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還暦おやじのスタディアブロードWith ウクレレ ⑯

マニラの英会話スクールのルール説明


  朝食後、部屋に戻る前に周辺を散策してみる事にした。この辺りは高級住宅地らしく敷地が広くて造りの良い建物が並んでいる。中には日本の盆栽を沢山置いてある住宅もある。

 いくつかの建物には、「for rent」の紙が貼ってある。こんな大きな家が借家なのかと思って、よく読んでみると女性の方に部屋をお貸ししますという内容だ。日本流にいえば女性専用の下宿だろう。朝晩の食事がついて、○○ペソと書いてあったが、詳細については失念してしまった。

for rent

 不動産コンサルタントとしては、海外移住の相談もお受けするので間取りを見てみたいという衝動にかられたが滞在中にその想いは叶わなかった。この様なことにこだわる性分なので、妻と海外旅行中でも日本人が移住している地域があると聞くとどうしても詳細が知りたくなって、個人のガイドを雇って案内してもらったこともあった。

 特にバリで案内して貰った建物は良かった。プール付きで3LDK、掃除も料理も洗濯もやって貰えて月の賃料が日本円で10万円。プールは3軒でシェアしているそうだが、門の入り口にガードマンが常駐してくれる費用も込み。移住の候補としてメモした。

 そんなことを考えながら歩いていると、個人商店が並んでいるところにたどり着いた。キヨスク程度の広さの店はたばこと飲料水を売っていた。その横は鉄板があって自分で焼いて食事のできる店で日本流に言えばお好み焼き屋さん。

商店

その隣はマッサージ店でその隣が床屋だった。床屋の看板には英語で大人は80ペソと書いてある。そうすると日本円で160円。早いうちにここにきてカットして貰おうと決めた。

商店街

 道路の反対側には八百屋さんと肉屋さんがあって主婦がのんびりと買い物と会話を楽しんでいた。そして交差点の角にはコインランドリーがあって、隣には大きな歯のモニュメントがあるので歯科だろう。どの店も看板はフィリピンの言葉と英語併記となっていた。そろそろ10時になるので部屋に戻ったが商店街から部屋まではとても近かった。スクールの門から逆回りすれば直ぐに商店街だったのだ。

 そんなことを考えながら部屋の前の路地に着いた、危険人物が近くにいないかと見回しながらカギを取り出し。ゴツン!いや~痛かった。例の突起物にぶつかってしまった。

いや~。緩衝材が巻いてあって助かった。鉄格子のドアを開けてもう一度周辺を見回してから中に入った。まだ、仲良くなっていない隣の犬はしきりに吠えている。

  部屋に入る時につまづきそうになった。それは、1段下がっているからたがそれも既にレクチャーを受けていたじゃないか。おいおい大丈夫かおっさん。と一人突っ込みをしてみる。

 これからは出掛ける時も室内の照明を付けておくことにする。それなら、段差を見落とすことはなくなるはずだ。内側のドアを閉めて、外側のドアを閉めようとしている時に、黄色のスタッフTシャツに青いジーパンというスタイルでマンゴウがやってきて笑顔で挨拶してくれた。

 スクールからスタッフは日本語を喋れても皆さんと話すときはすべて英語を使いますのでお願いします。と、事前に聞かされていた。その為にここから先も会話はすべて英語だった。

Welcome to Manila.

マ:「Hi! Welcome to Manila.」ようこそマニラに。
鍵:「Nice to meet you. I’m Shigeki. Please call me Shigeki.」会えてうれしいです。私はシゲキです。シゲキと呼んでください。
マ:「Okay. Nice to meet you too Shigeki. I will explain the rules of this school and how to use the room. First, regarding the toilet, please read the paper. 」はい。よろしくシゲキ。これから、スクールのルールと部屋の使い方について説明します。まず、トイレですが、紙を読んでください。鍵:「Yes ,I read it.」はい読みました。
マ:「Let’s read this note and explain it. I read English sentences, so please listen while looking at both Japanese and English. 」それでは、このノートを読みながら説明します。私は英語の文章を読みますので日本語と英語の両方を見ながら聞いてください。」
鍵:「Got it.」ガッテン。

  貴重品はフロントに預ける事から始まって様々な内容を説明してくれた。今までに読んだことがあるのでボーっと聞いていた。チコちゃんがみていたら「ボーっと生きてんじゃねぇよ」って叱られそうだがマンゴウは一生懸命に説明している。私は頷きながらノートに目をやったりマンゴウの顔を眺めたりしていた。退屈な時間が流れていく。

  ようやく、読む紙面が薄くなってきて食事中の約束の部分まで来た。私の記憶だともうすぐ終わりだ。
マ: 「Shouldn’t there be students of the opposite sex in the room. And you can use Japanese only at dinner. It’s the table closest to the entrance. Other than that, there penalties for using Japanese. Please sign the pledge if you like.」部屋に異性の生徒を入れてはいけない。

日本語を使うと罰則

そして夕食時だけは日本語を使っても良いが、それは、入り口から一番近いテーブルだけ。そこ以外で日本語を使うと罰則がある。よろしければ、誓約書にサインしてくだい。

  私はこの文章を目で追いながら聞いているがどんだけ英会話を頑張ったらテキストなしでこの文章を聞き取れるようになるのだろうなんて考えていた。
鍵:「Okay.」と言ってサインで終了。

  マンゴウから何かありますかと訊かれて「The hot water in the shower isn't working.」シャワーからお湯が出ないとお伝えてみた。すると、彼女は、シャワー室のプラスチックの椅子に立つとつまみを回し始めた。彼女の話だと「I was once a plumber.」って言っていたので以前は水道やさんだったらしい。プランマーは日本語で水道やさんだったはずだから。

ハッスルタイム

 彼女はつまみ部分の内部を見るようにカバーを開けて調整している。私はマンゴウがジェスチャーで体をささえてくれと伝えてきたので、後ろから両手で腰を掴んでいる。結構力のいる作業なのだろう彼女の体がくねくね動く。       

 そのたびに私の手に肌の柔らかさとくびれが伝わってくる。体臭も感じるほどの近さだ。ほとんど、フィリピンパブのハッスルタイムの様だった。そしてよく見ると尻も良い形をしている。触ってみたい衝動にかられたが、ゴックンと生唾なまつばを飲み込んだ。そんなことしたら初日から変態というレッテルを張られてしまう。

 冷静になる為に変態は英語でなんて言うのか記憶を手繰ってみて、パーバー「pervert」という発音とスペル及びフレーズを思い出した。
「I’m a pervert.」と発音してしまった。日本語で言うと、俺は変態だ。

 日本人の女性の前でそんなこと言ったらビックリしてその場から逃げ出すだろう。しかし彼女はその声に反応して振り向いたが何事もなかったように作業をしている。多分私の発音が悪くて通じなかったのだろうと胸をなでおろした。

Are you OK?

 次の瞬間お湯が私の顔に掛かった。「Are you OK?」ってマンゴウに言われて。OKマンゴウ!と私は返した。その瞬間ヘイ!ダナーって聞こえて一瞬奇妙なものが見えた気がしたがあれは何だったのだろう?

だんな、一杯やろう!


 彼女は慌てたのだろうバランスを崩しながらも御免なさいと言って、私の方を振り向き自分の首に巻いていたタオルで私の顔を拭いてくれた。

 私は彼女のふくよかな胸の部分と向き合った。私の手はとっさに持ち替えて腰を両手でつかんでいる。まるでフィギュアスケートのデュエットみたいだったと一人閲に浸っている。それにしても、マンゴウの体が一瞬浮いた気がしたのだが気のせいだろうか。そして、どうしてヘイ!ダナーってマンゴウが言ったのかが疑問として残った。

 彼女はつまみのひねり方を丁寧に解説してくれた。そのおかげでちょっとしたコツを掴むことが出来た。これで大丈夫今夜からはシャワーを浴びてボディソープもシャンプーも使えそうだ。気が付けばランチの時間までは後30分位しかない。

 彼女は昼食後2時からモールに案内するので、両替したい円とフロントに預けたいものを持って、その時間になったら門まで来てくださいと言って帰って行った。マンゴウのことが気になってきた。「You look chubby and cute.」という言葉が直ぐに頭をよぎった。

 日本語だと、ぽっちゃりでかわいいという意味だが彼女にはその言葉がぴったりだ。彼女のことが気になってきた。

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