当にこれで良かったのだろうか?」「もっと違う人生があったはずだ」「これから一体どのように生きていけばよいのか?」などと思い悩んでしまう中年期の心理的危機だそうだ。

 その適齢期は40歳から65歳らしい。まだ適齢期にいる私としてはマニラにいる1か月間で自分自身のこれまでの人生についてもこれからのどのように生きていきたいのかということについても自分と向き合ってみたいと思っている。

彼から私の夢も聞かれたので「英会話を勉強して、東京オリンピック2020でボランティアをしたい」と、伝えた。そして友人の様にキャンピングカーで日本中を夫婦で駆け巡りたいっていう話をしたときは、お代官は声を荒らげて「そんなのすぐに飽きるからやめておいた方が良い。」と断言した。

もしかすると彼は家族愛にとても飢えているのではないかと感じた。

それにしても彼の研究結果にあてはめると、私のマイケルは、お代官のマイケルとは、正反対の性格の様だが、ふと、自分のマイケルは、今の性生活に満足しているのかどうか尋ねてみたくなった。

 スタディアブロード事前準備

 搭乗口から階段を降りてバスで移動して、タラップから飛行機に乗り込んだ。今の時間は19時30分、まもなく成田から離陸。殆ど予定通りだ。

♬Ladies and gentlemen♬という機内放送を目の前でキャビンクラークが始めたので聞き入っている。 
 マニラまでのフライト時間は、4時間20分。到着時間は、日本時間で24時50分だがマニラと日本はマイナス60分の時差があるので、現地時間は23時50分。まぁどっちにしても真夜中だ。
   私の座席は、ネット予約時に追加料金1,000円を支払って最前列左手、非常口横の足元が広い座席を確保した。

そこは、トイレも近く、前立腺肥大でトイレが近い私にとってありがたい。しかし代官の座席は、3列ほど後方なので話をすることは出来ない。

客室乗務員は、男女各1名。二人とも日本人で後部座席が見渡せるように乗客と向かい合う様に座っている。

女性のキャビンクラークがこちらに近寄ってきて、最前列の3人の席の方は非常時にお手伝いをお願いしますという内容を告げた。その様なルールをある事を初めて知った。
 私は、リュックから準備ノートを取り出して、入国カードに記入するために必要な、パスポート番号、滞在先名、職業、渡航目的を英語で準備してきたものと関税申告書の記入例を確認。
 そして、ニノイアキノ空港(マニラ空港)での英会話スクールの担当者との待ち合わせ場所のチェック。ノートに貼った案内図と迎えに来てくれる人の名前を確認、ノートによるとドナ。そして、万一の場合に深夜でも英会話スクールで連絡の取れる携帯電話番号。これは、スクールから事前に注意のアナウンスがあったからだ。

 何故そんなことが必要かというと、このところ日本人旅行者を狙って、違う車に拉致らちして金品を奪う事件が頻発ひんぱつしているからだそうだ。

金になるものを奪った後、その辺に捨てられるとの事。逆らわなければ、命はとられないで済むそうだが、当然そんな目には遭いたくわない。
 その為、待ち合わせ場所では、タクシーに乗る前に必ずスクールの黄色いスタッフジャンバーと、担当者の名前を確認しなければならないこと。
 そして、待ち合わせ場所は空港から3分くらい歩くので、その間も周りに注意し、キャリーバッグは利き手で確り握る事。と、ノートに注意書きが添えてある。

そして、ノートに、ここに行きたいのでどうやって行ったらよいか教えてください、という英語も書いてある。我ながら、準備万全。
 成田でお代官に案内図を見せたときに、この待ち合わせ場所は、初めてだとちょっと分かりづらいので、僕がアテンドしますよと言ってくれていた。彼に連れて行ってもらえば安心だ。
 更にノートを見ると、沢山の文字が並んでいる。その中でひときわ目を引くのが、万が一の為に自宅に残しておくリストだ。

万が一の為に自宅に残しておくリスト

①パスポートのコピー

②搭乗券のコピー

③クレジットカードのコピー

④健康保険証のコピー

⑤英会話スクールの金融機関の口座番号

⑥英会話スクールの住所と電話番号及びファックス番号

口座番号は、資金がショートした時に、妻から振り込んでもらう為のものだ。
 普段、ずぼらな性格だと家族から太鼓判を押されているが、だれにも頼れないとなると意外にちゃんと出来るものだな~と妙に感心している。

そして、ノートには何度も書き直した自己紹介がある。これは、一年前から始めた英会話のスカイプレッスンでフィリッピンの先生と一緒につくり上げたものだ。

てやんでぇべらぼうめ

 マニラの英会話学校では、5分ほどの英語での自己紹介が必須だ。そのことについては、このスクールに申し込んで、校長先生とスカイプで話した際に、英会話のレベルチェックと共に教えてもらった事だった。
 同時に、校長から「メモは見ずに自分の言葉で話してください。到着した翌々日のランチの時に、30名程の先生や生徒とスタッフに向けてメモを見ずに話してください。」と、メモは見ずに、と、2度も釘を刺されたのだった。

私の心の声は、生徒募集パンフレットの写真の生徒はメモを見ながら自己紹介しているじゃないか。おいおいどうなっているんだ。この時、心は「てやんでぇべらぼうめ」って叫んでいた。

 近頃、池波正太郎いけなみしょうたろうに嵌っている。それというのも、東北自動車道羽生PAの鬼平江戸処によく立ち寄るからだ。

江戸時代の町並も再現されていて、鬼平が密偵達たちとしばしば食事をする五鉄ごてつもある。

そんなことを考えていると冷静になれて、まぁレベルチェックで頑張ったので、私なら出来ると思っての発言だったと良い方に解釈する事ができた。
 機内食は、頼んでいないのでやることがない。勿論、スマートフォンも使えないので、繰り返し自己紹介文の暗記と発音のチェックを行っていた。
 それもさすがに飽きてきたので、英語の勉強以外の本を読むことにした。それは、中野信子さんの「あなたの脳のしつけ方」だ。
 そこには、お代官のマイケルの研究の成果を裏付ける記述があり驚かされた。

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