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「てあて まもり のこす」神奈川県立近代美術館鎌倉別館

2024.7.28

ぎりっぎりのぎりぎり。最終日駆け込みの記憶が蘇ってきた。というか、図録が買えなかった悔しさかも。欲しかったなあ……前の週の19日段階で完売だったらしいから、どうにも手に入れることはできなかったんだけど、にしても、もっと早く行っておくべきだった展覧会のひとつ。

・絵画修復やら展示自体の展示みたいなの、最近増えてきているような気がする。それこそ、「てあて まもり のこす」部分に、ずっと興味を持って生きているので嬉しい。ただし、どこでもそういう展示が増え始めてきているから、全部行きたいけど悲しいことに身一つ、車無しなもんで、うぎぎぎぎ...…って悶えることも多くなった。嬉しい誤算と言うかなんというか......

中央やや左側の亀裂が
展示作業中の事故で出来たらしい。
斜光でようやっと見える程度で、
正面からの鑑賞には問題ない。
ばりっと真っ二つだったとは全然思えない。
ね。

・古賀春江の。額縁のプレートに「川端康成氏 寄贈」の文字が見える。鎌倉別館が改修になるときに、川端康成のコレクションとか何とかで一回見たことがあるような気がする。目玉的な扱いなんだと思う。わかる。クリーニングで空がめちゃくちゃスカッと青くなったらしい。担当者も驚いたってキャプションがあった気がする。わかる。とてもよく分かる。白黒の報告書だったけども、空に四角形ができていたから、そこがクリーニングした場所なんだろうな。白黒でも分かるくらいだから、現物で見たら、それはそれは驚いちゃうだろうな~

・朝倉摂の。裏側に貼りこまれていた絵があったそうな。表の絵はそれはそれとして不都合無いように、裏の絵もこうして取り出している。もう少し大きな絵だったみたいだけども、下側は未発見。写真とかはあるみたいだったけども、見つかっていない部分は見つかっていないままで、今はこうして欠損のままで鑑賞できるようにしている。表装もだいぶ簡素な感じ。仮でつくっているっぽい雰囲気。

剥落止めをしたって書いてた気がするけど、
よく見るとひび割れみたいなのが見える。
大変だったろうなぁ...…

・額のガラスにまで絵具を付けているので、ガラス→アクリルに交換したかったけど、ガラスも作品の一部になっているのでガラスのままにしているんだとか。割れるかもしれない&重いガラスよりもアクリルにした方が取り回しも楽だろうけど、そうするとこの隅っこの絵具は消えてしまうんだよな……何を守り、何を残すかの判断を常に求められて、正解は無いって大変なことだと思う。

・高橋由一の。古い額縁で見られるのは神奈近だけ!(神奈川県立近代美術館であれば見られるのかな、鎌倉館だけじゃなくって、葉山館でも見られるのかな……)新しいのは古いのと色味は似ているけども、やっぱり古いのよりも丈夫そう。模様は入ってないけど、由一の画面に邪魔にならないように旧額縁と大差ないテイストにしているね。

新旧・額縁
でもね、波模様みたいな、鳥みたいな模様がついた
旧額縁のほうが私は好きなのよ。
鯵ッッッ!!!

・鯵も可愛いが、額縁も可愛い。光輝いている鯵のうろこみたいにパッとするね。強度とか裏打ちとか方面の都合的に言えば額として心許ないみたいだけど、意匠性を尊重して、後ろに木枠を付け足すとかでなんとか使い続けてるんだって。今後ともぜひぜひ使い続けてほしい。

・道具類の展示もいっぱい。使われている雰囲気を残しながら乱雑な感じはしなくって、作品に真摯に向かう人の姿が見えつつスッキリしているの、すっごいなって思った。葉山館に修復担当者がいるんだって。

色鉛筆に役割分担!
浮上り、亀裂、破れが多めなのかな。
刷毛、実は少し持ってるのよね。
倉又式噴霧器は、いつか欲しいものの一つ。
霧の細かさ、安定感が全然違う。
測定、切断系。
近代美術、油絵のほうが多いからなのかな。
コンベックスとか金属の曲尺とかが多いなって思った。
尺メモリのものとかも、ぱっと見では無さそう。
だいぶ工具箱みが増してきた。
ここらへんはもはや大工道具。
額とか木枠とかは割と建具的な仕事だしなぁ。
絵の具を少しずつ混ぜて目的の色になるまで
調整に調整を重ねてるんですね。
こういう状態のパレット見られるの嬉しい。
綿棒もね、こう、指でくるくる~ってやって
自分たちで作るんですよ。
既製品を使うことも、もちろんあるけど。
右側とか特に、建築学生の机の上と大して変わらん。
違うのは、そうね、切る精度とか(技術力の差)
この黒い持ち手、どうやって使うんだろうな。
天板自体が取り外せそうだから、その取っ手なのか、
ドライヤーとかコテ類をひっかける便利道具なのか。

...…オシャレにたくさんの道具類を見せることができるってすっげぇや。

・建物自体も好き。

大高正人ですよ、ええ。
私は大高正人建築好きだなって思い始めてるけど、
ここまでたくさん会う機会があると、
大高正人側も私のことを好きか......?って思う。
これが恋かぁ~~~

・野外彫刻もちゃんとあって。この修復についての話も中で詳細に話されてた。存命作家であれば作家に話をつけて、もういらっしゃらないのであれば代理人というか権利承継者や詳しい人に相談しながらやってた。……っていう話を聞いた上でもう一回野外彫刻を眺めると、いろんな人の力で今の景色があるんだな、って。野外なんて風雨も直接くるし、大変よな。

「7/19図録完売 再販予定なし」のメモとともに。
ここのカフェは増築部分にあたる。
プルーン入りのチョコブラウニー美味しかった……

やっぱり図録欲しかった。うわーん!!!

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ささき
おいしいごはんたべます。