未だにROCKとは何なのかがわからない③

どうやらエフェクターというものがないと、このやっすいアンプではディストーションの効いたサウンドは得れないらしい。

貯めたこづかいを使う時だ。
そこで当時小田原に在った「帝都無線」という楽器屋に向かった。

・・・緊張する。
なにしろ、エレキギターは通販で買ったもんだから、楽器屋なんて初めて来たのだ。
当時はまだバンドブームの風潮も残っていたので、絵に描いたようなバンドマンもチラホラ見かける。
単なる田舎の中学生にとっては怖い空間でしかない。

オドオドと入店し、キョロキョロとエフェクターを探す。
ワゴンに積まれた安価なエフェクターに目が留まる。
これか?

すみません、これって「エフェクター」というものでしょうか。
店のエプロンを付けたおじさんに問うてみる。
おう、そうだよ。
そのうちのひとつを手に取り、なけなしの金で購入した。

やった!
エフェクターを手に入れた!

急いで家に帰り、見よう見まねでセッティングした。
オレは遂にあのギャリギャリに歪んだギターの音を鳴らせるのだ。
感慨深い。

ゆけ、ピックよ。
弦を弾け!!

テロ〜ン
ポッポぺ〜ン

なんでだよ!!

そのエフェクターには「コンプレッサー」と書いてあった。

今なら当然わかるんだけど、エフェクターにも種類がある。
歪ませたいなら選ぶべきは
「ディストーション」
「オーバードライブ」
「ファズ」
そんな名前のエフェクターを選ぶのだ。
(他にももっとあるけど。
てか今ならコンプレッサーでも歪んだ音作れるけど。)

しかし知識の欠けた中学生のオレは「エフェクター」は全て一緒の機械だと思い込んでいた。

あぁ今回も惨敗。
道は長く険しい。

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