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私とバリ島の出会い

今から20年以上前、これは完全に昔話。
他人にはどうでもいい、私にとっては初めて自分で人生の大きな舵を切ったときの話。

高校の卒業式翌日、私は空港にいた。
卒業の余韻は早々に消え、
緊張と期待が詰まった南国行チケットを握りしめていた。

卒業後の道は決めていなかった。
勉強は嫌いじゃなかった。
大好きだった部活も、嫌いになるほどやり切った。
ただその先、大学でやりたいことも、なりたい職業もなかった。
もともと海が好きだった私は、とにかく南国に行ってみたくなった。
そこから先の目標も夢もなく、
地方ではあるが一応進学校と呼ばれる学校を
その年唯一の進路未定者で卒業した。

卒業前のお正月、
毎年バリ島に行く地元の先輩の情報を聞きつけて直談判し、
同行させてもらう事となった。
そこからの2ヵ月、バイトをしてなんとか旅費を稼いだ。

飛行機はガルーダインドネシア。
効きすぎたクーラーと独特の香りが漂う機内。
はじめてのインドネシア語。
機内食は、おいしいとは思えなかった。

寒い日本の朝を飛び出し
その日のうちに、一雨降ったであろう蒸し返る夕方のバリ島に到着した。

あの初めてのングラライ空港の空気は、今も鮮明に思い出す。

【ああ、この匂い。この地を私は知っている。帰ってきた。】

なぜかそんなことを思った。

後半にニョピを挟む3週間の滞在。

海、ヤシの木、辛い食べ物、夜の街、、、キラキラと静寂が両存する不思議な島に
私は言わずもがなどハマりし、のち、足繁く通うこととなる。

そしてあの時の出会いが、20年を経て今に繋がったりする。

人は単なる偶然と言うだろう。

ただ、引き寄せあうべきものは強烈に引き寄せられる。
そんな力が恐ろしく強い島なんだろうと、今も度々思う。

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