還暦おやじのスタディアブロードWith ウクレレ㊶写楽は北斎???
写楽は北斎???
鍵を開けると照明はいつもの通り点いていた。ベッドに腰を降ろし一日を振り返ってみて、ハードな日だったなと改めて思う。
まずシャワーを浴びることにした。そして、暇つぶしに桶まんを話し相手にしようと、呼び出した。
鍵:「いでよ、桶まんごろう。」
桶:「へーい。ご隠居お呼びで?」
鍵:「親方に関することで、なんか面白い話はないですかな?」
桶:「親方に関する話で、面白い話でござんすか?」
鍵:「そういえば、親方は写楽って名乗っていた時期があるのですかな。」
桶:「写楽ってぇと、なんですかい。サイの野郎の事でござんすか?」
鍵:「サイの野郎って?東洲斎写楽は親方じゃないのですかな。」
桶:「トンでもないでござる。サイはどうしようもない奴で、親方に破門されて勝手に国に帰ったでござる。」
鍵:「親方に破門って?写楽は北斎の弟子だったというのですかな。」
なんだかとてもビックリする話になってきたので、シャワー室からあわてて出てバスタオルを体に巻いて、頭にもタオルを巻いてビールを片手にベッドに腰かけて話をつづけた。
桶:「へい。奴は親方の弟子にして欲しいという西洋人の画家を、オランダ人のヘイスベルト・ヘンミーというカプタンが連れて来て毎日一緒に絵を描いていたでござる。」
鍵:「その西洋人が、写楽なのですかな。」
桶:「サイの奴は親方のところに1年ぐらいいやしたが。この国の奴らは、芸術が分からない野蛮人だと言い残して勝手に国に帰ってしまったのでござる。
しかし、サイの才能を認めていた親方はカピタンからサイの船が沈没したという話を聞いて号泣していやした。」
鍵:「そうだったのじゃな。北斎は、サイさんの才能に惚れていたのじゃな。」
桶:「そうでござる。親方はサイから、水彩絵の具の使い方や西洋画の技法を学んでいやした。奴は、西洋式の画風で親方の浮世絵を模写してやしたが、親方の版元の蔦屋重三郎から浮世絵を描いてくれと頼まれて制作したのでござる。そして、奴が描いた役者絵をみて親方は腰を抜かしたのでござる。」
北斎が写楽の名付け親
鍵:「そうなのじゃな。それで名前は誰が決めたのですかな。」
桶:「親方が名付け親でござる。そのころ親方は、川柳てぇのに嵌ってやしたので、言葉遊びにってやして、欧州の東の方から来たサイで東洲斎。
メリケンが浮世絵を描く何てしゃらくせいやい。ということで東洲斎写楽となりやしたでござる。」
鍵:「サイさんはアメリカ人だったのですかな。」
桶:「親方は外国人の事はみなメリケンと言ってやしたでござる。」
鍵:「北斎の川柳は本で読みましたよ。わしは、誰が嗅で 見て譬か河童の屁へ。という川柳が北斎らしくて好きですじゃ。」
桶:「そのころ、親方が布団から出るのは、川柳の会合と引っ越しぐらいでござった。」
鍵:「サイさんは、自由に外出することが出来たのですかな。」
桶:「カプタンのお抱えの医者と名乗れば、どこへでも自由に行けたのでござる。」
鍵:「風景画以外の浮世絵はご法度で捕まって罰を受けた浮世絵師もいたはずでしたな。」
桶:「へい。その頃は、国防の為に浮世絵師が港など描いて、外国人に売るのはご法度。当然、外国人が絵を描くのは禁止だったでござる。」
鍵:「そうでしたね。浮世絵師も版元も苦労したのでしょうな。下手すれば役人に捕まって罰を受けることになるのでな。」
桶:「それで版元も生き残りをかけて、謎の絵師に描かせて浮世絵を売り出した。そうしたら初めは人気になりやしたが、歌舞伎役者からクレームが出て売れなくなってしまいやしたでござる。」
鍵:「どういうことですかな?」
桶:「男が女役を演じるおやまさんを描く時に、普通の浮世絵師が役者さんを女性のように奇麗に描くのに、サイの奴が描くと、男が女役を演じているということがハッキリわかる様に描いてやしたからでござる。」
鍵:「それで10か月で浮世絵の世界からいなくなっちゃったのですな。」
桶:「そうでござる。親方はもっと西洋の油絵を学びたいと言っておりやしたでござる。」
鍵:「そうでしたか。北斎は30代の頃から西洋画を学んでいたのじゃな。」
桶:「へい。それがあったのでシーボルトやカプタンから注文を受けて、西洋風の絵を和紙に水彩絵の具で描くことが出来たのでござった。
その時親方が描いた絵は、ご隠居も知っているようにオランダの美術館にあるのでござる。親方は、摺って大量に販売する浮世絵以外にも一点ものの肉質浮世絵も沢山描いていたのでござる。」
北斎が小布施で会った人たち
鍵:「浮世絵師は生き残りをかけて、春画を描いていたと聞いていたのじゃが、それだけではなかったのですな。」
桶:「春画は、北斎の他の弟子達や娘のお栄さんも毎日描いてやしたでござる。お上にばれないように商家などからこれを描いて欲しいといった注文を受けて肉質浮世絵を描いて生き延びたのでござった。」
その中で一番のお得意さんが、信州長野の高井鉱山でござった。」
鍵:「わしは、小布施の高井鴻山記念館にも立ち寄り、そこで北斎のアトリエを見てきましたよ。えーと。名前はなんでしたかな。」
桶:「碧漪軒でござる。」
鍵:「おう、そうじゃった。」
桶:「親方の弟子の鴻山が、”青いさざなみ”の意味を持つこの言葉をつけたのでござる。」
鍵:「北斎は、鴻山の事をなんて呼んでいたのですかな。」
桶:「親方は、旦那様と呼んでいやした。鴻山は親方を先生と呼んでたでござる。」
鍵:「親方が初めて小布施に行ったのは、83歳の時だったですな。」
桶:「そこで鴻山に頼まれて、岩松院の天井画に八方睨み鳳凰図を描いたのでござる。」
鍵:「わしも観ましたよ。その大きさと迫力に圧倒されましたよ。ところで、岩松院はパワースポットだったのですかな。」
桶:「そうでやした。それで、親方とも話が出来やしたし、翛然楼もそうでやした。」
鍵:「翛然楼で北斎は沢山の文人墨客(詩文や書画などの風流に親しむ人)と会ったのでしょうな。」
桶:「へい。翛然楼は今でいうサロンにしてやした。鴻山は15歳から16歳まで京都や江戸に遊学し、儒学などの思想や、書、浮世絵なども修めた当代きっての文化人でやしたから全国から鴻山に会いに来やしたのでござる。」
鍵:「北斎と気が合ったのはどなたですかな」
桶:「近くに住んでいた佐久間象山でござった。」
鍵:「しょうざんって、ぞうざんじゃないのですかな。」
桶:「本人がしょうざんと呼んでくれといっていやしたでござる。」
鍵:「そうでしたか。二人は破天荒なところは似ていますからな。北斎は、勝川春章に弟子入りして春朗の名を得て20歳で浮世絵デビューしたのじゃが、好奇心に富む性格から、師匠に内緒で当時タブーとされていた他派の狩野派や琳派に弟子入りして学び。
唐絵や錦絵や洋画も研究し、破門されるという破天荒の御仁じゃった。そして身に着けた技法を惜しげもなく誰にでも教えてしまう。その最たるものが北斎漫画じゃ。」
桶:「そうでやした。親方が破門されたのは34歳でござった。」
鍵:「それにしても佐久間象山に会っていたというのは驚きですな。象山も当時の免許皆伝とか秘伝とかの制度の在り方を否定し、自分が知ったことは包み隠さずどんどん只で教えてしまうし、自分より優れている人には身分や年齢に関係なく頭を下げて教えを請いに行くといった当時としては破天荒な人でしたな。」
桶:「そうでござる。オランダ語の先生は、6歳も年下の蘭学者の黒田良安でござった。」
鍵:「オランダ語を武器に勉強して、象山は世界を知り、オールジャパンを提唱した方であったな。」
桶:「二人で作品を作ってやしたよ。親方が描いた浮世絵に象山が漢詩を書いてやした。」
鍵:「それは凄いことじゃな。」
桶:「親方も楽しんでいやしたでおま。そして、象山の弟子達も集まってくるので、サロンは連日大賑わいでしたでござった。」
鍵:「象山の弟子というとどなたですかな。」
桶:「吉田松陰、勝海舟、小林虎三郎、河井継之助、坂本龍馬などでござる。」
鍵:「それにしても凄い面々じゃな。北斎はみなに会っているのですかな。」
桶:「へい。親方は、絵を勉強する時間が減るので気が進まないと言ってやしたが、皆さん方が天下に聞こえた葛飾北斎にあいたというので断れなかったようでござった。」
鍵:「助さんに尋ねたいのじゃが、山田方谷先生は来ておらんかな。」
桶:「その名前は象山から何度もでておりやしたが、本人は来ておりやせん。象山の話だと佐藤一斎先生の開いた佐藤一斎塾塾頭であり同門の中で一番の秀才だったと言ってやした。」
鍵:「そうですな。方谷は凄い人だと思いますよ。わしは、備中松山藩の財政再建をし、戊辰戦争の時に備中松山城の無血開城を成し遂げた人として興味を持って岡山県の山田方谷記念館や備中松山城までいってきましたでな。」
桶:「河井継之助も方谷先生は凄い人だと言っておりやした。」
鍵:「そうだったのじゃな。ところで助さんは、小布施では何をしておったのじゃ。」
桶:「ご隠居。良く聞いてくださいやした。あの頃は大変でやした。」
鍵:「なにがじゃ。北斎だって流石にまんごろうは使っていないと思いますがな。」
桶:「映像を転送するのが大変でござった。」
鍵:「それは例えばどんなことですかな。」
桶:「ご隠居も知っているように、象山は日本を世界に負けないような化学立国にする事を目指していたので、ガラスの製造や地震予知機を作り、大砲も作っちゃったでござった。
そして、日本初の電信機による電信実験をしてござった。あっしの脳電磁波信号について説明は理解してくれやした。」
鍵:「大砲を作っていたのは知っているが、電信については初耳ですな。しかし、あの時代に電信とは驚きじゃな。」
桶:「象山は、松代藩からオランダ語の百科事典を買ってもらって、翻訳しながら読んで知識を取得して、自分でなんでも作ったのでござる。」
鍵:「オランダ語の百科事典を原語で読んだって信じられんですが、そもそもあの時代に松代藩が象山の為に買ったってことはもっと理解出来ないですな。」
桶:「象山はそのことについて、藩主の真田幸貫が老中兼任で海防掛りに任じられたことで、広く世界に目を向けることの必要性を感じて、象山を洋学研究の担当として任命したからだと語っておりやしたでござる。」
鍵:「藩主の先見の目も素晴らしかったのですな。象山はどんどん力を発揮したのですのじゃな。」
桶:「そうでござる。それでも象山が作りたい電話についていくら言葉で説明しても誰にも分ってもらえない。電話の仕組みとそれがある事でどのようなことが可能になるのかがみなイメージできなかったでござる。
そういう時は、象山と親方がおでこをくっ付けて正座しているところに、参加者は二人の頭におでこをくっ付け、イメージ映像を象山から親方に送ってもらい。あっしが、その映像を参加者に脳電磁波信号で転送するという役目をしておったでござる。」
鍵:「それでみな、理解できたのでしょうかな。」
桶:「そのようでやした。吉田松陰はその体験もあって、どうしても外国に行って科学技術を学んでこなくてはならないと密航を企てたのでござる。」
鍵:「そうじゃったな。それで、吉田松陰は処刑され、外国行を勧めた象山もとらえられて8年ほど松代で蟄居させられたのでしたな。ところで、小布施に来た方の中で、婦女子に人気があった男はどの御仁じゃ。」
桶:「一番人気は、松陰が開いた松下村塾の塾生の久坂玄瑞でおま。イケメンなので婦女子がきゃーきゃー。言っておりやしたでござる。」
鍵:「昔からイケメンはモテたんですな。それならば、同じ塾生の高杉晋作も人気者だったじゃろう。」
桶:「高杉晋作というのは、来ておりやせん。玄瑞の話だと晋作は山田方谷先生に農民を兵にするといった事を学んでいると言ってやしたでおま。」
北斎の最後の弟子
桶:「それにオランダ人が来たときは、あっしは暇でやした。」
鍵:「どうしてですかな。」
桶:「親方の弟子で蘭学者の本間北陽という奴がオランダ語の通訳をしてござった。」
鍵:「本間なにがしって聞いたことありませんな。」
桶:「そうでやすか。」
鍵:「ちょっと待って、ググってみるから。」
本田北曜は、酒田の本間家分家に生まれた。江戸で榎本武揚、ジョン万次郎らと交わり、勝海舟に嘱望されて勝塾の蘭学教授となった。
その後、長崎にてオランダ人宣教師のフルベッキに英学を学んだ。ロンドン、パリ、ロシア、中国、米国を訪問し、帰国後は薩摩藩主島津斉彬の依頼で、西洋学館の英学教授をつとめた。
このころ、舞島密、小松帯刀、西郷隆盛、伊地知正治らと交流している。北陽が描いた浮世絵としては、黒船図画は有名。
鍵:「凄い人だったんですな。語学力を武器に素晴らしい人生を掴んだのですな。
わしは疲れたのでそろそろ寝ることにしますのでな。助さんは、まんごろうに戻ってくだされ。とっととうせやがれ、このすっとこどっこい。」
まんごろうの姿は消えた。
そのあと、スマホでアラームを6時にセット。朝までぐっすり眠った。
翌朝、アラームが鳴る前に目が覚めて、いつものようにラジオ体操を第2まで行い、ウクレレの基礎練習を行った。いつもと違うのは、新しく取得したカントリーロードの楽譜で弾き語りをしたことだった。
初めて英語で日記を書く
さて、今日は英語で日記を書かなければならない。出来れば、マーガリンごめん、トライしたけど書けなかったって笑って言えちゃえば楽なんだろうけど、そうもいかないので、スマホの翻訳機を使って書き出してみた。
今日は2019年1月24日木曜日。
「Today is Thursday, January 24th,2019. 」
今朝は、5時40分に目が覚めた。それから、6時に起床して、シャワーを浴びた。
「I woke up at 5:40 this morning. Then I got up at 6 o’clock and take a shower. 」
その後、ラジオ体操をしてからウクレレを弾いた。
「After that, I practiced radio calisthenics and then playing ukulele. 」
※calisthenics体操 発音記号kæ̀lisθéniks,かな キャリスセニクス 分類 cal・is・then・ics
顔を洗って歯磨きをした。そして、服を着替えて散歩をした。
「I washed my face and brushed my teeth. Then I changed my clothes and walk. 」
今日は天気は晴れなので気持ちがいい。公園まで行って戻ってきた。
「The weather today is sunny. I went to the park and came back. 」
今日のランチはマクドナルドに行くので、フレーズを練習した。
「I’m going to McDonald’s for lunch today, so I practiced the phrases. 」
午前のレッスンでは買い物での会話について、教えてもらう予定だ。
「In the morning lesson, I will be taught about shopping conversations. 」
ショッピングモールのショップでジーパンを買うのが楽しみだ。
「I’m looking forward to buying jeans at the shop in the shopping mall. 」
私は、買い物の英会話をノートに書いておかなければならない。
「I have to write down the English conversation of shopping
in my notebook. 」
ここまで書いてから洗濯物を持って食堂に向かった。今日は久しぶりに隣の犬が吠えていた。このところ静かだったので少し心配していたが元気そうと安心したら、我が家のソックスのことが気になってきた。あいつは、ちゃんとご飯を食べているかなぁ。
今日初めて食堂前の洗濯物を依頼するエリアで、重さを量ってノートに記載した。もうすでに幾つかの洗濯物が袋に入れられて、名前付きで置いてあった。その中には手書き風の可愛いイラスト付きの物や、「Thank you as always.」いつもありがとうという言葉が添えてあった。
そのような心遣いを見ると朝から得した気分になる。思わず私も感謝の言葉を書きたくなったが適当な英語が浮かばない。そこで、 “ありがとう感謝します”。と日本語で書いたが、これじゃスタッフには分からないよ、誰のために書いているのだかこのおやじ、と一人突っ込みして思わずおかしくてたまらなくなった。
まぁ、こうした気分にさせてくれたのも、誰かが書いた英語での感謝の言葉だった。もしかしたら、私が書いた言葉が誰かの役に立つかもしれないし、ほんの少し笑ってくれたら嬉しいなどと考えていた。
女子高校生のサトエとの出会い
食堂からは「good morning.」「morning buddy.」「morning all.」「How’s it going?」などが、聞こえてきた。「morning buddy.」は、やあ、相棒と言ったところかな。
私も「morning. 」と言いながら食堂に入った。高齢者テーブルはどうしたことか空きがない。しょうがないのでチョット可愛い若い女性の隣に陣取った。
勿論、座る前に「Excuse me. Is this seat available?」すみません、この席は空いていますか?と声をかけた。彼女は、恥ずかしそうに「No, go ahead.」空いていません、どうぞ。と消え入りそうな声で答えてくれた。
私はおかしいなと思って「Is this seat taken?」この席は使われていますか?と再度尋ねると彼女は「Yes, you can use it.」と言ってから、ハッと顔をあげて「I’m so sorry. I didn’t notice my mistake.」ごめんなさい。間違いに気づきませんでしたといって恐縮した。
私は「No problem.」といってトレーをテーブルに置いて椅子に腰を下ろした。そして「I’m Shige. It’s nice to meet you.」シゲです。よろしくと挨拶をした。
彼女は「It’s nice to meet you too. I’m Satoe. 」こちらこそよろしくお願いします。私はサトエですと挨拶してくれた。私は、いつものように食材が沢山のっているトレーを写真に撮り、Lineで妻に送った。
その様子を彼女は不思議そうに見ていた。彼女のどうしてという表情を読み取って「I’m sending it to my wife.」と笑顔で伝えた。彼女は、「How wonderful!」なんてすばらしいと言って笑顔になった。
よく聞いてみると、今朝こちらに来た。名前はサトエで住んでいるのは岡山県、彼女が英会話を勉強する目的は、外国人観光客に対応できるようになるためで、専門学校を卒業したら、地元の観光協会で働きながらボアランティアで地元の旅館や商店の人達に英会話レッスンをするのだそうだ。
このスクールとセブの英会話スクールで短期間勉強してみて、自分の目的に合うスクールで就職後半年間勉強するという事だった。
就職後の留学費用は、すべて観光協会が出してくれるということで責任を重く受け止めている感じだった。
しかし英会話は子供のころからおじいちゃんに教えて貰っていたし、専門学校の観光コースで学んでいるので、多少の英会話は出来るので不安よりもわくわく感でいっぱいなのだそうだ。
彼女はこのスクールは2週間いる予定だが、毎日8時間のレッスンを受けて、スクールが休みの土日も特別レッスンを8時間ずつ受けるのだそうだが、岡山県は観光資源が沢山あるのでそれぞれの魅力を英語で紹介しなければならないとなるとそれぐらい頑張らないといけないのだろう。
二十歳そこそこで明確な目標を持って英語に取り組んでいることが羨ましい。
自分自身の人生を振り返ってみても、同じ二十歳という年齢の時に明確な目標は持っていなかった。
今勉強している英会話だって東京オリンピックでボランティアをするのに必要だからという簡単な動機だけだ。言い換えれば趣味の一つであり、勿論英語で身を立てることなど考えてもいない。
英語に人生をかけている人達とは違っているがこんな風な英語との付き合い方もあっていいと思う。
彼女が席を立ったので、「Have a nice day. Good-bye. 」と言いながら高齢者テーブルに目をやってみると、チエさんとユリはいつものように筆談をしていた。二人が目配せしたので掲示板の方を見ると、二人もランチはいらないという欄に名前が書いてあった。
マクドナルドに一緒に行くのは決定のようだった。待ち合わせ場所と時間をユリのノートに書いて部屋に向かった。
スタッフのマンゴウへのチップ
食堂を出てすぐの洗濯場ではスタッフとマンゴウが話をしていた。
鍵:「Hey Mango! A beautiful day, isn’t it?」やあ、マンゴウ。今日はいい天気ですね?
マ:「Yes, it is. Shige! It’s a wonderful day to study English. 」そうですね、シゲ。英語を勉強するのにはもってこいの日ですね。と、笑いながらマンゴウが言った、自己紹介の後はこれぐらいのジョークを言っても許してくれるキャラだと認識されたようで私は嬉しい。
鍵:「Exactly.」そのとおり。
と、いいながら肩をすくめながら仕方ないよねのポーズをしてみた。マンゴウにウケたようで一緒に笑った。
マ:「I’m going to clean your room this evening. Is that okay? 」ところで、今日の夕方5時ごろにあなたの部屋を掃除に行ってもいいですか?
鍵:「Ok, please.」はい、お願いします。
マ:「See you later.」じゃーまたね。
鍵:「Pardon? Bye-bye.」えっ、バイバイ。と言いながら、右手の平を耳に当てた。
マンゴウと洗濯場のスタッフには大ウケだった。
部屋には公園でウクレレの弾き語りをしてから戻った。午前のレッスンの準備をしながら、スタッフへのチップついて思いを巡らせていた。
そこで、フィリピンのチップについてググってみた。
① レストランの場合
フィリピンのレストランはでは、多くの場合代金にサービス手数料(Service Charge)が上乗せされていますので、チップを支払う必要はありません。
だたし、ホテル内や高級レストランで食事をした際は、支払いに使用したトレーや机の上に20ペソから50ペソ程度のチップを置いていくことが一般的です。
② ホテルの場合
一般的にはホテルで荷物を運んでくれるポーターには、20ペソ程度を渡すことが相場です。ただし、いわゆる高級ホテルに泊まる場合には50ペソ程度を渡すようにします。
また、ルームサービスをお願いした場合やベッドメーキングの係の人に渡す場合も、20~50ペソ程度のチップが目安となります。
ベッドメイキングの人に渡す場合は、枕の下に置く人もいますが、気づかずに処分されてしまう場合もありますので、ベッド脇のサイドテーブルなどに置くのが良いとされています。
③ タクシーの場合
タクシーの運転手にチップを渡すことは基本的にありません。あるとすれば、支払いの際に出るおつりを受け取らずにチップとして渡す程度です。
運転手がお釣りを渡そうとしたら、「Please keep the change.」お釣りはいいです。や同じく「You can keep the change.」と言っておけば良いです。
そうだとすると、マンゴウにルームメイキングをしてもらう場合のチップの相場は20~50ペソになる。日本円で100円ぐらいと言う事だが、皆は渡しているのだろうか?
ランチの時にチエさんに尋ねてみなければと、スマホのTODOに追加した。
今日の午前中のレッスンは、マクドナルドでの英会話。及び服を買う時の英会話なので、ショッピングでの英会話というフレーズをノートに書きだした。
午前中のレッスンでの収穫は、マクドナルドのクーポンをジャムが探してプレゼントしてくれたことだった。
マクドナルドでの注文
待ち合わせ場所で、二人と会ってマクドナルドへ。フィリピンのマクドナルドはモダンで白黒を基調とした外観も多いので、店内は若干カラフルというか南国らしく見える。
平日の昼間と言う事でテーブルは空きが多かった。一番端っこに3人で陣取ると、私が事前に日本人が書いたマクドナルドでの注文に関する記事を見つけて、ノートに書き留めた文章を二人に説明した。
※メニューは、日本と同じでバーガーとドリンクとポテトがセットになったものと、日本では見ることがない「ライス&チキンセット」というのがあり、そのセットを頼むとライスも紙に包まれて出てくるのでびっくりさせられる。
ライスのお供には、グレービーソースがついてくるので、少し胡椒と旨味ソースが効いたさっぱりした味で、ご飯と絶妙に合い非常に良い組み合わせとなっている。
値段は、ビッグマックセットだと、ドリンクとポテト込みのMサイズで190ペソ、日本円で418円ぐらい。
ビッグマックのMサイズは日本で690円なので得した気分になる。そして、サイドメニューもお得な価格になっている。
アップルパイは、30ペソ=約66円、マックフルーリーは45ペソ(抹茶味は50ペソ=訳100円)と格安。
そして、辛党に是非試してみて欲しいのが、マックチキンスパイシーという激辛のバーガーです。
それにお勧めなのがパーナップルジュースでフライドチキンを食べた後に飲むとスッキリします。この内容と私がノートに書き写したマクドナルドでの英会話を3人でチェックしている。
S:こんにちは 今日はどうしますか?
「Hi. How can I help you today? 」
客:チキンマックをお願いします。
「Hi. Can I get a McChicken, please? 」
S:はい!一緒に飲み物やポテトは如何ですか?
「Sure, Would you like a drink and fries with that? 」
客:お願いします。
「Yes, please. 」
S:お飲み物は何にしますか?
「What kind of drinks do you like? 」
客:どんな種類の飲み物がありますか?
「What kind of drinks do you have? 」
S:オレンジ、コーヒー、紅茶、ミルク、コーラがあります。
「We have orange, coffee, tea, milk, coke. 」
客:コーラをください。
「I’ll have a Coke. 」
S:サイズは?
「What size can I get for you? 」
客:Mサイズでお願いします。ポテトもMでお願いします。チョット聞いてもいいですか?
「Medium, please. I would like potatoes in M size as well. May I ask?」
店員:はい!何でしょうか?
「Yes, what is it? 」
客:このクーポンは使えますか?
「Can I use this coupon? 」
S:はい使うことが出来ます。無料で飲み物とポテトをLサイズに出来ます。そうしますか?
「Yes, you can use this. You can make drinks and potatoes L size for free. Do you do that? 」
客:はい!そうしてください。
「Yes, please. 」
S:他に注文はありますか?
「Sure. Anything else for you today? 」
客:これで全てです。ありがとう。
「No, that all. 」
S:よし、じゃあMサイズのマックチキンセットで、飲み物とポテトがLサイズですね。ソースはつけますか?
「Great, so the medium Mac chicken meal. Drinks and potatoes are large size.
Would you like sauce? 」
客:いいえ結構です。
「No, thank you. 」
S:ここでお召し上がりですか?お持ち帰りですか?
「Will it be for here or to go?」 ※for here の部分はeat inという言い方もある。ジャム。
客:ここで食べます。
「For here. 」
S:オッケー。合計で190ペソです。
「Okay. Your total is 190 pesos. 」
客:はい、どうぞ。
「Here you go. 」
S:おつりです。
「It’s change. Thank you. 」
客:ありがとう。
「Thank you. 」
ユリとチエさんは簡単バージョンでトライ!
S:はい、どうしますか?
「Hi. Can I help you? 」
客:チーズバーガーをお願いします。
「I’d like a cheeseburger. 」
※単品のハンバーガーは”sandwich”と聞かれる場合もある。ジャム。
S:はい、今日はセットにしますか?
「Sure. Would you like to make it a combo today?」※comboはmealともいう。ジャム。
客:いいえ、結構です。
「No, thanks. 」
S:他にご注文は?
「Anything else for you? 」
客:いいえ、ありません。
「No, thanks. 」
S:はい、ここでお召し上がりですか?お持ち帰りですか?
「Okay. For here or to go? 」
客:こちらで食べます。
「For here, please. 」
S:はい、100ペソです。
「Okey. It’s one hundred pesos. 」
客:こちらです。
「Here you are.」※here it is.でもthank you.でもオッケー。ジャム。
S:はい、お釣りです。
「It’s change. 」
客:ありがとう。
「Thank you. 」
ユ:「簡単バージョンでも結構セリフが長いわね。」
チ:「そうね。でもメニューを指さして『I’ll have this one.』の方が楽じゃないかしら。」
鍵:「そうそう。まず、注文が出来たらそれだけで成功ですね。二人はジャムに貰ったクーポン使いますか?」
ユ:「セリフが複雑になるから私はいならいわ。」
チ:「私もパスさせていただくわ。」
鍵:「はい、では私は買ってきますね。」
ユ:「シゲは何にするの?」
鍵:「折角だから、ライス&チキンセットにしますよ。日本では食べれないでしょうから。そして、このクーポンでチーズバーガーをサービスでもらいます。」
チ:「ファイト!」
念のためノートを持ってカウンターへ。
2人は近くでやり取りを聞きたいというのでついてきた。
誰も並んでいなかったので、そのまま注文して無事にテーブルに戻った。
ユ:「凄く良かったわよ。」
チ:「とても自然でしたわ。」
鍵:「二人ともどうぞ。」
2人と話し合って、心配だからと一緒に行くことになった。二人とも手には私のノートと100ペソ紙幣を握りしめている。まるで、テレビ番組の “初めてのお使い” を見ている気分だった。あの番組ではお子さんが親に頼まれて、初めて買い物に行くのに親はついていかないが、この二人は私にそばにいて欲しいという。まぁしょうがないなと思いながらカウンター近くで会話を聞いていた。
私の時と違って何人か並んでいた。次は、ユリの番だ。
S:「Next please.」次の方どうぞ。
ユ:「Yes, Please.」はい、お願いします。
S:「How can I help you?」どうしますか?
ユ:「I’ll have this one, please.」これをお願いします。とセットを指さしたが、とってもテンパっている。
S:「Sure, What kind of drinks do you like?」はい、飲み物は何にしますか?
ユ:「I’ll have this one.」これにしますと飲み物を指さした。
S:「What size?」サイズは?
ユ:「M please.」Ⅿサイズをお願いします。
S:「Is it okay for potatoes to be medium size?」ポテトもミディアムサイズで良いですか?
ユ:「Yes, please.」はい,お願いします。
S:「Sure. Anything else.」はい、他に注文は?
ユ:「No, thank you. 」
S:「Okey, It’s 190pesos. 」はい、190ペソです。
ユ:「Thank you. 」ありがとう。と言いながら200ペソを手渡して、お釣りをもらった。
ユリが、複雑な笑顔でカウンターの横にきて、チエさんが注文するのを見守っている。
S:「Next please.」次の方どうぞ。
チ:「Thank you.」ありがとう。
S:「Can I help you?」どうしますか?
チ:「I’d like a hamburger.」ハンバーガーをください。
S:「Sure. Would you like to make it a combo today?」はい、セットにしますか?
チ:「No, thanks.」いいえ。
S:「Anything else for you?」他に何かいりますか?
チ:「No, tanks. please.」いいえ。
S:「To go or for here?」お持ちかえりですか?ここで召し上がりますか?
チ:「for here, please.」ここで食べます。
S:「Okey, It’s 60pesos. 」はい。60ペソです。
チ:「Here you go.」こちらです。
S:「It’s your change.」お釣りです。
チ:「Thank you.」ありがとう。
チエさんがハンバーガーを受け取ったので、3人でテーブルに戻った。
ユ:「シゲは上手くやれたわね。凄いって思ったわ。」
チ:「本当に素晴らしかったですわよ。驚きました。」
鍵:「ありがとう。今朝もジャムと練習したからですよ。」
ユ:「えっ、そんな練習しているの?」
鍵:「僕は、意味のない練習が苦手なので実践的なレッスンをして貰っているんだ。」
チ:「それってよろしいですわね。」
鍵:「折角、実践の場があるのに試してみないのはもったいない、日本では出来ないことだから。」
ユ:「私もそういうレッスンならもっとまじめに頑張れると思うな。」
チ:「私も同感ですわ。そうしたら、今日のような失敗をしなくてすんだのにと思いますわ。」
鍵:「上手に注文できたではないですか?」
チ:「全然ダメでしたわ。『No, thanks please.』って変でしょう?それに、私、飲み物も欲しかったし、チーズバーガーが良かったのよ。それなのに、緊張して上手く注文できなかったのですわ。」
ユ:「分かるわよ。私も緊張してしまって間違って注文してしまったのよ。私、チーズは嫌いなのにチーズバーガーセットを頼んじゃったのよ。チエさん交換しましょうよ。」
鍵:「実践することで悔しい思いをしたりして、次はちゃんとやるぞってリベンジする気になれれば、英語学習のモチベーションも維持できますよね。」
ユ:「次の時はMではなく、ミディアムって言えるようになっておくわよ。」
チ:「私は次の時は、『Anything else』って言われたら『No, that’s all.』ってスマートに答えたいわ。」
そんな話をしながら楽しくマックを食べた、チエさんは、再度チャレンジしてパイナップルジュースをゲット出来たことで満足したようだった。
私はジーパンを買いに行くのでと言い残して、先にマックを後にしてジーンズショップに向かった。
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